第108号 2014.11.11発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、よしりんの心を揺さぶった“娯楽の数々”を紹介する「カルチャークラブ」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…数年前までは社会問題の専門用語だった「ヘイトスピーチ」「レイシズム」が、今では一般常識的な言葉になってしまった。在特会やネトウヨは、日本で生まれ暮らしている「在日二世・三世」の人々に対して「出て行け」「殺せ」と恫喝しているが、果たして「在日特権」なるものは本当にあるのか?急速に「美しい国」から遠ざかり、醜悪な国に向かって劣化し続けている日本の現実を直視せよ!
※最終回を迎え、ようやくウィキペディアの「集合痴」から解放されたかに見えた「よしりんウィキ直し!」。しかし!前回まで呆れつつ、怒りつつ、失笑しつつ添削してきたウィキペディアはあれでも修正されて、まだマシになっていたものだったという衝撃の事実が発覚!集合痴へのツッコミは、まだまだ続く!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!東京が発展すれば地方にも恩恵が及ぶ?「実存」とはどういう意味?アメリカで余命宣告を受けた女性が安楽死を実行した件をどう思う?福1事故による放射性物質を含む廃棄物の最終処分場問題、どう考えるべき?漫画家以外の事業を始めようと思ったことはある?「こいつにはかなわない」と思う人物はいますか?どうして自分の弱さと向き合えない男が多いのか?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第106回「在日特権なんかないんだよ!」
2. しゃべらせてクリ!・第68回「百畳敷きトイレでフン起一番!の巻〈後編〉」
3. よしりんウィキ直し!延長戦・第1回「『ゴーマニズム宣言スペシャル・天皇論追撃篇(新天皇論)』過去版」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記
第106回「在日特権なんかないんだよ!」 数年前までは社会問題の専門用語だった「ヘイトスピーチ」だの「レイシズム」だのが、今では一般常識的な言葉になってしまった。日本は急速に「美しい国」から遠ざかり、醜悪な国に向かって劣化し続けている。
8月、安倍首相はヘイトスピーチについて「日本人の誇りを傷つける。しっかり対処しなければならない」と発言。そう言わなければ世界の恥になるから、建て前として言ったのだろう。
これを受けて自民党は「ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム」を設置し、本気かどうかは知らないが、新立法の可能性を視野に入れつつ検討を始めた。
安倍政権の「コアな支持層」は、ヘイトスピーチが大好きなネトウヨ・レイシストたちじゃなかったっけ?と思っていたら案の定、安倍の公式ツイッターや自民党のBBS(掲示板)は「大炎上」したという。
また、元・航空幕僚長、現・ネトウヨ親父の田母神俊雄はツイッターで「ヘイトスピーチの法規制は、保守派を黙らせ、左翼リベラルや外国人を利するだけのものです」「ヘイトスピーチの法規制は、左翼リベラル政治家の有田芳生氏が中心となって推進して来たものです。なぜ保守を名乗る政党が保守派庶民を苦しめ、左翼リベラルや外国人を利することをするのでしょうか。左翼リベラルに媚びるような政策に反対します。左翼に媚びるとろくなことがありません」と、わけのわからない懸念を表明した。(註・あまりに馬鹿な発言なので、ウンコ色にした)
ヘイトスピーチを禁じたら保守派が黙らせられる?「保守派の主張=ヘイトスピーチ」だったのか!?
そんな中で開かれた自民党プロジェクトチームの初会合では、ネオナチ団体幹部との繋がりを指摘されている高市早苗が「うるさくて仕事にならないから、国会周辺でのデモ活動も一緒に規制しよう」(註・ウンコ色にした)という趣旨の、異次元に飛躍した意見をぶちかました。
これなら田母神も心配するには及ばないだろう。むしろ安倍政権下のヘイトスピーチ規制では、ヘイトスピーチのカウンターや、反原発デモなどにまで拡大解釈して網を被せることを警戒しなければならないようだ。
一方、民主党はヘイトスピーチの街宣活動を規制する独自の法案をまとめ、他の野党にも賛同を呼びかけた上で今国会に提出する方針を固めた。
この法案には罰則規定はないが、民族の違いなどを理由にした侮辱や嫌がらせなどの差別的な言動を禁止し、国に差別を防止するための基本方針を定めることを義務づけたものだという。
この民主党案に対しても規制の「拡大解釈」を懸念する声が上っている。とはいえ、一切の規制もせずにヘイトスピーチを封じ込められるのかというと、それはまず無理だろう。
例えば「ヘイトスピーチを減らす最良の薬は、他人にウンコを投げ付けないと鬱憤晴らしも出来ないような追い詰められた国民を減らすことである」と主張している人がいるが、甘すぎるし現状がわかっていない。
ヘイトスピーチをやっている者は、必ずしも「追い詰められた国民」とは限らないのだ。
社会的にはそれなりの生活をしていながらも、個人的なコンプレックスを自力で解消できずに他者への攻撃に転嫁する者もいる。
また、とにかく差別が好きだという者だっている。たとえ社会から格差が撤廃されたとしても、差別をする者はするのである。
さらに警戒しなければならないのは、規制に反対するあまりに、在特会(在日特権を許さない市民の会)などの排外主義団体が攻撃対象としている「在日特権」を撤廃すれば、ヘイトスピーチも止んでいくだろうという意見が出てくることである。
結論を先に言うが、「在日特権」なるものは、ヘイトスピーチをやるために在特会会長・桜井誠らがでっち上げた、ほぼ100%のデマである!
これは、ジャーナリスト・安田浩一の『ネットと愛国』や、「レイシストをしばき隊」の創設者・野間易通の『「在日特権」の虚構』で検証されている。
「在日特権が存在する」という主張自体が、差別を助長するための事実無根の誹謗中傷なのだ。「在日特権をなくせば差別もなくなる」というのは、「在日特権が存在する」ということを前提にしているわけで、在特会が仕掛けた罠に嵌って差別の片棒を担いでいることに他ならないのである。
その罠にまんまと引っ掛かったのが大阪市長の橋下徹だ。
橋下は大阪市役所で桜井と罵り合いの公開泥仕合を演じた翌日、維新の党代表として、在日韓国・朝鮮人らに認められている「特別永住資格」について「通常の外国人と同じような永住者制度に一本化していくことが必要」と述べ、党として見直しを検討する考えを示した。
その理由を橋下は「特別扱いは差別を生む」として、在日韓国・朝鮮人への攻撃を抑える狙いもあると説明したが、これこそが在特会のデマに踊らされた主張だったのだ。
「特別永住者制度」とはいわゆる「入管特例法」に基づくものだが、果たしてこれは「特権」なのか?
コメント
コメントを書く(ID:975653)
他の方のコメントを見て、色々考えさせられました。
私があまりにも粗暴すぎました。どんなコメントでもは消さない主義でしたが、今回だけはあまりにも非道すぎます。なのでいくつか削除しました。
na85さん、やはり私への評価は要りません。不相応です。
(ID:45581764)
ここにコメントを書くのは初めてで、まだ使い方がよく解りません。
間違っていたら、ごめんなさい。
在日特権で少し話し合える様なので、意見を交し合えればと思います。
通名報道はどうなんでしょうか?
実際は、犯罪を犯した時、日本の報道関係者が通名か、あるいは本名で報道するかの権限を持ってると、チラッと話を聞いた気が…。
これが在日特権だ、とか言う気はないのですが、通名の存在が解らないのは確かです。
(ID:45581764)
というか、3ヶ月前のコメントばかり・・・・。
完全に、出遅れている。