小林よしのりライジング

「日本のサブカルが強い理由」小林よしのりライジング Vol.493

2024/01/30 17:10 投稿

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第493号 2024.1.30発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…今年に入ってから、日本は「サブカルしか勝たん!」ということを書いている。では、なぜ日本のサブカルは強いのか?それは、日本のサブカルは日本にしかないからである。実は、日本の「サブカル」は、欧米の「sub culture」とは全くの別物なのだ。欧米の「sub culture」と、日本の「サブカル」とでは、その成り立ちも性質も全然違うのだが、なぜかそれをきちんと解説したものがほとんど見当たらない。そこで、今回はこの点をはっきりさせておきたい。
※茅根豪氏の特別寄稿…『日本の死角』(講談社学術新書、2023年)が売れているらしい。Amazonでは175個も評価がついている。この本のトップに収録されている論考「日本人は集団主義という幻想」が特に気になったので、同論考の元になる本を読んでみた。その本は『日本人論の危険なあやまち』(ディスカヴァー携書、2019年)である。果たして、日本人は本当に集団主義的ではないのだろうか?
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…「福岡県民パンプアップ」と「福岡以外の人も『そうだったのか』と思える」を両立した動画「福岡どうでしょう」を作ろうと決めた。今回は福岡空港の話である。福岡空港は1945年5月に「席田飛行場」として完成するが、8月の敗戦で米軍に接収されて「米軍板付基地」となった。朝鮮戦争やベトナム戦争時にはここから戦闘機がバンバン飛んでいたのだ。1971年には当時のニクソン大統領の軍縮政策と、福岡の市民運動とが相まって基地の返還が決定。翌72年3月には板付基地は日本に返還され「福岡空港」となった。しかし実はこの返還運動は現在も続いているという!水面下で遂行されている米国の作戦と、福岡空港が抱える矛盾とは?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…「鬼太郎誕生・ゲゲゲの謎」の見方、これは邪道?先生の溢れるエネルギーはどこで培われたもの?「ジャンプ連載経験者でコロコロをぬるま湯と称した漫画家」が小林よしのりだという噂は本当?ソロモン諸島、ナウルと太平洋諸国が、台湾と断交し中国と国交を樹立していることに対して、これを阻止する手段をアメリカや日本は考えているの?死の間際に名乗り出て亡くなった桐島聡の人生とはなんだったのでしょうか?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第522回「日本のサブカルが強い理由」
2. 特別寄稿・茅根豪「日本人は本当に集団主義的ではないのか?」
3. しゃべらせてクリ!・第449回「命短し恋せよぽっくん! ブランコでむせび泣きぶぁい!の巻【前編】」
4. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第316回「福岡空港と米軍基地の矛盾」
5. Q&Aコーナー
6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
7. 編集後記




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第522回「日本のサブカルが強い理由」

 今年に入ってから、日本は「サブカルしか勝たん!」ということを書いている。
 では、なぜ日本のサブカルは強いのか?
 それは、日本のサブカルは日本にしかないからである。
 実は、日本の「サブカル」は、欧米の「sub culture」とは全くの別物なのだ。

 欧米の「sub culture」と、日本の「サブカル」とでは、その成り立ちも性質も全然違うのだが、なぜかそれをきちんと解説したものがほとんど見当たらない。そこで、今回はこの点をはっきりさせておきたい。
 まず、その前に予備知識として「カルチャー」の分類をしておく。
 カルチャーは、大きく4つに分類される。
 これまで述べた「メインカルチャー」「サブカルチャー」に、「ハイカルチャー」「カウンターカルチャー」を加えた4つである。
 前回ざっくり定義したように、「メインカルチャー」とは世の中の大多数が認めている文化、「サブカルチャー」とは、世間の一部しか認めておらず、世の多数派、良識派からは白眼視されている文化をいう。
 だが、この「メイン」「サブ」の定義は日本独自のもので、それが今回のポイントとなる。
 一方「ハイカルチャー」とは、一言でいえば「高尚な文化」のことだ。高い芸術性や完成度を持つとされ、社会的に高い評価を受け、教養ある上流階級が愛好してきた文化を指す。狭義においては「文化」といえばハイカルチャーのみを意味する場合もある。
 そして「カウンターカルチャー」は、位置づけとしては「サブカルチャー」の一部だが、サブカルチャーの中でも特に反骨精神が強いものをいう。その価値観や行動規範は一般の慣習から大きく逸脱し、しばしば反社会的なところまで先鋭化することがある。

