第430号 2022.3.15発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…ロシアのウクライナ侵攻は全く正当化のできない侵略戦争であり、プーチンが悪であって、ウクライナに義があり、ゼレンスキー大統領は英雄である。この構図を価値相対化したって何の意味もない。マスコミの論調も「プーチン=悪」の路線に乗っているが、これに対してネット内では「ウクライナにも非はある! プーチンは悪くない!」の大合唱が起きた。曰く「ウクライナはネオナチ政権だ」「ウクライナ戦争もコロナも全てディープステートが仕組んだもの」云々…。陰謀論を徹底的に粉砕する!ネットの情報にかく乱されない常識を取り戻せ!!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…米疾病対策センター(CDC)から、「ファイザー製ワクチンを2回接種した5~11歳への入院予防効果は74%だった」とする研究結果が発表されたらしい。ところが米10州の救急外来を受診した5~17歳の約4万人を対象に、ワクチン接種者と未接種者を比較したところ、接種14日後からの約2カ月間で、調査対象のほとんどがオミクロン株に感染していたという。【ワクチン接種してもほとんどが感染し効果がない】という結果のはずが、なぜ【入院予防効果74%】になるのか?このトンデモ研究結果のデタラメなカラクリに騙されるな!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!ロシアをパラリンピックから締め出すのなら、中国での五輪開催も反対するべきだったのでは?今のロシアは、開戦せざるを得なかった過去の日本と似ているのでは?ウクライナはNATOへの加盟を断念する?「公論イベント」に熱中する夫に対する心のモヤモヤを聞いて!ウクライナ戦争に関する「専門家」の意見はどの程度参考にすべき?ロシアの今後はどうなる?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第457回「陰謀論に嵌る馬鹿」
2. しゃべらせてクリ!・第386回「【前編】」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第251回「《5~11歳の入院予防効果74%》はデタラメの煽り芸」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第457回「陰謀論に嵌る馬鹿」 ある場面では、少数派の情報や意見が正しいこともあるし、また全く別の場面では、多数派の方が正しいこともある。それはその都度その都度判断していく以外にない。
そんなことは言うまでもない当たり前のはずなのに、こんな幼児に諭すような話をいちいちしておかなければならないとは、情けない限りだ。
ロシアのウクライナ侵攻は全く正当化のできない侵略戦争であり、プーチンが悪であって、ウクライナに義があり、ゼレンスキー大統領は英雄である。
この構図を価値相対化したって何の意味もない。いまさらポストモダンでもあるまいし、オウム真理教は悪ではないと言ってたクソサヨクと一緒だ。
マスコミの論調も「プーチン=悪」の路線に乗っているが、これに対してネット内では「ウクライナにも非はある! プーチンは悪くない!」の大合唱が起きた。
既視感すごい。「麻原彰晃は真の宗教家だ」「上祐さんは頭いい」「青山さんは嘘つかない」、オウムを批判するわしに寄せられた馬鹿どもの手紙やはがきは膨大だった。
今現在、プーチン肩入れ派のネット民が、わしを批判する根拠は、プーチンが侵攻を正当化するために言った「ウクライナはネオナチ政権であり、我々はネオナチと戦っている」というデマ・プロパガンダだった。
普通、こんなこと聞いたら「はあ?」と疑問符の嵐だろう。
即座に「お前のやってることの方がナチくさいじゃないか!」とツッコミを入れるのが常識というものだ。
世界中でも大多数の人がそう思ったし、だからこそすぐさま「プーチンは精神に異常を来たしている」説が唱えられたのだ。
ところが、たったそれだけの常識がない人も、ネットの情報でかく乱される者が一定数いるのである。
ウクライナ語は、ロシア語・ベラルーシ語とは同系統ではあるが別の言語であり、ウクライナは独立国家を形成していた時期もある。
国を失い、ロシア帝国・ソビエト連邦の一部とされた時代が長かったが、ウクライナ人には独自の言語と文化を持つという民族アイデンティティとナショナリズムが脈々と受け継がれ、ソ連崩壊の後、1991年に念願の独立を果たしたのだ。
