私は、新潟県にある運送会社で働いています。二十数年前、まだケータイも普及していなかった頃の話ですが、同僚の長距離トラックの運転手に、マスクマンと呼ばれている人が居ました。仕事中、常にマスクをしていて、そんな人は彼しか居なかったので、そう呼ばれて居ました。ちなみに当時、マスクって言ったら安倍の布マスクです。

　ある日、関東方面から荷物を積んで帰って来た運転手が、笑いながら事務所へ入って来て、こう言いました。
『この制服、マスクマンの忘れ物だから帰って来たら渡して上げて(笑)。』

　関東方面へ行く便は、復路の時に、埼玉県にある中継店で荷物を積み足して帰って来るのが慣例になっていました。その運転手が中継店に立ち寄ると、制服を渡されたとの事でした。
　道中、パーキングで寝るのが日課のマスクマンは追い抜かれたようでした。

　笑いが収まらない運転手が、その理由を話してくれました。
『マスクマンの制服だって言って渡されたんだけど、ウチの会社は名札なんか無いし、何で解るのか聞いたんだよ。そしたら、ポッケにマスクが入っていたからって言われてさ。確かにポッケにマスク入れてるってマスクマンしか居ないよな(爆笑)。』

　ポッケからポロッと布マスクが出てきたみたいです。
　今だったら、誰の制服か解らないなあって思って書かせて頂きました。アベノマスクだったら解るかな。