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第120号 2015.2.10発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…「政府批判はテロ集団の思うつぼ」「この非常時に政権の批判をする者は非国民だ」「思考停止せよ」「近視眼的になれ」…ジャーナリズムも権力に迎合し政府の広報紙になりつつある。中東に踏み込むことがいかにリスクの高いことか、日本人は十分認識しているのか?戦後70年を経て、日本は遂に新たな戦争「対テロ戦争」に無自覚のまま突入してしまった…!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!日本国内でもテロが起こる可能性はある?徴兵制や核武装について、どう考える?「相棒」から成宮寛貴が卒業!次の相棒はどんな役者が良い?覚醒剤で逮捕された小向美奈子をどう思う?「大きな魚」を逃した私に叱咤激励を!!「イスラム国」って呼んじゃダメなの?…等々、よしりんの回答や如何に!?
※おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて、一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてくり!」。へみ?へれ?へも??沙麻代ちゃんがぽっくんにバレンタインのチョコレートを?世の中に、そんなことが起こるものなんでしゅかー!?

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【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第117回「『ゴー宣道場』とイスラム国」
2. しゃべらせてクリ!・第80回「まさかのハッピーバレンタインぶぁ~い!の巻〈後編〉」
3. よしりんウィキ直し!延長戦・第7回「『ゴーマニズム宣言スペシャル・天皇論追撃篇(新天皇論)』過去版」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第117回「『ゴー宣道場』とイスラム国」

 第46回ゴー宣道場「『新戦争論1』と戦後70年」が2月8日に開催された。
 参加者の応募締め切りが『新戦争論1』の発売日当日で、地域によってはまだ発売前だったにもかかわらず、いつも以上の応募があり、会場は満員となった。みんな、参加応募をしてから当日までに『新戦争論1』を読んで、道場に臨んでくれたようだ。

 タイトルには「戦後70年」とつけたが、今回は特に現在の戦争、すなわちイスラム国を相手に行われている「対テロ戦争」にほぼテーマを絞った。
 わしとしては、人々に、戦後70年を経て、現在の空気は「戦前」に戻っているということを自覚してほしかった。
 今回の邦人人質殺害を受け、自民党総裁特別補佐の萩生田光一は、いま安倍政権を批判することは「政府と国民を離隔させたい相手の思うつぼ」であり、「ここは国民が一丸となって政府の取り組みを支援すべき」だと発言した。
 つまり「政府批判はテロ集団の思うつぼ」と言っている。
この非常時に政権の批判をする者は非国民だ」と言っていることになる。
 国民は「思考停止」せよと政府が言っているのだ。

 本来なら、権力の側がこんなことを言い出したら、真っ先に警戒するのがジャーナリズムの使命であるはずだ。
 ところが、読売新聞特別編集委員の橋本五郎は、「目の前の敵がいる時に、政権批判はすべきではない」といった発言をした。
 現政権の判断が、中長期的にどんな影響をもたらすのかということなど考えてはいけない、目の前の敵だけを見て、「近視眼的」になれと言っているのである。
「思考停止せよ」と「近視眼的になれ」が政府の国民への要望である。
 驚くべきことに、大マスコミ・ジャーナリストは、このお達しに従って、政府批判を自粛し、権力に迎合してしまっているのだ。

 しかも、たとえジャーナリストが権力のチェックという本来の機能を果たそうとしたとしても、新聞も雑誌も、いまは政権批判をしたら売れないという事態に陥っている。
 まるで「戦前」である。支那事変の頃も、ジャーナリズムが権力に迎合し、国民も戦争に反対する新聞など読まないという状態だった。商売上、新聞・ジャーナリズムは、政府・軍部の広報紙にならざるを得ない状態だったのだ。
 
 今わしが伝えたいメッセージは政府の意図とは反対、「思考停止するな」「近視眼的になるな」である。

 実は、今回のケースで人質の救助の問題には、わしは関心を持っていない。国家はどんな理由であれ、邦人を守る義務があるが、さりとて「自己責任」が前提のプロフェッショナルがテロリストに人質に取られた場合に「身代金」を払うのは正しくない。 
 それよりもわしが憂慮するのは、中東に踏み込むのはリスクが高すぎるということを、未だに日本人が十分認識していない危うさである。
 
 テロ組織が「イスラム国」という「国」を名乗るというのは、かつてない画期的な出来事だった。
 イスラム国は、イラク戦争の結果誕生した。
 崩壊させられたフセイン政権にいたバース党幹部が、イスラム過激派と手を組んだのがイスラム国であり、実際にかつて国家を動かしていた者たちが官僚機構を整えたから、「国家」の体裁をとれるのである。
 イラク戦争がなければ、イスラム国が登場することは決してなかったのだ!

 そもそも