小林よしのりライジング

「自主防衛のコストは大したことない」小林よしのりライジング Vol.178

2016/05/31 19:40 投稿

コメント:117

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第178号 2016.5.31発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…11月のアメリカ大統領選挙で、「トランプ大統領」が誕生するという事態を本気で恐れおののいているのが、日本の自称保守派の連中だ。トランプが在日米軍撤退といった発言をしているのが、恐ろしくてたまらないらしい。自称保守派は、自主防衛は決してできない非現実的なものであるかのように主張しているが、その理由の第一に挙げているのが「コスト」である。自主防衛にすると「22兆2661億~23兆7661億円」ものコストがかかるというが、このコスト試算には極めて悪質なトリックが使われていた!!
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…『男女不平等。僕らは結局稼ぎで選ばれる』日本は、あと20年足らずで、男性の3人に1人は結婚できない時代になるという。なぜ男性ばかりが割を食っているのか?一方で、世界経済フォーラムが発表した「ジェンダーギャップ指数(男女平等指数)」では、日本は145か国中101位となっているらしい。果たして、男と女、どっちが不平等!?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!引きこもりのニートを社会復帰させて自活させるにはどうしたら良い?「とと姉ちゃん」の評価が低いのは何故?「ゴー宣道場全国拡大化」のための提案!朝帰りの際、妻に向かって平静を装うコツは?先生でも「間違いを認める」には労力と気力が要る?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第173回「自主防衛のコストは大したことない」
2. しゃべらせてクリ!・第138回「新作『おぼっちゃまくん』に注文ぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第6回「どっちが不平等?『生涯未婚男女』と『ジェンダーギャップ』」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第173回「自主防衛のコストは大したことない」

 11月のアメリカ大統領選挙は、米国メディアも「大統領選史上、最も不人気な候補同士」という、共和党ドナルド・トランプと民主党ヒラリー・クリントンの対決となることがほぼ確実だが、最近の世論調査では、初めてトランプの支持率がヒラリーを上回ったという。
 そして「トランプ大統領」が誕生するという事態を、本気で恐れおののいているのが自称保守派の連中だ。
 トランプが、「日本は在日米軍の駐留経費を全額負担せよ、さもなければ米軍を日本から撤退させる」といった発言をしているのが、自称保守派は恐ろしくてたまらないらしい。
 かつて自称保守派は、共和党政権であれば日米関係は盤石で、「親中派」のヒラリーが大統領になることは「最悪の事態」のように認識していたはずだが、今はヒラリーの方がいいと思っているのだろう。
 日本が独立国であれば、他国の大統領が誰になろうが、あくまでもその国の問題だと構えていられるはずで、アメリカ大統領が誰になるかで右往左往する態度こそ、属国根性そのものである。

 ともかく自称保守にとっては「在日米軍撤退」とは想像もしたくない悪夢のようで、産経新聞は5月24日、25日の2日間にわたり、「日米同盟が消える日」という特集を組んで怯え、こう狼狽しまくっていた。

 米軍が撤退すれば、すぐに中国は尖閣に上陸する。「専守防衛」しかできない自衛隊では、最後には尖閣は中国に取られてしまう。
 在日米軍の撤退は在韓米軍の引き揚げに直結し、朝鮮半島の軍事的均衡も崩れる。
中国による台湾侵攻が現実味を帯び、南シナ海は完全に「中国の海」と化す。国際情勢は一気に予測不能に陥る――

 もう、アメリカ様がいなければ夜も日も明けぬといった有様である。
 自称保守はさんざん「中国恐るるに足らず」みたいなことを言っていたはずだが、結局はそれもアメリカ様が頼りだったようである。
 自衛隊では何もできず、米軍がいなくなったら必ず中国にやられちゃうと怯えながら、空威張りしていたのだ。
 もちろんそんな自称保守の性質はとっくに見抜いていたが、こうも無残な本性をさらしながら、それがみっともないということに気づいてもいない狼狽ぶりには、苦笑するしかない。