 ではここから「サブカルチャー」に焦点を当て、その成り立ちを見てみよう。
 そもそもサブカルチャーというものが最初に成立したのは、1960年代半ばのアメリカである。
 50年代までのアメリカでは、若者文化としてロックンロールが登場し、世の大人が眉を顰めるようなことはあったが、それは「サブカルチャー」というムーブメントにまでは至らなかった。
 戦後、アメリカは「黄金の50年代」と呼ばれる絶頂期を迎えた。第二次世界大戦に勝利して世界一の超大国となり、バラ色の時代を謳歌する風潮に満ちていたのだ。
 わかりやすい例でいえば、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で描かれた古き良き時代が「黄金の50年代」のアメリカである。
 わしの子供の頃は、テレビで『奥さまは魔女』や『名犬ラッシー』などアメリカのドラマを数多く放送していたが、これらも「黄金の50年代」を舞台として、当時のアメリカ文化を描き出したドラマである。
 そこには、家庭には頼りがいのあるパパと優しい専業主婦のママ、そして子供たちがいて、生活は豊かで、明るく希望のある世界が描かれており、それを見て敗戦国・日本の国民は大いにアメリカへのあこがれを抱いたものである。

 だが、当時のテレビドラマには決して描かれなかったが、その頃のアメリカでは、バスやレストランなどに「黒人専用席」が設けられるような差別が公然と行われていた。
 差別解消を求める公民権運動は50年代半ば以降、マーティン・ルーサー・キング牧師らによって本格化していくが、特に南部ではこの動きに対する抵抗が強く、差別解消を訴えるのには命の危険が伴った。
 公民権運動は1963年、キング牧師の呼びかけに応じて20万人が参加した「ワシントン大行進」で最高潮に達した。
 この時にキング牧師が行った「I Have a Dream」の歴史的な演説は、アメリカ国内の黒人差別解消運動のみならず、当時まだイギリスやフランス、オランダなど白人諸国の植民地統治下にあったアフリカやアジアの諸地域における独立運動や、南アフリカなどの人種差別解消運動にも大きな影響を与えるものとなった。

 こうして「黄金の50年代」には覆い隠されていたアメリカの影の部分が明るみに出され、それと同時に、それまでのアメリカの文化や価値観に対する強烈な異議申し立ての動きが沸き上がった。
 その従来のアメリカ文化とは、要するに「キリスト教文化」のことである。
 そこには白人至上主義、家族尊重、男尊女卑、同性愛の否定といった価値観が含まれていて、このような文化を否定し、これに代わる文化を打ち立てようというムーブメントが起こったのだ。
 そして、圧倒的多数のアメリカ人に浸透していた従来のキリスト教文化を「メインカルチャー」と位置づけ、これに対抗する「サブカルチャー」や「カウンターカルチャー」が登場してきたのである。 

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コメント

ライジング配信ありがとうございます。

ゴーマニズム宣言・第522回「日本のサブカルが強い理由」拝読しました。

そういえば日本のメインカルチャーってなんだろうと、過去何度か思ったことがあります。
歌舞伎や相撲、日本画、浮世絵でしょうか。
決まった形があって、完成されたもの。

日本のサブカルに該当する漫画やアニメは、「決められたものが無い、とにかく自由」というイメージがあります。
サブカルだからこそ、自由でいられる。
サブカル万歳!!

アメリカの保守が、黄金の50年代への回帰を望んでいるところは、日本の自称保守が高度経済成長期を懐かしんでるのと似てると感じます。
東京五輪をまたやっても2回目の開催ということで、どうしても初めてのときと同じ興奮は望めません。
それは北京五輪も同じで夏と冬と季節は違っても、2回目の開催ということでどうしても盛り上がりに欠けてしまいます。
現状への不満から、現実逃避で過去を懐かしんでも、その恩恵に自分が預かれると思えるのはお花畑です。


