第452号 2022.11.8発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…統一協会の被害救済法案を巡る議論で、「洗脳」や「マインドコントロール」の定義が問題になっている。与党側は「マインドコントロール」の定義が難しいとして、法案にこの言葉を使うことに難色を示しているが、定義が難しいからといって「洗脳」や「マインドコントロール」の概念を曖昧にしてはいけない。これは統一協会などカルトの問題だけには留まらないので、一度整理しておく必要がある。わしは『新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論』で、日本敗戦後の米軍による占領政策の一つである「WGIP」について描いたが、最近、「自虐史観はGHQの洗脳のせいではない」と主張する本が出て来た。果たしてこの本に書かれていることは正しいのか?徹底検証する!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…現在、コロナワクチン接種後死亡は1,883人、副反応「重篤」は24,295人。11歳以下の子ども2人の死亡も報告されている。(厚生労働省2022年10月7日報告)そんななか、とうとう生後6か月から接種勧奨、努力義務の適用となった。生後6か月~4歳児への接種について日本人の治験データはあるのか?ワクチンに効果はあるのか?世界各国の4歳以下の子どもに対するワクチン接種状況はどうなっているのか?副反応被害はどうなっているのか?厚労省の回答から見えた恐るべき実態から目を反らすな!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…三浦瑠麗氏の「(統一協会信者の高額献金は)競馬でスッたのと同じ」という意見をどう思う?「承久の乱」は結果として良かった?「LGBTQ」という記載にしてくれませんか?キンプリを脱退する平野紫耀、ジャニーズをやめても応援する?日本人は今後、窒息死してもマスクを外さない?いわゆる保守論檀が、反日カルトの統一協会とズブズブだったと判明した現状で「保守オピニオン誌」って存在意義あるの?他人の本棚に興味ある?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】」
1. ゴーマニズム宣言・第481回「WGIP(ウォーギルト)洗脳」
2. しゃべらせてクリ!・第408回「深まる秋、格調高く読書の秋ぶぁい!の巻【前編】」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第275回「厚労省『コロナ感染で心筋炎』のインチキリーフレットを削除。だが答弁はデタラメ」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第481回「WGIP(ウォーギルト)洗脳」 統一協会の被害救済法案を巡る議論で、「洗脳」や「マインドコントロール」の定義が問題になっている。
与党側は「マインドコントロール」の定義が難しいとして、法案にこの言葉を使うことに難色を示しているという。
だが、定義が難しいからといって「洗脳」や「マインドコントロール」の概念を曖昧にしてはいけない。これは統一協会などカルトの問題だけには留まらないので、一度整理しておく必要がある。
そもそもの「洗脳」の語源は中国語で、成立から間もない中華人民共和国が、旧体制の知識人などを監禁のような特異な環境下に置き、物理的・社会的圧力を加えて強制的に行った「思想改造」のことを意味しており、1950年代から広まった言葉である。
一方、「マインドコントロール」は強制力を伴わない手段を用い、心理操作によって自律的な決定権を奪い、様々な判断を自らの意思ではできない精神状態にしてしまうことをいう。これは90年代に統一協会が問題になった頃から一般化した言葉である。
そして、実は学校や刑務所での「教育」も、ある情報操作によって人の心理を一方向に導くものであり、これもマインドコントロールの一種なのである。
本来の「洗脳」は、あくまでも強制的な手段を用いて行われるものを指していたのだが、「洗脳」の語は一般的に使われるようになるにつれ、意味合いが拡がっていった。
そして今では強制力の有無とは関係なく、人の主義・思想を恣意的に改めることは全て、普通に「洗脳」と呼ばれるようになっている。
つまり、狭義の洗脳は強制力を伴う本来のものに限られるが、広義の洗脳はものすごく幅があり、強制力を伴わない「マインドコントロール」も「教育」もその中に含んでいるのである。
なお、平凡社の百科事典「マイペディア」では「程度の差、手法の巧拙はあれ、あらゆる教育が洗脳である」と明記している。
というわけで、普通に使われる広義の意味での「洗脳」は、
【狭義の洗脳】>>>【マインドコントロール】>>>【教育】