 そもそも、在日米軍がいなくなったら、日本は国を守れないのか?
 在日米軍を撤退させ、代わりに自衛隊を置いて自主防衛することはできないのか?
 実を言えば、在日米軍がいようがいまいが、日本の防衛はまず自衛隊がすることになっているのだ。
 昨年4月の日米安全保障協議委員会(「2+2」)会合で勧告された「新ガイドライン(日米防衛協力のための指針)」には、こう明記されている。 

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コメント

笹先生の『笹幸恵の軍事トリビア』とても楽しみです!! “誰もが見たい(笑)時事楽論”でのバターン死の行進の話が、聞いていてとても解りやすくて、頭の中にスイスイ入ってきたので、もっともっと笹先生から当時のお話を聞かせて頂きたいです。
とても楽しみにしております♪
(*^▽^*)

No.128 102ヶ月前

配信ありがとうございます。
映画でも小説でも漫画でも基本的には、
自分たちの国は自分で守っているのが普通です。
中には変な設定っていうのはありますが、
それは架空の世界であるのでよいのです。
が、これを現実でやっているところが、今の日本なのですよね。
情けない話です。
しかも金額も思っていたよりも安い。
タックスヘイブンに流れているお金をしっかり徴収することが出来れば十分にまかなえますよね。
まぁそもそも高いだの安いだので自主防衛を話している時点で、
今現在の自称保守、従米保守のレベルはあまりにも低いという事がわかりますね。
もちろん私を含め国民のレベルも……ですが。
何とかそこから脱するために思想していきたいです。

もくれんさんの第6回の記事、勉強になりました。
ありがとうございます。

「僕は『民主主義という病い』だよ」
面白かったです(笑)。
ありがとうございました。

No.129 102ヶ月前

「民主主義という病い」は、発売日(地方なので数日遅れましたが)に購入しましたが、
その後、何度も読み返しております。
「SPA!」連載時の「ゴー宣」からリアルタイムで今まで読んでいるものですが、
とても勉強になります。

「自主防衛を否定する論拠に「コストがかかりすぎる」」というのは、ネット右翼の人々もでしょうが、
そういう論調に学生時代に影響を受けてしまって、その後社会人になっている人たちも同じような論調で言っているように思います。
現に、自分の周りがそういう感じです。
そうかと言って、それに異を唱える人たちの論調も「アメリカに力いっぱいついて行け!」派に対する「アメリカに嫌々ながら渋々付いて行け!」派のように、政治信条に関する話を聞いている時に思います。

かく言う自分自身も、SNSでの人間関係(実際にお会いしたことがある人達に限ってやらせては戴いているのですが)が、
自分の中で重きを占めてしまい、PCやスマホのトラブルでネットが出来なくなると、何だか心許なくなってしまうので、
やっぱりアメリカの絶大な影響下に置かれた戦後の日本の呪縛、現代病とでもいうべきか、その辺りから全く抜け出せていないと改めて反省する次第です。

ネット右派の論調に影響された人の中には「70数年前のことをいつまでウジウジ言っているんだよ。朝鮮人かよ」と揶揄する人もいますし、ネット左派の論調に影響された人々は、ひたすら「安倍が悪い」「自民が悪い」「自分達に噛み付いてくるのは自民党のネットサポーターだろう」と、これまたくだらない陰謀論というか、お互いに醜い揚げ足の取り合いになっているようにしか見えません。
しかし、そういうネットでのやり取りからは卒業したんだよ、と構えている人たちにも、そういう影響が残っているように見える人たちは少なくないですし、自分自身もそうでない第三者の方々との交流があってこそ、自分を客観視出来ているんじゃないかとか、そもそも自分自身で思っている以上に、戦後民主主義というものから、どれだけその影響を排して自分自身を客観視出来る人たちがいるのか、という思いも致します。
そういう中で、ゴー宣読者の皆様、ゴー宣道場の門弟の皆様のご意見はとても有難いです。
師範の先生方のご意見と共に、ご意見を目にして改めて考える時に、自分自身を冷静に見つめ直すきっかけにもなります。
今後とも応援しております。
長文失礼致しました。

No.130 102ヶ月前
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