第282号 2018.8.28発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…来年4月30日の天皇陛下の退位を控え、何でもかんでも「平成最後の」という枕詞がつけられるようになってきた。そして今、「平成の次」の元号の発表の仕方について議論が起きている。政府は国民生活に混乱を生じさせないよう、皇位継承1か月前の公表を念頭に準備を進めているが、保守派は新天皇即位の当日である5月1日に公表すべきと主張している。新元号の発表時期について、どう考えるべきだろうか?
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…幻冬舎plusの連載で、ネトウヨとして活動していた人々のインタビューを行っている。先日配信した『卒ウヨして僕が気づいた4のこと』は、街頭デモに繰り出したり、ネトウヨ陰謀観に絡み取られて、むき出しの愛国心を日々ブログに綴るまでに至った“普通の会社員”による自己分析だ。この記事に対して現役のネトウヨの人々から猛抗議がやってきている。ネトウヨ珍クレームの数々をご紹介!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!シリアで拘束されている安田純平さんは自己責任?出生前診断についてどう思う?ネトウヨの動画が削除された「BAN祭り」はアリ?システムを変えるだけでも一苦労だとしても、やはりシステムは考え続けるべきでは?いつまで経っても「厭戦感情」を煽るだけの番組ばかりで、根本的な議論がされないのはなぜ?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第290回「新元号を巡る議論を整理する」
2. しゃべらせてクリ!・第239回「しぎゃびー! 嵐の海で絶体絶命ぶぁい!の巻〈後編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第94回「ネトウヨ珍クレーム集」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第290回「新元号を巡る議論を整理する」 来年4月30日の天皇陛下の退位を控え、何でもかんでも「平成最後の」という枕詞がつけられるようになってきた。
SNSでは「平成最後の夏」というキーワードが話題になっているそうで、特に若い世代は天皇の代替わり・改元を生まれて初めて迎えるということで、元号に対する関心が高くなっているらしい。
そして今、「平成の次」の元号の発表の仕方について議論が起きている。
8月15日放送のTOKYO MX「モーニングCROSS」で、「新元号事前公表めぐり政府苦慮」という話題を取り上げていた。
政府は「平成」の次の元号の公表時期について、国民生活に混乱を生じさせないよう、皇位継承1か月前の公表を念頭に準備を進めているが、保守派からは新天皇即位の当日である5月1日に公表すべきとの意見があり、安倍首相は自民党総裁選への影響を避けるため、結論を当面先送りする見込みだという。
そこでコメンテーターの鳥越俊太郎が、今回は昭和天皇の場合と違って事前に4月30日の退位が決まっているのだから、「1か月前に事前にちゃんとやって、全ての世の中のシステムを準備するというのは、僕はアリだと思いますよ」と発言した。
全て利便性だけで判断して、元号そのものの意味については何も考えていないという、いかにもリベラルサヨクらしい意見だが、これを受けてもう一人のコメンテーターの古谷経衡がこう言った。
「保守派が反対って書いてましたけど、生前譲位の時の有識者会議の時もカッコ保守派という人が変なことばかり言って、天皇とはこうあるべきだとか、元号とはこうあるべきだとかいうことを、この国のカッコ保守派は押しつけ過ぎなんですよ。
鳥越さんがおっしゃったように、これはあらかじめわかっている、近代初めての生前ご譲位なわけですから、別に1か月前、2か月前でもいいわけであってね、何か『私の考える天皇』を押しつけがちなんです、変な」
カッコ保守派、というのはカギカッコ付きの、いわゆる「保守派」、という意味だろう。わしが「自称保守派」と言うのと同じようなものだ。
古谷は「カッコ保守派」を批判して、むしろ自分の方が本当の保守だと言いたいのかも知れないが、この発言には古谷が決して保守ではないことがはっきり表れている。
来年の4月30日が終わるまでは、あくまでも「平成」であり、今の天皇陛下の御世なのである。
それなのに、平成のうちに次の元号を公表するということ自体が、非常に不敬なことなのだ。