となっている。
その強制力の程度にはかなり差があるが、それぞれの境界はグラデーションになっていて、はっきり区別することはできないものなのである。
さて、わしは『新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論』(1998年・幻冬舎)で、日本敗戦後の米軍による占領政策について、次のように描いた。
アメリカGHQは「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム」という、日本人に戦争の罪悪感を植えつける洗脳計画を実行した。
あらゆるマスコミを検閲し、日本は戦争中こんな残虐なことをした、悪の軍隊だった、原爆落とされても仕方ないくらいの愚かな国だった、日本人は軍部にだまされていたのだ…という情報を、映画・ラジオ・新聞・書物などで徹底的に流し続けたのである。
日本国民はコロ~ッとこれに洗脳され…
「軍部にだまされていた私たちを救ってくれたのはアメリカ様だ、GHQ様だ」
「日本に民主主義のプレゼントありがとう」
「日本人の戦犯はさっさと処刑しちゃってください」
「戦争はもうイヤです」
「もうしません。歯向かいませんとも」
「戦争は悪です」
「軍隊もいりません」
「平和が何よりです」
「ギブミーチョコレート」
「ギブミー日本国憲法」
当時、GHQには「マッカーサー様ありがとう」と感謝する手紙が次々と舞い込んだという。
こうしてオウムの信者並みにGHQにマインドコントロールされた日本人は50年たった今も、よりキツイ「洗脳されっ子」となって、当時、東京裁判でもまったく問題にならなかった戦場慰安婦のことまでも「従軍慰安婦」と名づけ、自ら…
「ここにも犯罪があったじゃないか――」
…と世界に叫び始めたのである。
(第4章『東京裁判洗脳されっ子の個人主義』)
この部分は『戦争論』の中でも特に反響が大きく、「自分も洗脳されていた」「目が覚めた」といった感想を実に数多くもらった。
当時は「従軍慰安婦」が全ての中学歴史教科書に記載され、自虐史観が極限まで達していた。
なぜ教科書までがここまで自虐史観に染まり切ってしまったのかといえば、それは確実に洗脳の結果だった。
だからこそわしは西尾幹二氏、藤岡信勝氏らと共に「新しい歴史教科書をつくる会」を作り、自虐史観をひっくり返そうとしたのである。
ところが『戦争論』から24年経って、「自虐史観はGHQの洗脳のせいではない」と主張する本が出て来た。名古屋大学大学院特任准教授・賀茂道子著『GHQは日本人の戦争観を変えたか 「ウォー・ギルト」をめぐる攻防』(光文社新書)である。
もしこの本が正しければ、わしは『戦争論』の記述を大幅に修正しなければならないが、果たしてどうなのか?
コメント
コメントを書く(ID:125042837)
>>215
成人向け漫画家とありますが、要は「美少女コミック」もっと言えば「エロ漫画」を描いていた方です。
ちぇぶさんがブログをアップする前からこの話題は聞き知っていましたが、出勤途中だったので、コメントできずにいました。
ワクチン接種支持派がTwitterで「彼の死を反ワクの主張に利用するなんて許せない」とまるで親の仇に遭遇でもしたかのように息巻いてコメントしているのが多く見られました。
(ID:117110625)
所謂、「インフルとコロナの同時流行」についても、どうやらワクチン接種者に関しては起こり得るそうです。
ワクチン接種に反対する「全国有志医師の会」の代表でもある、藤沢明徳氏に伺ったところ、通常、ヒトの身体に一種類のウイルスが感染すると、他のウイルスを排除する機能というものがはたらくそうです。それが「ウイルス干渉」という現象にも繋がるのですが、度重なるワクチン接種の影響により、「他のウイルスを排除する機能」すら、破壊されてしまっている可能性がある、というのです。
ちなみに、帯広市内では3回以上接種者を中心に、がん患者(それも発覚した時点でステージ4とか)が急増しているそうです。これも、ワクチンによって、がんを抑制する免疫機能が破壊されている事が原因として考えられる、との事でした。
ついでに言うと、藤沢氏が院長を務めておられる、北海道の「ほんべつ循環器内科クリニック」では、マスク着用義務はありません。
(ID:88182328)
ゴー宣「WGIP(ウォーギルト)洗脳」を再読しました。ボーッとした頭には、やはり2度読む事が大切だと、改めて感じました。
とても面白かったです。戦後から現代に至るまでの経緯が、とても良く分かりました。ウォーギルトインフォメーションプログラムが完成に至るまで、そして、小林先生が「戦争論」を描くに至った経緯も。
学級秀才バカ、身の周りにいた色々な顔と、その言動を思い浮かべました。
コロナ禍、ワクチン禍、マスク禍の状況も、自虐史観の洗脳を解除出来ない事と似ていますね。
平和とは、一時的に戦争を行っていない期間というだけだとの言葉を、常に意識していたいです。