第25号 2013.2.12発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、AKB48ブームから現代社会を掘り下げる(本当は新参ヲタの応援記!?)「今週のAKB48」、よしりんの愛用品を紹介していく「今週の一品」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※危機的状況の出版界!!Amazonが日本の出版界にもたらした事態とは?電子書籍化は本当に、出版界に残された最後の希望なのか!?文筆家・切通理作氏が渾身の論文を特別寄稿!!
※新企画!珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」がスタート♪今回紹介のグッズは、もし現在発売されていたら、児童ポルノ法に抵触する可能性大の爆笑の一品!
※支持率70%まで上昇。株価上昇に寄せられる期待。景気回復は本当に可能か!?今週の「ゴーマニズム宣言」は、「アベノミクス」に潜む真の「アベノリスク」を暴く!!
生放送情報
2/15(金)21:00~
よしりんにきいてみよっ!#16 生放送予定!
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第28回「真のアベノリスクは何か?」
2. ☆新企画☆ 茶魔ちゃま秘宝館・#001「友だちんこバッヂ」
3. ☆特別寄稿☆ 切通理作「読まれていても『売れない』システム~それは経済的集団自殺?」
4. よしりん漫画宝庫・第25回「『救世主(メシヤ)ラッキョウ』③楽教こそいま求められる最終宗教なり!
5. Q&Aコーナー
6. 今週のよしりん・第25回「『恋愛禁止条例』に一定のルールが必要!?」
7. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
8. 読者から寄せられた感想・ご要望など
9. 編集後記
第28回「真のアベノリスクは何か?」
安倍政権は支持率が70%にまで上昇したらしく、国民の圧倒的多数が株価の上昇を喜び、景気回復を期待してるようだ。
自称・保守派は「ポピュリズム」という言葉を使うのが好きだが、この場合は使わないのだろうか?どうせ民主党ならポピュリズム、自民党なら正当評価というご都合主義でしか言葉を使用しないのだろう。
「アベノミクス」の評価が、途中まで大前研一とほぼ同じになっていて可笑しい。
「SAPIO」を見てたら、大前研一が、名目GDPの事実上ゼロ成長が続いているのは、先進国では日本だけで、22年間もデフレ不況なのだから、これは第1次安倍内閣を含む自民党政権のときからずっとである、民主党政権はそのうち3年3か月に過ぎないと書いていた。
まったくその通りで、この原因を安倍政権は日銀の金融緩和が不徹底だったからと責任転嫁しているわけだが、「根本的な問題は日本が『高齢先進国』の先行指標になったからだ」と大前は言う。
アメリカは海外から移民を年間67万5000人も受け入れているから、人口が高齢化しにくい。
EUは27か国の共同体だから、人々の意識の中で高齢化問題が顕在化しにくい。
だが、日本人はもう誰もが少子高齢化の未来を確信している状態なのだ。
つまり「将来不安」が世界一高い国民ではないか? これでは企業に、家庭に、内部留保されたカネが市場に循環するとは思えない。
ここまでの分析はうなずけるのに、大前研一はここから企業の国籍に意味はないと唱え、問題は日本企業の「内向き志向」にあると言い始める。日本企業が真にグローバル化して、一旦国外に出た企業は祖国回帰をするなというのが、大前の主張だ。これがわしの考えと食い違う。
そもそも、今よりさらにグローバル化して、弱肉強食の市場絶対主義で国境を超えた人々が競争し、さらに貧富の格差を拡大することで、なぜ日本人の1500兆円の個人金融資産が市場に出ていくのだ?「将来不安」がもっと増すではないか。
高度経済成長の幻影を追いかける限り、国民はカネを使わない。その陥穽に墜ちているという点では、安倍政権も大前研一も「みんなの党」や「維新の会」なども全部同じ穴の貉である。
わしが考えているのは「成長戦略」を捨てて、「成熟戦略」を立てよ!である。
「坂の上の雲の、さらに坂の上を目指すより、坂の下の土地を耕せ」と言ったのと同じだ。今のところそれを目指す政党がないから、これから政治家を育てねばならない。
ローソンが働き盛り世代の年収を15万円増やすというが、これはローソンの新浪剛史社長が政府の産業競争力会議のメンバーに入っているからである。やらせみたいなものだ。他の企業が追随していくかどうかを注視しよう。
昔の労働組合は強力で、交通機関は完全にストップするほど、ストライキは徹底していたが、今の連合という組織は雇用者側との合意がすぐに成立する。基本的には正社員の代理にしかならないし、非正規雇用者は蚊帳の外だ。こんな労働争議で賃金アップが勝ち取れるとも思えない。良くてボーナスに微々たる額を反映させるというレベルで決着だろう。
