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第83号 2014.4.22発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…安倍政権は「武器輸出3原則」を「閣議決定」によって全面的に転換し、武器や関連技術の輸出を容認。エネルギー基本計画も「閣議決定」し原発の維持・推進へと舵を戻した。今国会中には集団的自衛権を容認する憲法解釈の変更も「閣議決定」する予定。さらに秋には特定秘密保護法の運用基準も「閣議決定」する見通しである。そもそも「閣議決定」とは何なのか?「閣議決定」を乱用する安倍政権が目指しているのは何か?ニヒリズムに冒されている場合ではない!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!AKB48Gが「恋愛スルー」となるとどうなる?最も強く影響を受けた男性有名人は?韓国の旅客船沈没についてどう思う?動物との相性は良い?「娘と一緒に入浴」が許されるのは何歳まで?漫画の実写化についてどう思う?よしりんの回答や如何に!?
※『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」何があっても動じないはずのお父ちゃまが、なじぇか震え上がっとりましゅ!ぽっくん、そんな大変なこと言ってましゅか?

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【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第84回「閣議決定の乱用は立憲主義の破壊」
2. しゃべらせてクリ!・第44回「ぽっくん断言!お父ちゃま冷や汗!の巻〈後編〉」
3. よしりん漫画宝庫・第65回「『TAG Tomorrow』&『愛社一丸はかく働き』異色のサラリーマン漫画」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記


【生放送予定】



 今週23日(水)20時から「よしりんに、きいてみよっ!」を生放送予定!

 テーマ『小保方さん・魔女狩り問題を語ろう!』
〈よしりん談〉
 わしはテレビや雑誌などのメディアで、小保方さんが非難されてるのが全然わからないので、その理由をとことん語ってみたい。
 泉美さんの意見も聞きたいし、やっぱり女性は週刊ポストのくらたまみたいな反応になるのだろうか? 
 週刊ポストでは、女性としての評価に特化されて記事になってたが、STAP細胞や科学の評価の問題も含めて、語り合いたいと思っている。
 お楽しみに!




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第84回「閣議決定の乱用は立憲主義の破壊」

 今月1日、安倍政権は武器や関連技術の輸出を原則禁じた「武器輸出3原則」を「閣議決定」によって47年ぶりに全面的に転換し、輸出を容認した。
 今月11日には、福島第一原発事故を忘れ去ったかのような内容の、エネルギー基本計画も「閣議決定」し、原発の維持・推進へと舵を戻した。
 さらに安倍政権は今国会中に、集団的自衛権を容認する憲法解釈の変更を「閣議決定」し、歯止めなく米国の戦争に自衛隊が参加できるようにしてしまおうとしている。
 そして、秋には政府の意向次第でいくらでも恣意的運用が可能になると危惧されている特定秘密保護法の運用基準を「閣議決定」する見通しである。

「閣議決定」「閣議決定」「閣議決定」…
 これだけ反対が多い重大な案件を、安倍政権はすべて「閣議決定」で通そうとしている。

 そもそも、「閣議決定」とは何なのか?
「閣議」とは、文字通り「内の会」だ。
 よくニュース映像で、総理大臣を囲んでソファの左右に大臣が座るシーンが放送されるが、これは閣議開始前の撮影用の場面だ。閣議そのものにはカメラが入ることはなく、その内容も非公開である。
 閣議には3種類ある。原則毎、火・金曜日の午前中に全閣僚が出席して行なわれる定例閣議、臨時に行われる臨時閣議、閣議そのものは開催せず、各閣僚の間を持ち回って賛否を求めて決定する持ち回り閣議である。
 そして、この閣議において内閣の意思として決定されたものを「閣議決定」というのだ。

 閣議にかけられるのは「法案」「答弁書」「一般案件」などである。

 内閣が国会に「法案」を提出する際にも閣議決定が行われるが、法律を成立させるのは国会の役割なので「閣議決定した」という報道があった時点では、法律はまだ成立していない。
 ニュースで「政府は○○法案を閣議決定した」というのは、「これから○○法案が国会で審議されることが決まった」という意味である。

 また、国会質問に対する「答弁書」を閣議決定する場合もある。
 昨年5月、安倍首相が就任以来首相公邸に引っ越さないままになっていることについて、公邸には「2・26事件」の犠牲者の幽霊が出るという噂話があることを踏まえ、民主党議員が「幽霊の噂は事実か。首相が公邸に引っ越さないのはそのためか」という質問主意書を提出。
 これに対して、幽霊の噂について「承知していない」とする答弁書を閣議決定している。 

 ここで問題となるのは、「一般案件」の閣議決定である。
 これは、内閣としての意思決定が必要な国政に関する重要な事柄である。
「一般案件」の中には、法令に「閣議の決定を経なければならない」と明文化されているものもあれば、明文規定のないものもある。いわゆる「村山談話」は明文規定のない閣議決定である。


 以前の自民党与党時代には、閣議決定の前に党が「事前審査」をしていた。政調会部会において議員は支持組織などの意見を入れようと修正を迫り、調整が行われ、政調審議会、党の意思決定機関である総務会で議論、了承されて閣議にかけられることになっていたのだ。
 これを最初に壊したのは、小泉内閣による「郵政民営化基本方針」の閣議決定である。
 小泉は与党内の調整を十分行なわずにこの閣議決定を強行したため、自民党の郵政民営化反対論者は大騒ぎになったのだが、小泉は一切意にも介さなかった。
 閣議の前に与党事前審査を経るというのは、法律上何の定めもない、長い間にできた慣習でしかなかったからである。

 安倍政権はこの手法を常態化させ、与党内の調整をおざなりにして何でも政権の意思どおりに進めようとしている。