na85 のコメント

    (続き)
 これが一変したのは、黒船来航により近代化せねばならなくなった明治の開化期です。士農工商の身分制を廃する四民平等とともに、徴兵制による国民皆兵を目指したため、それまで農工商とされた民も意識の上で武士になることが要請されました。また、上官に逆らわない従順な将兵を育てる軍事教育も必要となり、こうした朱子学的な意識改革が進み、それに伴って男尊女卑的な空気も全階層・全国民に蔓延することになりました。

 ここでキリスト教の影響も少し見てみましょう。アダムの肋骨からイヴが生まれたとする男尊女卑宗教としてのキリスト教は室町期から徐々に侵入し、鎖国時代には抑え込まれていたわけですが、明治期に再侵入を許したことで一気に拡散・定着し、このことも男尊女卑的な空気の醸成に寄与したと思われます。

 つまり、男尊女卑的な朱子学由来の武家文化が全国民にまで拡散・浸透したところへ、さらに男尊女卑宗教であるキリスト教が接ぎ木されてしまったわけです。内村鑑三や新渡戸稲造など士族キリスト者の影響も大きいでしょう。
 こうして明治期以降の日本では「女は三歩下がって歩く」という、本来の日本文化とはかけ離れた特殊な武家の風習が元々の国柄であったかのごとく錯覚させられ、それを解放したのは文明的な欧米諸国の女性解放運動と、それに目覚めた明治期の女性たちだったという偽史が刷り込まれることになりました。
 しかし当の欧米では、ようやく近代に入ってキリスト教の男尊女卑的思想へのカウンターとして女権が叫ばれるようになったわけなのですが…。それでも元々のキリスト教の権威が揺らぐことはなかったのですが…。
 NHK大河ドラマ「八重の桜」は女子教育を勧めているようでいて、実は武家からの~キリスト教という接ぎ木の偽史を定着させる意味しか持たなかったと思われます。最近やけにキリスト教を礼賛するNHKは一体どういう意図なのでしょうか。
 このような経緯で出来上がった明治以降の空気はもはや容易に動かし難く、皇嗣を男系男子に限るという皇室典範まで作り上げるほど男尊女卑に傾斜してしまいました。この傷は相当深く、現在に至るまで深刻な禍根を残しています。
    (続く)

No.119 122ヶ月前

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