第183号 2016.7.5発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…どこもかしこも、イギリスのEU離脱を非難する論調一色になっている。曰く「イギリス人は誰もまさか国民投票で離脱派が勝つとは思いもせず、面白半分で離脱に投票した人たちがいて、みんな後悔している」「離脱派は離脱が決まったら公約を撤回し始めた」「国民投票のやり直しを求めるオンライン署名が400万を突破した」…。中には、今後の日本経済にも深刻な影響が及ぶ可能性があると脅す者もいる。無知や、イデオロギーによる思い込みで論評している知識人・マスコミが多すぎる。EUの実態とはどういうものなのか?熟読して勉強せよ!!
※「泉美木蘭のトンデモ見聞録」…観光地は、あいかわらず外国人観光客だらけで、完全に外国人向けの営業に切り替えてしまった店も存在する。しかし、すでに潮目が変わって、あっさりと波が引いてしまった場所もある。銀座の高級デパートである。やれ「春節だ」、やれ「爆買いが来るぞ」と盛り上がっていた今年初頭までとは大違い。元々の日本人客を軽くあしらい、爆買い中国人に阿った銀座デパートの末路は??
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!少子化が進む日本は今後、労働力を移民に頼るか、経済規模を縮小していくしかないのでは?よしりん先生にとって「親友」とは?子どもに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたら何と答える?選挙には行くべき?仕事が全く楽しくないものの「生活のため」と割り切って働く生き方をどう思う?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第178回「EU離脱の国民投票の結果は天の配剤である」
2. しゃべらせてクリ!・第143回「ずんずんお父ちゃまとしゃなしゃなぽっくんのお通りぶぁい!の巻〈前編〉」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第9回「“爆買いバブル”終了のお知らせ ~ 銀座の高級デパートは閑古鳥」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第178回「EU離脱の国民投票の結果は天の配剤である」 どこもかしこも、イギリスのEU離脱を非難する論調一色になっている。
曰く、イギリス人は誰もまさか国民投票で離脱派が勝つとは思いもせず、面白半分で離脱に投票した人たちがいて、みんな後悔している。
曰く、離脱が決まってからネットの「EUとは?」の検索が飛躍的に伸びた。
曰く、離脱派は離脱が決まったら公約を撤回し始めた。
曰く、国民投票のやり直しを求めるオンライン署名が400万を突破した…。
中には、今後の日本経済にも深刻な影響が及ぶ可能性があると脅す者もいる。例えば6月30日「我々の年金にも影響が…英EU離脱でリーマン級危機!?」と題して放送した、テレビ朝日・羽鳥慎一モーニングショーの「そもそも総研」である。
同番組では、最悪の場合EU解体によって日本のGDPが2~3%マイナスとなり、平均株価9000円台の可能性もあるといい、そして、株価が下がれば年金積立金の運用にも大幅な損失が出て、大打撃を受けると煽っていた。
だが、そもそも株価が下がって打撃を受けるのは、EUに進出しているグローバル企業だろう。それは一般国民の生活にそんなに影響することだろうか?
