2)について。
北海道大学大学院理学研究院の黒岩麻里教授らの研究グループが、東京工業大学生命理工学院生命理工学系の伊藤武彦教授、梶谷嶺助教らの研究グループと共同で、Y染色体とSry遺伝子をもたないアマミトゲネズミという哺乳類が、Sry遺伝子なしにオスが決定される仕組みを解明しています(2022年11月28日「The Proceedings of the National Academy of Sciences」誌に掲載)。
要は、オス化を決定づけるSry遺伝子が無くともオス化が確認できた、という事例なのだそうです(世界初)。
https://www.titech.ac.jp/news/2022/065377
実はヒトにおいても、少数ではありますが、性染色体がXXでも男性化する例が報告されているとのことです。
その詳しいメカニズムまでは明らかになっていませんが、性分化を司るのがY染色体やSry遺伝子だけではない、生物のあらゆる営みは、人間が想像する以上に多様で柔軟なものなのだと考えることができます。
ちなみに黒岩麻里教授 によると、
「Y染色体の遺伝子数は減りつつある」
「Xの遺伝子数は約2000であるのに対し、Yはたったの50程度」
「ごく少数と思われていたXXYの男性というのも、実は相当数おられるのではないか」
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00139/
(ID:2345820)
既出の内容であれば恐縮ですが、男系固執派らを論破する上で参考になる情報になりうる情報に接したので、投稿させていただきます。
要旨は2つ。
1)Y染色体は加齢で失われることがある
2)Y染色体がなくても男性になることがある
それぞれ情報ソースと共に、補足を記していきます。
1)について。
大阪公立大学の佐野宗一特任講師が、バージニア大学にて取り組んだ共同研究の成果を「後天的Y染色体喪失(mLOY)と心不全の因果性の証明」として論文を発表。
国際学術誌「Science」の2022年7月15日号に掲載されたというものです。
https://www.omu.ac.jp/info/research_news/entry-01481.html
(論文の概要が記されたプレスリリースも公開されています)
私はそもそもY染色体が失われるという現象(mLOY)そのものに驚いたのですが、このmLOY自体は半世紀以上前から知られていた現象なのだそうです。
佐野特任講師によると、
「血液細胞にのみ起こるもので、これで女性化することはない」
「70歳の40%・93歳の57%にみられる」
「mLOYが起こるメカニズムは不明」
「mLOYかどうかは検査をしないとわからない」
「なりやすいのは加齢・煙草・遺伝」
とのこと。
https://www.omu.ac.jp/omuom/articles/entry-00140.html
つまり、知らない間にY染色体を失ってしまっている男性は、一定数存在するようですね。
2)について。
北海道大学大学院理学研究院の黒岩麻里教授らの研究グループが、東京工業大学生命理工学院生命理工学系の伊藤武彦教授、梶谷嶺助教らの研究グループと共同で、Y染色体とSry遺伝子をもたないアマミトゲネズミという哺乳類が、Sry遺伝子なしにオスが決定される仕組みを解明しています(2022年11月28日「The Proceedings of the National Academy of Sciences」誌に掲載)。
要は、オス化を決定づけるSry遺伝子が無くともオス化が確認できた、という事例なのだそうです(世界初)。
https://www.titech.ac.jp/news/2022/065377
実はヒトにおいても、少数ではありますが、性染色体がXXでも男性化する例が報告されているとのことです。
その詳しいメカニズムまでは明らかになっていませんが、性分化を司るのがY染色体やSry遺伝子だけではない、生物のあらゆる営みは、人間が想像する以上に多様で柔軟なものなのだと考えることができます。
ちなみに黒岩麻里教授 によると、
「Y染色体の遺伝子数は減りつつある」
「Xの遺伝子数は約2000であるのに対し、Yはたったの50程度」
「ごく少数と思われていたXXYの男性というのも、実は相当数おられるのではないか」
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00139/
また、東邦大学のサイトにはこのような解説もありました。
「ヒトのX染色体の大きさはYに比べて非常に大きく、生命活動に必要な遺伝子を多く含むが、Yに個体の生命活動に必須な遺伝子は存在しない(女性はYを持たないが、個体の維持には何の問題もない)」
https://www.toho-u.ac.jp/sci/biomol/glossary/bio/sex_determination.html
ここまでで、大方の趣旨はご理解いただけたのではないかと思います。
即ち、学術的に見ても「Y染色体の継承にこだわることに価値は見出せない」「Y染色体を継承し続けること自体が非現実的である」。
男系固執派の理屈について述べるならば、彼らが崇め奉っている神武天皇のY染色体、とっくに途絶えている可能性の方が高い。
数十代にも渡る皇位継承の過程において、諸々の要因でY染色体が失われているという事態は充分に考えられます。
男系固執派のある政治家が、「昔の人はY染色体というものは知らなかったが、それを残すべきという感覚はあった。男系継承はそのための先人の知恵だ」みたいなことを言っていましたが、そんな感覚が存在するはずがないということも分かります。
目の前の男性が必ずしもY染色体を持っているとは限らず、その有無は検査しなければ分からないからです。
そもそも、後天的かつ偶発的に失われる可能性がある、極めて不安定なY染色体を、クニで最も大事な皇位継承の基準に据えるはずがありません。
長くなりましたが、補足終了。
今は「愛子様にトキメキたい!」「愛子様しか勝たん!」という庶民感覚を重視する流れになっているので、このようなY染色体にまつわる学術的な反論は、「理屈はもういい」よろしく、お呼びではないのかもしれません。
ただ、論破祭りを続けておられる公論サポーターの皆様方のご参考になれば幸いです。
それにしても、竹内久美子ってまがりなりにも生物学を研究していたはずなのに、事例として既に報告されていたmLOYとかXXの男性について全く無知だったんですかね。
八木秀次という、法学者にして生物学についてはど素人な人間が唱えた「Y染色体論」なんて、常識ある人間ならまず疑ってかかるものだと思うのですが。