第371号 2020.9.9発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…テレビは、不安や恐怖を煽れば視聴率が取れる。安心感を与えても大した視聴率は期待できない。カルト宗教が人の不安に付け込んで信者を増やすのとまったく同じ理屈だ。そして世の中には、不安を煽られれば煽られるほど快感を覚え、怖けりゃ怖いほど安堵して、一番大げさに怖いと言う人を信じてしまう…そんな人が結構たくさんいるのだ。そういう人々の深層心理とは一体何なのか?
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…インフルエンザでは、ウイルスが直接の原因で起きた肺炎や脳症による死者を「直接死」、二次的な感染症や基礎疾患の悪化による死者を「間接死」と区別してカウントされていた。しかし、コロナではこの区別が行われず、「PCR陽性の死者ならすべてコロナ死」とされてきた。この区別がされていないため、「インフルエンザよりも猛毒」「インフルエンザよりも致死率が高い」という言説でコロナの恐怖が煽られることもある。コロナ統計死者の内訳からわかる驚愕の事実とは!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!ドラマ「半沢直樹」の妻「半沢花」にイラッとするのは何故?「コイツは侮れない」と感じるのは誰?中身のない政治家を見抜くコツは?「先進国における子どもの幸福度」ってどう測っているの?もし安楽死を選べるとしたら、どのタイミングで死を決断する?1000代近く続いたという御坊家、女当主がいたことはある?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第388回「怯えた言論は憐れでしかない」
2. しゃべらせてクリ!・第328回「沙麻代ちゃんとふたり、ぽっくんテレテレぶぁい!の巻〈前編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第182回「コロナ『直接死』集計のススメ」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第388回「怯えた言論は憐れでしかない」 テレビは、不安や恐怖を煽れば視聴率が取れる。安心感を与えても大した視聴率は期待できない。カルト宗教が人の不安に付け込んで信者を増やすのとまったく同じ理屈だ。
『ノストラダムスの大予言』も同じで、上手く恐怖を煽ったからこそ何冊も続編が書けて、売れ続けたのだ。
そんな中で、「コロナは日本ではそんなに怖くない」という「安心感」を唱える『コロナ論』は、どこまで部数を伸ばすことができるだろうか。すでに影響力を発揮している気配はある。これが10万部を超えれば、コロナ脳社会の崩壊が見られるだろう。
産経新聞は9月3日の社説で、新型コロナウイルス感染症について「今の時点で『日本人はかかりにくい』『重症化しにくい』といった楽観論に走るのは危険すぎる」と書いている。
そんな産経新聞にしてみれば、『コロナ論』は「危険すぎる楽観論」ということになるのだろうか?
知識人の中にも、「現実を見る勇気のない奴が楽観主義に走る」だの、「不安に耐えられないから楽観主義になる」だのと批判して、「大したことない」と言っている者を「陰謀論」と決めつける向きがある。
だがこんな非難をしてくる者は、実は自分がコロナ脳に感染して、怖くて怖くてたまらないという心理状態になっているだけである。全く憐れだ。
わしはわざわざ殊更に「楽観主義」を唱えようとして描いているわけではない。国内のインフルエンザと新コロの比較データと、世界各国のデータと、「抑圧策」の国と「緩和策」の国のデータを比較して、多角的に現実を見ているからこそ、これは大したことないと主張して来たのだ。
わしはデータに基づいて、正当な評価をしているだけだ。例えば新コロが「2類感染症」であるSARSや結核、鳥インフルエンザよりずっと弱毒性であることはデータから明らかで、それどころか「5類」の季節性インフルエンザよりも弱いと見られることから、新コロを指定感染症の2類相当から外せと主張してきた。
これがなぜ「楽観主義」になるというのか?