ただし、歴史的にこの地ではウクライナ人の他にロシア人やユダヤ人なども混住しており、西部地域はヨーロッパの、東部地域はロシアの影響が強い。
独立後も、住民の半数以上をロシア人が占めているクリミア半島ではロシアへの帰属を求める声が高く、民族紛争の火種を抱えていた。
そして2014年、クリミア半島で親ロシア派の武装勢力が蜂起し(というが、これ自体ロシアの関与が疑われる)、議会、空軍基地などを占領。ロシアはこれに軍を投入(いきなり他国に軍隊を入れたら主権侵害なのは当然)、クリミアは住民投票(他国の軍が入っているうちに住民投票は異常)を経て、独立とロシア編入を宣言した。
ただし国際連合はこれを認めず、国際的承認は得られていない。
侵略の方法論としては実に巧妙で学ぶところがあるが、国際法違反なのは間違いない。
武装蜂起?は同じくロシア系住民が多い東部のドンバス地方にも飛び火し、「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」を名乗り、ウクライナからの独立を宣言した。
だがこれも、国連は国家として承認していない。
クリミアと同じ匂いがするからだろう。
両国はクリミア同様ロシアへの編入を求め、ロシアはそれには応じなかったが、両国の軍の維持などはロシアが非公式に援助していると見られている。
そして今回、このドネツク・ルガンスクで、「ウクライナの「ネオナチ」がロシア系住民を虐殺している」として、プーチンは住民保護を口実に戦争に踏み切り、ネット民はこぞってプーチンの言い分を信じたのである。
だがプーチンも、その主張を信じる者も、「ウクライナのネオナチがロシア系住民を虐殺している」という確たる証拠を何も示していない。
そもそも虐殺が本当なら、なぜロシアはそれを国連安保理で訴えて、開戦に対する国際社会の同意を取り付けなかったのか?
プーチンは開戦時の演説で、アメリカが証拠もなく「イラクが大量破壊兵器を保有している」と主張し、これを開戦理由に戦争を起こしたことを非難しているのに、自分が主張する開戦理由については、国連安保理にかけることすらしなかった。
これだけで、虐殺などデマだと断言していい。
一方、「ウクライナのネオナチ」の証拠として挙げられたのが「アゾフ連隊」という武装右翼組織の存在だ。
コメント
コメントを書く(ID:88590926)
>>194
資本主義の健全な発展には、「健全な労働組合」の存在も欠かせないのかな、と思う今日この頃です。
昔は、たまにストライキで電車が止まっていましたが、今は人身事故(自殺)で毎日のようにどこかで電車が止まっている状況で……。
新コロ騒動で経済的に窮地に陥っている人が少なくない中、大企業の「御用組合」と「経営側」による茶番とも言える『官製春闘』を見るにつけ、「自分たちさえ良ければ、あとは知らん」という冷酷さを感じます。
バブル景気そのものも異常なものでした。国鉄分割民営化の際に、どさくさに紛れて本来は違法の解雇を行った事も、「バブル発生」の原因になったと思います。経営側のモラルが崩壊して「富の集中」が起き、日本の資本主義は「再分配機能」を喪失しました。
現政府も、この期に及んで特にこれといった対策を講じておらず、日本は一部の自国民に対して「経済制裁」を行うという不思議な国になってしまった感があります。
(ID:119894316)
東京・関東・東北で電力が逼迫しています原発の再稼働を声高に叫ぶ人達がいますが寧ろ原発に代わる電源の確保に消極的な与党の無策が招いた結果だと思います原発銀座と呼ばれる地域を抱えてロシアが日本を非友好的国と見做している今、原発が標的となる事は考えないのでしょうか日本には産経のようなネトウヨ保守じゃなくて、真の保守が必要だと感じます。
(ID:28020806)
都立高校の教員です。今日の入学式の「感染対策」
①全員マスク。国歌斉唱・校歌斉唱はなし(CD聞くだけ)。
→司会と校長と新入生代表以外は誰も一言もしゃべらないのに、なぜマスク必要?
②ステージの演壇にはアクリル板。
→演壇から最前列の生徒まで10m近く離れているのに?アクリル板って飛沫を防ぐためじゃないの?校長の飛沫は10mも飛ぶのか?
③式の途中で5分間の換気タイム。
→だだっ広い体育館で、①②やった上でさらに換気が必要か?そもそも換気が必要ということは「飛沫感染」じゃなくて「空気感染」なわけで、だとしたら①も②も必要ないでしょ。
④保護者席は密をさけるため椅子は1つおき。新入生はコロナ前と同様普通に詰めて着席。
→高校生同士は感染してもいいのか?
何が恐ろしいって、こんなわけのわからない状態を生徒も先生も「普通」だと思ってしまっていることですね。式典だけじゃなくもう日常が狂っています。