消費者としては、給料が増えないまま、円安でガソリン・電気料金・アパレル・食料品・海外旅行などの物価高に対処しなければならなくなる。
株主や富裕層は益々儲かり、建設会社関連は儲かるが、消費に繋がるおカネは限定的になる。
安倍首相は浜田宏一という経済学者に完全に依存して、アベノミクスを進めているらしい。この浜田という人物は米イェール大学の名誉教授だが、アメリカのヘッジファンドの回し者じゃないのかと邪推してしまう。
今再びのマネーゲームで、実態の伴わない株価だけが異常に吊り上っている。どの週刊誌も「安倍バブル」と書いてるが、バクチのヘタな素人を誘い入れて、高値でつかませて売り抜けるプロの投機家が最後に笑うだけではないか。
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コメント
毎度編集長・時浦さん・よしりん企画の皆さん・先生、お疲れ様です。
今号も全ての記事オモロ~!ですが、
やはり切通先生の寄稿はやはり衝撃的で震撼しますね。
再販制度廃止問題は以前は大マスコミが、
ネガティブキャンペーン張って阻止した位なのに、
今回は完全にダンマリに徹してますよね、
結局「新聞社とその系列だけ」が「再販制度だけ」が暗黙の中で
存続されれば最低限それで良いのでしょうね。
ちなみに・・・所謂古本スーパーは私も漫画単行本を、
沢山売り飛ばした記憶が有るので自己批判に成りそうですが、
アマゾンは一度も利用した事が有りません・・・
てかネット販売自体殆ど利用が出来ない。
なんか私は典型的な
「顔を見てモノを見ないと買えない」旧式タイプの人間です。
ヤフオクも殆ど利用した事が無いんですよね・・・
トラブルも相変わらず絶えませんし。
車の中古の単純パーツを少し購入した程度です。
あと、雑誌一つの購入に関してだけでも
書店の利用方法にもアイディアは色々有るとも思います。
私なんかは行きつけの書店で販売日を遡り予約注文をして
逆算して購入すると言う方法を良く取ります。
「書店に並ばないかな?」と言う
販売数少ない稀少な本や雑誌限定ですが、
取り寄せのタイムスパンを早めにする感覚でしょうか。
但し私は「定期購読」と言う方法が「大嫌い!」なので、
出来るだけ書店に並ぶ日を楽しみに出かけて目を通して、
中身を一度確認して購入すると言う流れが大好きなのです、
盲目に買うのでは無くて。
書店で読みたい本・雑誌を物色しながら
目的以外の本も見つけ出して買うと言うのが
書店の楽しみの一つなんですよね。
但し寄稿を読み直し他の方々のコメント、
泉師範のブログを併せて読み解くと
そんな単純なお話では無く、
問題は根が深い事も分かって来ますね・・・。
あくまでも一個人の購入スタンスと
業界側が抱えている諸事情の違いは一括りには出来ないですね。
ありがとうございました。
切通さんの寄稿に疑問が湧いてきました。
>CD業界がネットの音楽配信でどうなったか、ゲーム業界がネット配信ゲームの参入でどうなったかを考えてみれば、おのずと答えは明らかなはずです。
とありますが、少なくともCD業界の没落がネットの音楽配信のせいというのは「明らかな」ことではないと思います。
ジャスラックなどはネットの違法コピーをやり玉にあげますが、僕がその説明に筋が通らないと感じているのが初音ミクの存在です。
初音ミクを始めとしたボーカロイドの音楽というものは基本的には聴くことは無料でコピーも自由であるがゆえに二次創作、三次創作が盛り上がり、現状の独自の文化を形成しています。
その作品のうちの99%は遊びの域を出ないかもしれませんが、1%の超人気作はビジネスにも発展しています。
例えば人気ボーカロイド曲を集めたコンピレーションCDがオリコン上位に入ることは珍しくありません。収録曲はネットで無料で聴ける音楽であるにも関わらずです。
僕も何枚か買ったことがありますが、それは木蘭さんが生放送で仰っていたように労働の対価として払っているのではありません「良いもの」だからお金を出して買っています。
これは内容がわからないまま買ってハズレだったときに「そのものを生みだす労働の対価は支払われるべき」と居直る姿勢より健全に見えるのですがどうでしょうか。
マンガの単行本もそういうスキームのはずです。
他にもネット発で成功しているビジネス(後述)をいくつか知っているだけに「ネットは情報がタダという感覚が蔓延」云々は言い訳に聞こえます。
「一部の成功例を拡大解釈しているだけ」と思われるかもしれません。しかし芸能や娯楽という分野は本来そういうものです。
さらに音楽の場合、伝統を守ると称して既得権益者たちが私的な利益のために「ダウンロード違法化」を推進するなどで、新しく生まれたネット文化を阻害している点も見逃せません。
これを踏まえると出版界が今までの仕組みを維持したいがために電子書籍のビジネスを妨害していたという面もあるのではありませんか?
