小林よしのりライジング

「保守がいない保守バブル」小林よしのりライジング Vol.105

2014/10/21 21:40 投稿

コメント:107

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第105号 2014.10.21発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…政界も言論空間も「保守」が大ブームの現在。親米・従米派、グローバリズム信奉者、科学力を盲信する近代合理主義の原発推進派、挙げ句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までもが「保守」を自称している。そもそも「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのか?誰も「保守」を知らない今、「保守とは何か」を考える!
※前回は、木蘭さんが“おもいッきり”暴走してしまった、若き頃のエピソードが明かされた「ザ・神様!」。今回はなぜか「ゴー宣道場」の翌日しか登場しないレアレシピ「炎のゴー宣チャーハン」の登場!ダイナミックに大脱線しながらも、海佐知&山佐知の物語は続く…!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!『天皇論』の文庫化のメリットとは?ドラマ『聖女』続編を作るなら、どんな話にする?「夢であってほしい」と思うのはどんな時?「真の童貞卒業」とは?日本に急速に拡がるハロウィンをどう思う?再生可能エネルギーによる発電は必要?枯れた熟女にならずに済むアドバイスを下さい!…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第103回「保守とは何かを考える」
2. しゃべらせてクリ!・第65回「こっち向いてクリ!艶子しぇんしぇ~の巻〈前編〉」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第43回「炎のゴー宣チャーハン!~海佐知&山佐知 大脱線の4~」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記


【生放送予定】






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第103回「保守とは何かを考える」

 いつからか政界も言論空間も「保守」が大ブームで、誰も彼もが「保守」を名乗っている。
 わしは既に10年前の2004年9月発売の「わしズム」で「最近の保守論壇はバブルなのだ」「ステレオタイプの言説のたらい回しは強がりオヤジと保守オタクの癒しにしかならない」と批判しているから、この「保守バブル」はもう10年以上も続いていることになる。

 わしは2001年9・11の同時多発テロを機にいわゆる保守論壇とは手を切り、親米・従米の保守言論人を「ポチ保守」と批判したが、その後も、資本の暴走を規制しないグローバリズムの信奉者や、科学力が自然に勝てると盲信する近代合理主義の原発推進派や、挙句の果てには排外主義や人種差別を公然と唱える極右運動集団までが「保守」を自称するようになってしまった。
 中には「靖国神社参拝が保守の条件」などと言い出す者までいるが、そんな定義が成り立つのなら、確かにどんなレイシストだろうと、グローバリズムに日本を売り渡そうとする者だろうと、どんな者でも靖国参拝さえすれば「保守」になれることになってしまうが、そんな馬鹿げた話はない。

 ともかく、こんな「自称保守」ばかりが蔓延している世の中だから、わしはあえて「わしこそが保守」という立場を演じるしかないのである。
 ちょうどそんな時に、テレビ朝日のワイドショー「モーニングバード」のコーナー「そもそも総研たまペディア」から「そもそも保守って何を保ち何を守るんですか?」というテーマで取材を受けた。
 番組は10月16日に放送されたが、なかなかよく出来ていたので、今回はその内容を紹介しつつ「保守とは何か」を考えてみたい。


 政治の世界では戦後、ずっと「保守」と「革新」の対立と言われてきた。
 最近では「革新」はすっかり影が薄くなって「死語」に近い観さえあるが、それはともかく、「保守」とは何を保守し、「革新」とは何を革新しようとしているのだろうか?
 憲法に対する態度を見ると、「保守」「革新」の定義の混乱ぶりが端的に表れてくる。自民党は憲法を変える、つまり「革新」を目指しているはずなのに、「保守」を自称している。
 一方で旧社会党、現在の社民党などは憲法を守る、つまり「保守」を唱えているはずなのに、「革新」を自称してきたのである。

 東京大学名誉教授の御厨貴氏は、「少なくとも日本に関して言えば、保守に明確な定義はありません」と言い切った。
 例えばアメリカの保守は、「建国の時点のことを守るということが基本である。アメリカの保守派が銃規制に反対するのも、建国当時に市民が銃を持ち戦った精神に基づいている。
 イギリスの場合は、王に対して貴族階級が反乱を起こし、近代議会政治を始めた時点のことを守るのが基本。政治は貴族階級が行なうものであり、貴族の利益を一番反映すること、すなわち「階級社会を守る」ということがイギリスの保守である。

