第253号 2018.1.9発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしの人たち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…元旦の「朝生」によしもとの芸人・ウーマンラッシュアワーの村本が登場し「侵略されたら白旗挙げて降参する」「尖閣は中国に取られてもいい」などと放言しまくり、たちまちネットで炎上した。「公(国民を救う)」のために「私(エゴイズム)」を超える主体が「個」(覚悟ある個人)ということであり、これこそが『戦争論』のテーマだったが、サヨクもネトウヨも読解力がなかった。日本人はいつになったら「個」を確立できるのだろうか?
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…「独自言語を開発して会話を始めたロボット、フェイスブックが処分」…刺激的な見出しで報じるこのサイトは「SPUTNIK(スプートニク)」。ここはロシアの政府系通信社が運営している報道機関だが、ロシア寄りの記事や、他国の大統領選プロパガンダだけでなく、これまでさまざまなデマやでっち上げ記事を発信・拡散してきた。私たちの生活に巧妙に侵入するフェイクニュースの恐ろしさとは?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!登美丘高校ダンス部は好き?タレントのフィフィをどう思う?テレビ番組で一緒に出ていた西田亮介氏の意見をどう感じた?「敵ながら天晴れ」と言える言論人は?ダウンタウン浜田のブラックフェイス問題をどう見てる?人として不道徳だけれど、表現者としては類い稀な才能を持つ人物はどう評価するべき?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第259回「個と公、覚悟なき私人主義」
2. しゃべらせてクリ!・第211回「ぽっくん画伯の名作自画像、完成ぶぁ~い!の巻〈前編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第63回「フェイクニュース事件簿1~ロシアの通信社“スプートニク”」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第259回「個と公、覚悟なき私人主義」 わしがウーマンラッシュアワーの村本という芸人を最初に見たのはテレビの「すべらない話」だったが、自分のツイッターの炎上話をしていて、さっぱり面白くなかった。
トッキーから聞いた話によると、その番組では必ず話の最後に押される「すべらない話・認定印」が村本の話の一つにはついに押されず、番組史上初の「すべった話」として語り草になったらしい。
そんなわけで、お笑い芸人としてはぱっとしない印象だったのだが、いつの間にか「朝まで生テレビ」に出てきたものだから驚いた。
「よしもと」の芸人が最近、ワイドショーのコメンテーターに次々出てくるが、多分、人数をかかえすぎて、芸人の活躍の場を開拓しているのだろうと、わしは推測する。それにしても天下国家を論じる論客の分野までもお笑い芸人が出てくるのはどうなんだろう?安易すぎないか?
その「朝生」での発言がまたつまらないもので、自分の弟が自衛官で、弟に戦争に行ってほしくないから戦争反対なんていう論調なのだ。
村本はやたらと自分の弟が自衛官であるということをひけらかし、利用するのだが、まずそれがおかしい。
自衛官は入隊時に宣誓文に署名をしなければならない。その宣誓文は、この言葉で結ばれている。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います」
これは要するに、戦争に行って死ぬことも辞さないという意味だ。公務員は全員服務の宣誓をしなければならないのだが、命がけの仕事というイメージのある警察官や消防官の服務の宣誓でも、「危険を顧みず、身をもつて」とまでの文言はない。
ウーマン村本の弟は服務の宣誓をして自衛官になっている。自ら、国防のために命を懸ける覚悟をしているのである。
自衛隊の本来任務は国防であって、災害救助ではない。国を守るためなら、人を殺すことも、殺されることもあるのが自衛隊という職業である。
それが嫌だったら、村本が直接弟を説得して、自衛隊を辞めさせればいいだけのことで、それが筋というものだ。
自衛官の弟が人を殺すのも死ぬのもイヤだとテレビで発言する兄貴は、単に弟の覚悟と職業を公然と侮辱しているだけではないか!
今年の元旦の朝生にも村本が登場し、「侵略されたら白旗挙げて降参する」「尖閣は中国に取られてもいい」「敵を殺さないと自分が殺される状況に置かれたら、自分が殺される」などと放言しまくり、たちまちネットで炎上した。
こんな幼稚な議論に付き合わなきゃならない井上達夫氏が気の毒だ。井上氏のかつての生徒たちでも、これほど幼稚な者はいなかっただろう。
村本という人間は、あれだけ人に嫌われる顔と、嫌われる性格をしているくせに、どういうつもりか、「人から善人に見られたい」と願っているようで、臆面もなくエセ・ヒューマニズムの言葉を吐くのだ。
だが、侵略されても戦わずに白旗を挙げたら、国がなくなってしまい、国民は奴隷になってしまう。チベットやウイグルの民のように、思想の自由も、言論の自由も何もかも奪われてしまうのだ。
言論の自由がなくなってしまったら、漫才もできないということをわかっているのだろうか?
村本は現在の日本では、漫才で政治的な言論が封じられていると思っているのかもしれないが、それはあくまでも自主規制であって、やろうと思えばやれるのだ。
中国に侵略されたらそれどころじゃない。言論の規制に逆らったら投獄され、拷問される。生命の保障だってありはしない。
そんなことにも考えが至らない村本は、何もわかっていない赤ん坊みたいなものだ。
コメント
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木蘭師範のブログを読んで、自分が痴漢されそうになったときの嫌悪感と恐怖が甦りました。
ちなみに自分の性別は男です。
高校生のときに、満員電車で帰宅中、
腰の辺りがモゾモゾすると思ったら、
男の手らしいのが自分の股間めがけて
進んできました。
突然のことに焦って、「痴漢!」と叫ぼうかと
思いましたが、男が男に痴漢だなんて、
こちらがおかしい奴に見られる、もしくは
挟まった手を抜こうとしてるのかもしれないと
思いとどまり、身体を動かしたり、鞄でブロック
したりしましが、それでも手は股間めがけて
進んできました。
幸い、触られることなく駅に降りることが
できましたが、後をつけられるのではと、
ビクビクしながら帰りました。
その後、高校を卒業するまで、
あのときの奴が現れやしないかと、
不安でたまりませんでした。
男でも恐怖と嫌悪感に襲われるのだから、
女性の受ける心的被害はもっと大変だと
思います。
なのに、#me tooに異を唱える女性が
現れることに、本当に女性なのかと
違和感を感じます。
(ID:36290372)
トンデモ見聞録を読みました。とうとう、こんなSFみたいな世界が現実になるのかと戦慄が走りました。渡部陽一さんのお話や、新戦争論から、最先端の戦場の現実を知っていたつもりでしたが、より恐怖が身近に迫ってくるようで身震いしました。ですが…フェイクだったのですかね?
木蘭先生の安定の好奇心に、期待感いっぱいで読み進めましたが、スプートニク、トンデモねえですね。まさにトンデモ見聞録、でしたね。こんなデタラメ、嘘八百を垂れ流し広めまくっても、何のお咎めもなしとは…。フェイクニュース、ヤバいし恐すぎる。
ちなみに最初に出てきたスプートニクの顔、もといAIロボットの顔は、何だかマヌケでしたねえ。AI暴走事件の結末は、フェイクだったのでしょうか…。調べてみようかな。
配信された今週号も、非常に楽しみです♪ 期待して読みます!
(ID:4782023)
よしりんのブログにあった安部から会食の電話があったら、ゴー宣の門下生は参加するって話してたとあったけど、あれは安部を質問と意見づけにする為じゃないですかね?私でも電話あったらそうする為に参加しますし。ただし飯はまずくなりそうなので、後で食べる用に弁当持参しますが。