特別寄稿・茅根豪「日本人は本当に集団主義的ではないのか?」拝読しました。


「日本人は集団主義的ではない」という答えを出すために、アンケートや実験の内容を、都合良く解釈をしたという印象です。




木蘭さんのトンデモ見聞録・第316回「福岡空港と米軍基地の矛盾」拝読しました。


父の実家が佐賀にあり、幼い頃福岡空港を利用したことがあります。
以降福岡空港を利用したことはありません。
新幹線で博多から伯父の家に寄るために電車を使ったとき、停車駅を見ていて「福岡空港ってこんなに近いんだ」と感じたことは覚えていました。


街中にあるがゆえに福岡空港に門限があることは、今回初めて知りました。勿論米軍基地が福岡空港内にあることも。


いくら門限過ぎちゃったからって、マニラから飛んできた飛行機が、そのままマニラへ引き返すなんて機長何考えてたのか。近くに着陸できるところ探しましょうよ。


米軍基地が福岡空港内にあるということは、有事の際、福岡空港が使われるということ。
どんなに「戦争反対」と叫んでも、福岡にいるだけで、危険に晒されるということ。




No.97 7ヶ月前

先日の冬歌謡特集、本当に楽しく現場にいた笹家臣団の皆さんが羨ましかったです。
 森進一『冬のリヴィエラ』(昭和57年)
 八代亜紀『もう一度逢いたい』(昭和51年)
 新沼謙治『津軽恋女』(昭和62年)
 アン・ルイス『六本木心中』(昭和59年)
今回も、カラオケスナックでさぞかし歌われたであろう名曲ばかりです。
演歌を歌うよしりん先生は、笹さんが「色気がある声」と書かれているように、甘い歌声だなあと思いながら聴いていました。
音声トラブルも少しくらいなら昭和の生放送には付きものだった気がします。

毎回楽しみな大須賀ディレクターの解説コーナーでは、『津軽恋女』を「シンセサイザーポップス」と言われたことに興味を惹かれました。
シンセサイザーとキーボードとエレクトーンの区別もつかないくらい音楽には無知なので理解が難しいのですが、言葉だけ聞いたことのある"打ち込み"というものでしょうか。
最近はボーカロイド(これも分からない)という言葉もよく聞くようになり、時代遅れの音楽素人としても予備知識の必要性を感じました。

3月の横浜ライブはテーマがエロだそう。
アダルトな昭和歌謡といえばムード歌謡を思い浮かべますが、個人的に好きな『星降る街角』や『別れても好きな人』、『ラブユー東京』などはあり得るのでしょうか。女性が自虐的に「ダメなわたしネ~」と歌う『よせばいいのに』は時代的に無理かもしれません。
そしてチェブリンさんは、『ブルーライト・ヨコハマ』か『ひと夏の経験』を歌ってくれるのでしょうか。
今から楽しみです。

No.98 7ヶ月前

「歌謡曲を通して日本を語る」今回もとても楽しませて頂きましたが、最後お立ちになってたよしりん先生がややお疲れに見えました。こう書いたら先生に失礼とも思いますが、お疲れでしたらどうぞお掛けになって下さい。アンチでもなければ文句を言う視聴者は誰もいないと思いますよ。
横浜LIVEのテーマは「エロ」ですか。あくまで50代前半の私の個人的感覚で書きますと、10代半ばから20代前半の私の周りではサザンオールスターズや米米クラブ、「岡村ちゃん」こと岡村靖幸さんの歌の幾つかが他から頭ひとつ抜けたエロ歌詞だったように思います。テレビでは女性の胸がまだ出てくる事もあったかも知れませんが、一般的な少年少女のエロに対する感覚は現代よりまだ少し奥ゆかしかったんじゃないかな、という記憶があります。エロい事を口にしたり見聞きした時「あぶない!」と言ったりしたものですが(とんねるず発祥の言葉だったんでしたっけ?)、「あぶない」という表現にも何となくリアリティーがあった気がします。エロい事を言ったり見聞きしたりする事はタブーを破っている事だ、と反射的に考えてしまうリアリティーが。

・・・・・・あまり参考にならない話でしたらすみません。先生だとRCサクセションの「雨あがりの夜空に」を候補の1つに考えていらっしゃるかもとちょっと思いましたが、如何でしょうか?チェブリンさんが奥村チヨさんの「恋の奴隷」を歌うというのも面白いかも知れません。

No.99 7ヶ月前
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