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第402号 2021.7.6発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…東京都医師会は先月末に新宿・歌舞伎町で飲食店の客や従業員を対象に、入店前に新型コロナの抗原検査をするという実証実験を行った。なんと医師会はこの実験の結果を踏まえ、この夏の本格導入を目指すそうで、新型コロナ担当の西村大臣もこれを「非常に有効な手段」と評価している。本当にこんな「陰性証明」なんてものを国が制度として採用したりしたら、全国どこの飲食店に入るにも検査を受けなければならなくなるし、おそらくその対象は飲食店だけには留まらないだろう。われわれはたかがインフルエンザ以下の感染症に怯えてディストピアを作ろうという、史上空前の愚行をしようとしているのだ!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…日本においては、季節性インフルエンザと同じようにどこの病院でも診られるものとし、コロナの“超特別扱い”を解除すれば済む話なのに、わざわざワクチン賛美に重心を偏らせて、打たない人、警告する人を「ワクチン拒否を主張する困った人々」という目で見ること自体が異様である。こういった空気をますます強固にし、ワクチン賛美派に強固な自信を持たせたのは、新型コロナウイルスワクチン接種推進担当大臣である河野太郎の威力だろう。河野大臣の発言を徹底検証!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!「新型コロナウイルスは武漢の研究所から流出したもの」という説をどう思う?デルタ型の症状はとんでもなく恐ろしい!?漫画を描く時の「マストアイテム」な執筆道具は何?ネトウヨにまで東京五輪を潰したがっている者が多くいるのは何故?運悪くコロナに罹り周囲への説得力が無くなってしまった!どうすれば良い?コロナ脳ではないのに、ホリエモンや三浦瑠麗はなぜワクチン接種したの?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第425回「陰性証明でディストピアを」
2. しゃべらせてクリ!・第358回「ぽっくん限界! 涙の失神ぶぁ~い!の巻【後編】」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第219回「河野大臣、『中国やロシアのワクチンデマ』って何ですか?」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記




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第425回「陰性証明でディストピアを」

 新コロ騒動の話題の中心はワクチンに移ってしまい、SPA!で連載中の『コロナ論4』シリーズでも、危険なワクチン(遺伝子改変剤)に対して警鐘を鳴らすことに重点を置かざるを得ない状態になっている。
 だが、その一方で見逃せない、忌々しき事態も進行しているので、今回はそれを書き留めておく。

 尾﨑会長がAIBOと相談して決めたのかどうかは知らないが、東京都医師会は先月末に新宿・歌舞伎町で飲食店の客や従業員を対象に、入店前に新型コロナの抗原検査をするという実証実験を行った。
 対象者はまずスマホにメールアドレスと顔写真を登録し、自分で両鼻に綿棒を突っ込んで検体を採取し、提出する。
 検体はその場で検査され、15分ほどすると結果がスマホに届く。陰性であればその画面が「陰性証明書」となって店に入れるというのだが…
 そんな店、絶対に、嫌だ!!
 何が悲しゅうて、飲食店に入るのにいちいち自分で左右両方の鼻の穴をグリグリやって提出して、15分も待たされて、「無害」の「お墨付き」なんかもらわにゃならんのだ!
 コロナウイルスが吸着するACE2受容体は腸に一番多いのだから、ケツの穴に綿棒突っ込んで検査すればいいのだ。
 しかも陽性が出てしまったら新宿区の病院を紹介され、今度はPCR検査で長い綿棒を鼻の奥まで突っ込まれて、再度陽性が出たら隔離されるというのである。
 こんなことが本格的に実施されてしまったら恐ろしいとわしは思うのだが、飲食店の側はこれで安心して営業ができると喜んでいる。
 だったらわしは歌舞伎町になんか絶対行かんぞと思ったのだが、ことは歌舞伎町だけで収まるものではないらしい。
 医師会はこの実験の結果を踏まえ、この夏の本格導入を目指すそうだ。問題はコストで、この実験では一人3000円ほどかかったそうだが、これを公費負担として財源を確保できれば、本格展開ができるという。
 また、新型コロナ担当の西村大臣もこれを「非常に有効な手段」と評価し、「飲食店に対しての対策、さらには今後のイベントの対策。そうしたものに、生かしていければと考えています」と述べている。

 本当にこんな「陰性証明」なんてものを国が制度として採用したりしたら、全国どこの飲食店に入るにも検査を受けなければならなくなるし、おそらくその対象は飲食店だけには留まらないだろう。
 もしも映画館にも適用されたら、映画ひとつ見に行くにも鼻グリグリしなきゃならず、下手すりゃ何の症状もなくても病院送りにされて、最悪の場合は隔離だ。そんなことになったらわしは映画も見に行けなくなる。
 これはもう、ありとあらゆるところに対象が拡大される可能性がある。デパートなどの商業施設、遊園地や動物園などの娯楽施設、イベントやスポーツの会場、図書館、美術館や博物館、そのほか公共施設など、なんでもかんでもだ。
 飛行機はもちろん、新幹線なんかも対象になるかもしれない。そうなりゃわしはもうどこにも行けない。「ゴー宣道場」の全国展開もままならなくなってしまう。全くムチャクチャだ。本当に自由がなくなってしまう!
 しかも陰性証明の有効期限は12時間だというから、これが導入されてしまったら、どこかに出かけるとなったら毎日でも、場合によっては1日2度でも検査を受けなければならないのだ。

 羽鳥慎一モーニングショーでこの話題が紹介されると、玉川徹は「お酒を出さないとか、店を閉めちゃうとかよりずっといいですよ」とコメントした。
 玉川はこれで調子に乗ったのか、最近あまり言わなくなっていた「検査をできる限り拡大し、陽性者を隔離すべき」という意見を再び強調し始め、感染していない者だけで経済を回すべきだなどと、またもや言うようになっている。
 何度も言ってきたように、「検査」と「隔離」はセットである。
 全く無症状の感染者まで一人残らず検査で洗い出して、隔離しろなんていう狂った思想はもう潰したかと思っていたのだが、全然死んでいなかった。何かきっかけがあれば、いとも簡単に復活してくる。それが怖いところだ。
 どこへ行くにも「陰性証明」が必要になり、いちいち検査しなければならないとなれば、当然、隔離される人も今までとは比べ物にならないほど増えてしまうということになるだろう。もちろん、陽性者に対する差別感情もはるかに増大することになる。それでいいのか?