日本に中小企業は385万社もあり、日本の全企業数の99.7%を占める。
だが中小企業庁によれば、下請け企業は製造業で約4万9千社、サービス業で約5万9千社だという。
ということは、残りの374万余の中小企業は下請けではなく、グローバル企業の影響を受けてはいないわけだ。これらの企業が内需で頑張っていけば、EUがどうなろうと、我々庶民の生活には何の影響もない。
そもそも日本の輸出依存度は11.4%にすぎず、日本は内需で成り立っている国である。それなのに、国の政策がグローバル企業優先になっているのがおかしいのだ。
また年金の問題は一昨年、安倍政権が株価押し上げと円安促進のために、独立法人GPIFによる年金積立金の運用を、株式に重点をおくように変更したことがそもそもの間違いである
これについては当時から、年金は確実な運用をするのが当然であって、バクチにぶっ込むなんてもってのほかだと、ゴー宣道場のブログでも再三指摘してきた。
年金が打撃を受けたなら、それは年金積立金を株に注ぎこんだ安倍政権の責任であって、イギリスのEU離脱のせいに転嫁してはいけない。
これでは「そもそも総研」も安倍政権に媚び、スポンサーのグローバル企業に媚びているのかと疑念を持ってしまう。
誰も彼もが、EUは理想であり、成功しなければならないものなのだということを前提にして話をしている。
だがわしは、ずっと以前からEUは「バベルの塔」だと言い、EUはいずれ崩壊するだろうと言ってきた。
歴史も文化も経済力もそれぞれに全く異なる国々を、単一の経済共同圏に統合しようという極めて人工的・設計主義的な試みには完全に無理があり、こんなものは破綻するに決まっているのだ。
今度も予言は当たると、わしは確信している。
だから、今からEU崩壊に備えて対策を打っておかなければ危ないと警告しているのだ。
フランスの歴史人口学者、エマニュエル・トッドが言っているように、EUの正体は「ドイツ帝国」である。
コメント
コメントを書く(ID:19522841)
もっとも、グローバリズムの親玉たる米国の意向が最優先されるのが我が国ですから、結局は現状維持でずるずる解釈改憲でGOというのが、現実的な落としどころになる可能性が一番高いのでしょうが・・・。米国は日本にフリーハンドを与えたくないでしょうし。
軍事的な独立だけで、近代的価値観からの独立が達せられるわけではないですし、前途多難ですね。
(ID:45581764)
配信、ありがとうございます。
ゴー宣の単行本から、戦争論から、脱原発論からここまで事実と知識の裏付け、理屈を押さえて解りやすく読者に知らせてくれるのは先生だけだと思います。
そして、EUの事もすごく勉強させてもらいました。
自分はEUの実態どころか、加盟国があれだけ多かったのも知らず恥じ入るばかりです。
今回、日本でイギリスのEU離脱について突然、大ニュースになりました。
自分は参院選の取り扱いが大きくなると思っていたので、まさに突然でした。
意外だと思ったのはアメリカならともかく、イギリスの事で日本に強い影響をもたらすというのが???になっていました。
もう一つがドイツのメルケル首相が『イギリスは速やかに離脱を』と強い言い方をし後日、イギリスを除くEU会議でEU側は『イギリスのいいとこ取りを許してはいけない』とし、けん制の様な言い方まで行っています。
EU、ドイツもそこまでイギリスに離脱してほしくないのなら、イギリスの選挙前に残留派が優位を保つように何か強い言及しておいてもいいと思うのですが…。
イギリス国内では離脱と残留、そこまでの大差をつけた訳でもなくEUに残っておきたかったと思う人も多いのです。
それを、ドイツが突き放した言い方をしているので自分としては驚きました。
自分はEU、ヨーロッパ連合は助け合う仲間でいてほしいし、仲違いをしてしまったらアメリカ、ロシア、中国辺りに上図られそうで危ないのでは?と思ったりします。
山火事は小火程度なら踏んだりして消しようはありますが、山火事になってしまったら手の付けようがありません。
イギリスとEU、ヨーロッパ連合が山火事の様な手の付けようがない状態の前に、間柄を改善してほしいです。
今の日韓関係、もしかしたら手の付けようがない山火事の間柄かもですね。特に慰安婦問題においては。
猛暑の方は大丈夫でしょうか?
あの暑さは水分補給では限界があります。
厚生労働省が、外へ行く仕事には休憩時間を多めに取らせる様に行政指導してもいいと思います。
現に、今年に入り熱中症で約3週間も寝込むほどの重症判定を受けた人は106人です。
あの暑さの中での土木、建築。冷房の効かない工場など考えた事がないのでしょう。
水分補給で足りると考えているのだから、バタバタ倒れてしまっています。
これからも倒れる人の事を考えれば、休憩時間を多めに取らせた方が仕事は効率的です。
3週間も寝込めば、その間仕事はならないでしょう。代わりをすぐに雇える訳でもないのですから。
先生も十分に気を付けて下さいね。でわでわ。
(ID:36290372)
たった1回の敗戦で、こうも卑屈になってしまう日本人って、何でしょう。潔いのかな。潔癖で正直だから、負けた者は負けたなりの態度を示さないといけない、と思ってしまうのでしょうか。戦国時代などでは、相手も同胞だったから、勝った者もそれなりの態度をとっていたでしょうけど、世界が相手だと、もっと醜く図太くしぶとくならなきゃナメられるばかりですよね。