また作品単体に限らず、ニコニコ動画・ボーカロイド・初音ミクいう新しいシステムがあったからこそ見出された才能というものも多くあります。
まゆゆの「ヒカルものたち」編曲の八王子Pやアニメの主題歌を多く手掛けるsupercell等々。
その多様さを見ていると、おそらく中には旧来のシステムである"レコード会社にデモテープを送る"などの手段では日の目を見なかった方もいたと思います。
またシステム変更によって食えなくなった人がいるなら、それこそ小林さんの発言のように「もともと必要のなかった仕事」とも言えるのではないでしょうか。
自分で書いていても市場原理主義との線引きが難しいのですが、ともかくシステムが変わったとしてもそれを利用して名を上げる表現者が現実にいる以上、切通さんの論文はご自身の業界の崩壊を受け手側(読者、ユーザー、観客、日本人全般)に責任転嫁しているだけではないかという疑念が拭えません。
ちなみにゲーム業界のほうも、ゲーム機に依存した旧来のパッケージ販売ソフトは落ち目でも、全体としてはネット配信で没落したとはとても言えません。
モバゲーやグリーはもちろんネットのサービスですし、今驚異的な売上を叩き出している「パズドラ」もプレイは無料でゲーム内アイテムに課金するというタイプのものです。
ゲーム業界も生き残りをかけたビジネススキームの変革は起きています。
出版界だけがそこから逃れられる根拠が僕には見当たりませんでした。
最後に「60年間守られている伝統」という言葉ですが、ゴー宣読者としては60年と聞くと「戦後民主主義なんじゃ?」と思わざるを得ません。それは本当に伝統だろうかと考えてしまいます。
>>「やっぱり、わしが描くしかないかもな!!」
是非、描いてください!!以前、今年の春に出すようなコメントを読んでから、
私、それが出るのを今年一番の楽しみにしています、ハイ。
(ID:5352147)
僕が週一で出ている、集まりがあるのですが、
そこは、アンチAKBの巣窟なのです。
みんな、
僕に、気を使って我慢しているのですが、
集まりで、一番の良い人と、
思っていた人までが、
「AKB最悪」と、
ポロっと言ってしまっていました。
でも、AKBには、
最強の味方のよしりん先生がいます。
ブログでも、毎週のライジングでも、
元気と勇気をもらってます。ありがとうございます。
先生の行動は、秋元才加さんの、
「虫のバラード」を思い出します。
「傷つくことを恐れてはいない。どんなキツイ道のりも。」
「ちっぽけな、ちっぽけな俺は、前のめりに・・」
「たった一匹の虫になる。」
本当は、傷つくことを恐れる瞬間も、
あるのかもしれませんが、
それを表に出さない勇気に感動します。
先生のライジングの力強さで、
嫌な事も吹っ飛びます。
AKBは、僕の恩人ですので、
嫌いになるなんて、ありえません。
先生も、僕の恩人です。
ゴー宣が難しくても、何回も読んで理解します。
いつも、元気と勇気を、ありがとうございます。