平成はまだ終わっていない。ご譲位まであと8か月余りの間にも、まだ何が起こるかわからない。つい最近も平成最大の豪雨災害があったばかりで、陛下はおそらく現地訪問のご意向をお持ちだろう。
そしてこの先さらに重大事が起これば、陛下が特別のおことばを発表されることだって、まだあるかもしれない。
あくまでもこの時代は今上陛下の世であり、譲位されるまでは今上陛下がこの時代に責任を持っておられるのだ。
今上陛下としては、この平成という時代に阪神大震災、オウム真理教事件、東日本大震災、原発事故等々ろくでもないことばかり起こり、その度に、これは自分に徳がないからではないかとお心を痛めてこられたことだろう。
そんな中で陛下は、ご自身が始められた被災地訪問や、ご自分のテーマとされている戦地の慰霊を重ね、一生懸命苦難しつつ、今の自分の時代に責任を持とうとしておられるし、それはご譲位が完了する瞬間まで続くのである。
それなのに今から次の元号のことを言うとは、なんと失礼なことではないか。
そもそも元号は、1300年以上前に初めて制定された「大化」以来一貫して「天皇の元号」であり、その時の天皇が決めるものなのだ。
コメント
コメントを書く(ID:52245816)
あと、ブログの「ちびまる子ちゃんには、人に嫌悪感を抱かせる要素が全くない」という部分ですが、原作は割と毒があります。(笑)絵柄がかわいいので毒のないほのぼの作家だと思われていますが、割とさくらももこ先生の本質は毒の部分で、ちびまる子ちゃんでもたまに抑えられずに狂気や毒の部分が出てきてました。笑
近作に「ちびしかくちゃん」というまる子のセルフパロディーがあるのですが、集英社のグランドジャンプという雑誌に連載中だったと思います。(秋本治先生もその雑誌で連載されています)実はさくら先生は近年はジャンプ系列の作家だったのです。笑
アマゾンの評価を見ても分かるんですが、「ちびしかくちゃん」は絵はかわいらしいですが、かなりブラックな作品です。毒全開で不快感しかないので私は全部見られなかったです。笑
(ID:19723146)
まあしかし陛下の献身さには本当に頭が下がりますね。一般人の皇室ヲタクとかは
自分がさも美智子皇后、雅子妃みたいに振る舞うアンポンタンがいるみたいですが
皇室という空間にいる人間にしか
分からないことを我々が体現できるわけがありませんからな。
「私は無私、公に生きているのよ!自分を勘定に入れない利他主義なのよ!」とか
を見ると失笑するしかないです。
誰かに似ていると思ったら善意の暴走族安倍昭恵でした。
こーゆう善意の押し売りを皇室と重ね合わせること自体が不敬であることを
早く気付けになりますがね。
(ID:35864008)
お邪魔します。
私事ですが、このところネットから離れており、この一週間の道場ブログと、今回ライジングを今頃読みました。
「ゴー宣」:「新元号を巡る議論を整理する」拝読。
このテーマを取り上げて頂き、有難うございます。
以前よしりん先生・もくれんさんブログで話題になった時に、
自分が書いたコメントは、、、、、
・「新元号の事前公表は既定路線と認識していた。今上陛下に対して大変失礼だった。」
・「生前退位は、皇室だけで無く国民に対しても、社会の混乱を避けると言う、今上陛下のご配慮を頂いたものと捉えていた。大変甘えていた。」
・「高森先生によると、新元号の決定の際には新天皇の御許可?が必要な様なので、突然崩御された時も、生前退位時も、新たに即位される際にバタバタ改元するしか無いのではないか。」
・「各種コンピューターシステムの対応者の本音は、事前に元号を知りたいだろう。」
・「この件がきっかけで、社会の中の書類等で、元号が敬遠される様になるのなら残念だ。」
・・・・・でした。
その後、何かモヤモヤしていましたが、今回の記事を読み、元号について知らなかった事もわかり、この件について頭の中が整理出来ました。有難うございます。
しかし、この新元号の事前発表の件。大問題ですね。
このまま自民党総裁選が無事終われば、保守派に過度に配慮する必要性も薄らぐでしょう。
安倍氏は、かつての小渕官房長官の時を参考に、「新たな元号は、〇〇であります(<ドヤ)」となさりたいのではないかと想像しています。官邸も、国民への影響を最小限にする配慮をした形にしたいでしょう。
マスコミも多くの国民も、新元号の事前発表は既定路線だと思いますから、何とかならないかと思いました。
>「今の天皇陛下が結構ものわかりがいいものだから付け上がっている」
…との、よしりん先生のご指摘。
自分は恥じ入るしか有りません。申し訳有りませんでした。