どっちみち分科会も指定感染症の2類から落としたいのだろうが、世論がコロナ脳一色だから、どんな非難が来るか分からず、恐れて決断が出来ないのだろう。『コロナ論』が世論を変えて、後押しするしかない。
わしはあくまでも「科学」で分析しているのだが、コロナ脳に嵌った者は、「恐怖心」を正当化するためだけに「楽観論許さず」となるから、始末に負えない。
最初に自分の恐怖感や不安感ありきで、その感情に合う言説や予言を妄信するばかりだから、「ミラノ・ニューヨークになる」だの、「火だるまになる」という過激な煽り文句に身をすくめてしまう。
そういう人は、「恐怖におののいている自分は、ひょっとして単なる臆病者なんじゃないか?」という疑念を抱いているから、不安を煽りまくる言説の方が、自分の抱いている恐怖心は正当なものだと自己慰撫できる。自分は決して臆病者ではないのだと精神の安定を見出す。
挙句の果ては、不安を煽られれば煽られるほど快感を覚え、怖けりゃ怖いほど安堵して、一番大げさに怖いと言う人を信じるのである。
それで、岡田晴恵や玉川徹に人気が出てしまうわけだ。もはや言ってることが正しいかどうかなんて、どうでもいいのである。
出発点がデータではなく恐怖心。しかもその感情の奥底にあるのは、自分の「臆病」を認めたくないというプライド、ただそれだけ。
不安や恐怖を煽られれば煽られるほど、「怖がってもいいんだよ」と臆病な自分を肯定された気になり、それが快感にまでなってしまう。
逆に新コロは大したウイルスではないと言っている人がいたら、自分が臆病者と責められているような気がするから、敵意をむき出しにする。
世の中には、そういう人がいるのだ。しかも結構たくさん。
ある知識人は、「8割おじさん」西浦博を「天才」と称し、このような人がいなかったら「日本は本当に危なかったと思います」と絶賛した。
おそらく、西浦が言った「42万人死亡」の予言など、彼には快感でたまらない名ゼリフだったのだ。だから、西浦の予言が外れたことに批判の声があっても、「リスクマネジメントとしてはオーバーに行った方が正しい」などと、屁理屈で擁護するのである。
コメント
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『生きものの記録』最近見ました。
小林先生が、2015年に産経新聞が中国軍事パレードにびびってるのは笑えるというブログで引き合いに出されていたので(「生きものの記録 ゴー宣」で検索しました)。
書かれている通り、主人公は完全におかしいと描写されてるのに、映画のスタンスがそうでもないのが不思議でしたが、黒澤は大真面目だったとのことで納得です。
この映画は強迫神経症になるとこうなるという見本であって、コロナ脳系の痴識人は見たほうがいいですね。
恐怖から快感を得ているというご指摘も、まさにそうだなと思います。
コロナ怖いと言う人を見ていると、真剣味が欠如していることをいつも感じていました。
まるでお化け屋敷気分だなと思っていましたが、それが裏付けられました。
正直言うと、僕も日常はあんまり楽しいとは思えてない気がしますが、何が真実なのかということへの興味だけはあったので、みっともないコロナ脳にはならずに今ここに書き込めています。
もくれんさんの記事、いつも大変参考になります。
集団免疫の漢字が読めないというご指摘はマジであり得ると思います!
根拠はなくても、とにかく「集団免疫は論外」と思ってるから、脳に入っていかないというか、脳が漢字を読むのを拒否するんでしょうね笑
映画とかで、主人公が記憶喪失で、自分の罪の記憶が思い出せない・・・!みたいなのは良くありますが、あれと同じですね。
シンプルに「現実見ろ」と言いたいです。
現実を見なければ勝負には勝てないということは、もちろん仕事現場はそうですし、大東亜戦争からも学ばないといけないと思うんですが、そんなにまた負けたいのかとうんざりしてしまいます。
(ID:975653)
今しがた九州道場のお知らせを見て、その中で和ナビィさんが、コロナ禍を夏の蔓草と喩えていたのに感服しました。これ以上無い喩えだと思います。
すでに秋口が見えているこの頃ですが、コロナ禍は未だ日本国内に蔓延り続けています。その証拠に、国会ではコロナ自粛、保障に関連した補正予算が組まれました。最早、「コロナ」と「マスク」は、史上最悪の流行語になってしまったとも言えます。
それに対して、ただ「コロナは風邪だ」と上っ面だけ対処しても意味がありません、コロナ禍の原因は、それこそ蔓草の根の如く日本人の心の奥深くに根付いているのです。ちなみに、蔓草の根っこは本当に深いです。キュウリぐらいの太さで何十センチと埋まっています。
その深くて厄介な根っこを全て掘り上げて駆除しなければ、またコロナ禍と同じようなインフォデミックが起きるでしょう。そのためにも『コロナ論』と、ゴー宣道場が広まるべきだと思います。
(ID:88182328)
ゴー宣「怯えた言論は憐れでしかない」を読みました。
ホラー映画や心霊番組などを見ると、どうしてワクワクするのか、分かりました。面白いですね。
女性と一緒に見ると、さらにワクワクドキドキして、盛り上がりますものね。
専門家も言論人も、その存在意義を自ら否定した事に、いつ気付くのでしょうか。気付いても居直って押し切ろうと醜態晒すだけのような気がしますね。
トンデモ見聞録「コロナ『直接死』集計のススメ」を読みました。
見たくない物は、絶対に、意地でも、全プライドを掛けて見なかったことにする。その芸当に掛けては、今の日本人は、よそのどの国民よりも上手いのかも知れませんね。
厚労相やマスメディアは、八つ墓村の因習で事実も真実もどうにでも出来るなんて思っていないで、ここは欧米人から誠実さを学んで欲しいです。