 つまり、保守とは歴史上のある時点の体制を守るということなのだ。それでは日本ではいつの時点の体制を守るのが「保守」なのだろうか?
 御厨氏はそれを、「戦後の占領体制から受益者として登場してきた人たちの利益」だと言った。
 要するにアメリカとは仲良くして、安全保障をアメリカに任せて、経済中心でやっていくという人たちが、戦後日本では「保守」と呼ばれたのだ。
 そのために戦後日本では日米安保体制を守ることが「保守政治」と言われ、吉田茂や池田勇人を源流とする政治集団が「保守本流」と言われてきたのである。
 つまり、わしが「親米ポチ」と批判する者たちは、この定義によって「保守」を自称しているわけだ。それにしても「敗戦受益者の利益を守るのが保守」とは、あまりにも情けない定義ではないか。

 ところで、番組では安倍晋三の言う「戦後レジームからの脱却」とは戦後体制の「革新」という意味であるから、これは保守ではないのではないかという疑問が出ていた。
 だが、安倍晋三の「戦後レジームからの脱却」などは完全に言葉だけであって、有名無実とはこのことである。
 安倍がやっていることはアメリカ依存で経済中心という戦後レジームそのものだから、実際にはこれこそがまさに「戦後保守」なのである。
 しかも、集団的自衛権行使容認によってどこまでもアメリカの戦争の手助けをするようにまでしてしまうというのは、「戦後レジームの強化・完成」と言っていいほどの行為ではないか。


 番組ではもう一人、新右翼・一水会最高顧問の鈴木邦男氏にインタビューして、「右翼」と「保守」の関係について聞いていた。 

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コメント

 日本の歴史的な男女観から、世界で普遍的なものとなる可能性を秘め、またそうなるべきである男女の平等や、世界を救う可能性のある日本の皇室の今そこにある危機を救う唯一の方法、皇統の女系継承を擁護した文章に、グローバリズム批判までも挿入しました。
 その結びとして、ホシュが大好きなバークやチェスタトンを引用しつつホシュを斬った部分なんか、ライジングメンなら面白がってくれるんじゃないかと思います。

 参考文献はあまり思いつかない na85

No.125 121ヶ月前

na85さんの文、非常に興味深く読ませていただきました。
引用文の最初の5行で、所謂『日本サヨク型フェミニズム』とは一線を画し
たものであると感づきました。戦後、日本の『左』の人が、戦前の反省と称
して『右』を攻撃してきたが、冷戦崩壊後はそのカウンターとして、『右』
側の人が、『左』を攻撃するという、抜け出せないスパイラルに嵌まるのは、
欧米のように、真にディベートに長けた人物が日本から出てこないことに起
因するようにわたしは思います。
na85さんが仰る「情報過多の中で互いの主張を譲らず、決断できない状況
に陥った時」、「『アタシはこっちの方が好きだね』の一言で方針を決定で
きる」日本独自の女性社会中心のシステムが皮肉にも「自分の思考能力を遥
かに超える事態に直面した時、他者に裁定の全てを委ねて、自らは思考も放
棄して只他者の言うことに従う」ところだけを受け継いで、他者の特定の思
想を盲従するシステムに変質したのは、歪であると言わねばなりません。
歪であるがゆえに、本来女性中心の社会であったはずの文化が、男性中心の
社会に変わっても、何ら異を唱えず、むしろそれを「伝統」として保守しよ
うというのは、滑稽ではあるが、日本社会が外国から侵略されず王朝の交替
で文化の否定が起きなかったことの証左であるという観点からみると、まだ
救いがあり、一筋の光明を見いだせる気がします。
保守ならばこういう時こそ「和魂洋才」を使わなければ、いつ使うのでしょう。
すなわち、本来日本が持つ女性中心の社会─それは女性宮家、女性天皇の出
現に他ならない─が、世界にどのように影響をもたらすかを、欧米流ディベ
ート能力を駆使して、全世界に発信していかない限り、世界に真の平和は訪れないでしょう。
na85さんの文を読んで、わたしはここまで思考することができました。

No.126 121ヶ月前

ニセただしさん、叢叡世さん、カレー千衛兵さん、コメントありがとうございます。

No.127 121ヶ月前
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