小林よしのりライジング

「社会保障の財源なき消費増税延期の欺瞞」小林よしのりライジング Vol.179

2016/06/07 21:15 投稿

コメント:131

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第179号 2016.6.7発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…安倍政権は消費増税延期を決定した。安倍は一昨年11月、消費増税を延期する際に「再び延期することはない」「景気判断条項を付すことなく確実に実施する」と断言していた。ところが、これをあっさり撤回し再延期、そしてこれを「新しい判断」だと言う。そもそも消費税の10%への引き上げは、2012年に民主党政権が自民、公明と三党合意としてまとめた「社会保障と税の一体改革」が原点で、消費税の増税を財源に子育てや介護などの社会保障を充実するといわれていた。消費増税を再度見送るのなら、社会保障のための財源はどこから捻出するのか?安倍政権の消費増税延期の欺瞞を徹底的に斬る!
※「ザ・神様!」…大天使ミエテルを意識して生活せざるを得ず、いつの間にか「見られているかどうかを見ておかなきゃ」という強迫観念に取りつかれ、“ミエテル・ヲ・ミチャッテル”になってしまっていたモクレンヒメ。平穏な日々はまだ遠いようで…??
※おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」。ぽっくん、ニュースキャスターでしゅ!いつも面白かコーナーでしゅけど、今回は特に傑作揃いぶぁい!!作者のよしりんもビックリでしゅよー!!

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【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第174回「社会保障の財源なき消費増税延期の欺瞞」
2. しゃべらせてクリ!・第139回「ぽっくんニュースキャスターでしゅぶぁい!の巻〈前編〉」
3. もくれんの「ザ・神様!」・第82回「わたしの冷酷~となりのおじさん孤独死事件6」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第174回「社会保障の財源なき消費増税延期の欺瞞」

 安倍首相は何でも断言するし、誤りが証明されても、絶対に認めない。
 イラク戦争を支持したのは誤りだったのではないかと質されると、「大量破壊兵器が存在しないことを証明しなかったサダム・フセインが悪い」などとデタラメな断言をした。
 オリンピック招致の際は、福島第一原発事故の汚染水について「私が安全を保証します。状況はコントロールされています」「汚染水は福島第一原発の0.3平方キロメートルの港湾内に完全にブロックされている」「健康に対する問題はない。今までも、現在も、これからもない」と、嘘八百の断言をしまくった。
 安保法案の国会審議の際も、断言、断言、断言の連続だった。
「戦争に巻き込まれることはないのか。世界の警察であるアメリカに言われたら断れないのではないか」と追及されれば、「戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言。
 徴兵制の是非について質問されれば、「徴兵制の導入は全くあり得ない。今後も合憲になる余地は全くない。子どもたちが兵隊にとられる徴兵制が敷かれることは断じてない」と断言。
 安倍首相がそう言っても、後の政権の判断次第で徴兵制が敷かれることもあるのではないかと重ねて聞かれると、「政権が代わっても導入はあり得ない」と断言。
 集団的自衛権の行使は「専守防衛」の原則を変えるのではないかとついて問われると、「専守防衛が基本方針であることにいささかの変更もない」と断言した。

 同様に断言しまくっていたのが、来年4月に行われるはずだった消費増税だ。
 安倍は一昨年11月、消費増税を延期する際にこう演説した。
「来年10月の引き上げを18カ月延期し、そして18カ月後、さらに延期するのではないかといった声があります。再び延期することはない。ここで皆さんにはっきりとそう断言いたします」
 さらに安倍は、平成29年4月の消費増税は「景気判断条項を付すことなく確実に実施いたします」と断言し、アベノミクスによって経済成長を達成することで、「必ずやその(増税が可能な)経済状況をつくり出すことができる。私はそう決意しています」と断言した。
 ところがその断言を撤回して消費増税の再延期。そしてこれを「新しい判断」だという。
 普通、こういうのは「判断を変更した」と言うもので、事実上「前の判断は誤っていた」と認めたことになるはずだ。2度も見送るのだから、なおさらである。ところが「新しい判断」という奇妙な言葉によって、なぜか誤りを認めずに済むようなことになってしまっている。

 消費増税の再延期は明らかにアベノミクスが失敗したからなのだが、いくらアベノミクスは失敗だったと批判しても、安倍は失業率が下がったと応戦するだろうし、まだ道半ばだと言い張るだけだから効き目がない。
 失業率が低下した理由は、アベノミクスの成果でも何でもない。団塊世代が65歳に達し、労働力人口が大幅に減少したからである。
 2012年の労働力人口が17万人の減少だったのに対して、2013年以降は毎年117万人ずつも減少しているのだ。
 アベノミクスをやろうがやるまいが、2012年以降は失業率が低下していくことは、日本の人口構造の推移から見て、ずっと以前から予測されていたことだ。今後はさらに人手不足が加速していく。
 問題なのは失業率が改善されたことではなく、実質賃金が下がり続けていることなのである。 

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コメント

『民主主義という病い』拝読しました。
タイトルを見て、「病い」とはどういう意味か?と共に、「病いに罹患しているのは誰か?」に興味を持ちました。安保法制時のSEALDsの若者等とその擁護者ではないか?とは漠然と想像していました。しかし読み進むにつれ、日本人の多くもそうではと思わされ、最後は私自身が罹患者である事に気づきました。

通読しての一番の収穫は、西洋とは違う日本の民主主義を「発見」できた事です。古代から日本のナショナリズム・日本の民主主義の源流が有り、長い歴史を経て現代に至るとは恥ずかしながら知りませんでした。

読み終わって、民主主義を単純に有難がってはいけないと思いました。むしろ民主主義は、危険なイデオロギーであり宗教でもありうる、警戒しなければならないものと思います。

今後日本の政治を動かして行く時には、民主主義を「制度」として受け入れ、「公平・公正・公共」という価値を大切にした『公民主義』を目指す事。これが『病い』を克服し、乗り越えていく為の処方箋ではないか?と思いました。

最後に、このような人によっては苦い薬を、富裕層のフレンチというオブラートに包み届けて下さって有難うございました。まだ理解不足な点が多いですが、徐々に「知の富裕層」に近づきたいです。

No.137 100ヶ月前

 増税は自分の場合、条件付き賛成派なんですよね。ちゃんと福祉とか国民の為に使うとか。実は大企業を税金で手厚く支援するためだけに(安倍ならやりかねん気がする)増税するというならどうも賛成しかねるとしか言いようがありません。

No.138 100ヶ月前

配信ありがとうございます!「民主主義という病い」恐ろしいですね~。予防薬は小林先生がずっと主張してきた「確固たる「個」をもつこと」なんだと思っています。この病いにかからないよう気をつけます!

No.139 100ヶ月前
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