小林よしのりライジング

「『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』とLGBT法」小林よしのりライジング Vol.474

2023/07/11 18:10 投稿

コメント:134

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第474号 2023.7.11発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…『恋愛論・完』ではLGBTも射程に入れて「恋愛とは何か?」を論じたが、そのような視点で書かれた本は、これが初めてだろう。八木秀次をはじめとする自称保守派・男系派は、「Y染色体を受け継いだら男!体が男なら男!体と脳の性別が違うということはありえない!それは治療すれば治る!」という非科学的でカルトな考えに支配されている。「性の多様性」を認めたところで、「保守」の思想とは全く矛盾しない。本物の保守は、「バランス感覚」であり、時代に伴う変化をどこまで認めるかを見極めていくものである。変化を絶対に認めないというのは「保守」ではない。それは「原理主義」というものだ!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…「女風呂に、女と偽った男が入ってくる」「女性皇族が“わざと”「内面は男だ」と宣言し性を偽って宮家を創設する!皇統断絶だ!」等々、竹田恒泰をはじめとする自称保守派の強硬な反対により、与野党で協議が行われ、条文に「全ての国民が安心して生活することができることとなるよう留意するものとする」という文言が加えられることになったLGBT法。しかし、この文言にはLGBT当事者団体や法律家たちが猛反発している。竹田恒泰や自称保守派があれほどまでにLGBTに反対する心理の裏には何があるのか?そしてLGBT法の真の問題点とは何か?
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…今、曲を聴いていて素直に「ああ、いい歌だな」と思うような邦楽アーティストはいる?参政党のような泡沫は相手にしなくても良いのでは?安倍(敬称略)の一周忌で信者アピールしているあっち側の人たちに何を言ってあげるべき?今考える「理想の人類滅亡」とは?もし、目の前で女性がオナラをしたら、どう対処する?ガリガリ君、ズバリ今年のイチオシの味は?霊魂は実在すると思う?期待をかけた人に失望させられた時、どのように折り合いをつけると良いの?…等々、よしりんの回答や如何に!?


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第503回「『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』とLGBT法」
2. しゃべらせてクリ!・第430回「スーパー絶交仮面は今日も飛ぶのでしゅ!の巻【前編】」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第297回「LGBT法と竹田恒泰の問題点」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記




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第503回「『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』とLGBT法」

『よしりん辻説法⑥ 恋愛論・完』(光文社)が発売中だ。
 6年間続いた『よしりん辻説法』の完結編であるとともに、一昨年からのシリーズ『恋愛論』の締めくくりであり、さらに「よしりん最後のギャグ漫画」と銘打っている。今後、わしのギャグの才能はインド版アニメ『おぼっちゃまくん』に注力することになる。

『恋愛論・完』ではLGBTも射程に入れて「恋愛とは何か?」を論じたが、そのような視点で書かれた本は、これが初めてだろう。
 この本には、29年前に美輪明宏と行った対談を描いた幻の作品『聖人列伝』を単行本初収録した。
 読んでもらえばわかるとおり、わしはこの当時から美輪の性別を超えた魅力を認めている。それならば、現在論じられているLGBTについても認めなければ整合性が取れないわけだが、今回はその点でも論理が通ったものになっていると思う。

 それにしても、今どきの知識人は「美輪明宏」という存在をどう捉えているのだろうか? 単にキワモノのタレントのように扱って無視しているんじゃないか?
 若き日の美輪明宏の魅力は、三島由紀夫、江戸川乱歩、寺山修司、澁澤龍彦など多くの作家・知識人を虜にした。当時の知識人の知的レベルは非常に高く、美輪の持つ、性が明確ではない妖しさや美しさといったものを十分理解できたのである。
 今どきの自称保守知識人のような、「男は男らしく、女は女らしく」だの、「世の中には男と女しかいない」だのという単細胞な意見を平気で言えるバカに、美輪明宏が理解できるわけがない。そもそも、昔だったらそんなバカは「知識人」など名乗れなかったはずで、「知識人」の劣化はあまりにも深刻である。

 体の性別と心(脳)の性別は必ずしも一致するわけではなく、それは先天的なものであって、本人の意思で自己決定できるものではない。このことくらいは、もう一般常識にしなければいけない。
 遺伝子による体の性別は、卵子と精子が受精した瞬間に決定する。
 男女の性別は、母親の持つXX染色体と、父親の持つXY染色体の組み合わせによって決まる。XとXを受け継げば女児、XとYならば男児となる。Y染色体には「SRY」という性を決定する遺伝子があり、これを受け継ぐと精巣が形成されて男性になるのである。
 ここまでは、あくまでも「体」の性別が決まるまでの仕組みで、既に広く知られた「理科」の領域である。
 しかし、人の性別はこれだけで確定するほど単純なものではない。実際には、SRY遺伝子が働かず、染色体が「XY」なのに身体的特徴が女性という人もいれば、染色体が「XX」なのに身体は男性という人もいるのだ。

 そして、心の性別は母親のお腹の中で、胎生12~22週の頃に決められる。
 この時期の胎児の脳は性的に未分化な状態で、男性ホルモンの「アンドロゲン」の作用を受けて初めて男性化する。アンドロゲンは胎児自身の精巣から分泌され、女児の場合は精巣がないので脳も女性化する。
 しかし男児でも、アンドロゲンが十分に働かない場合などは脳が女性化するわけで、このようなことが起こる原因までは十分解明されていないという。
 また、さらに最近の研究では、脳の性別は母親のお腹の中にいる間に完成するわけではないということもわかってきたそうだ。
 第二次性徴期と呼ばれる思春期は、性ホルモンの分泌が盛んになり、この時期に分泌される男性ホルモンや女性ホルモンの働きによって、心身ともに大人の男性・女性へと変わっていく。
 詳しいメカニズムはまだ解明されていないが、この時期に脳も男性の脳、女性の脳へと発達していき、いわば、心の性別の仕上げが行われるという。

 ここで「先天的」「後天的」という言葉を使うと、誤解を生じかねない。
 生まれた後、思春期になってから決まるのなら「後天的」ではないのかと思われそうだが、「後天的」とは、生後の周囲の環境や本人の意思による行動・学習によって身に付くものをいう。
 思春期にどのような性ホルモンの分泌が行われるかということが、生後の環境や、ましてや本人の行動・学習で左右されるわけがなく、この場合も「先天的」な変化と見なければいけない。
 体と心の性別は思った以上に複雑に決められているもので、そのメカニズムは未だにわからない部分が多い。
 異性に恋をするか、同性に恋をするかということも本人の意思でどうにかなるものではなく、いくつもの条件が重なった結果の「偶然」で決まっていると思うしかないものなのだ。

 わしは普段「LGBT」と書いているが、それがいつの間にか「LGBTQ」になり、「LGBTQ+」になり、次々増えていっている。
 しかし、本来はそうして細かく分類していくのもおかしいというべきで、それらの境界も、ものすごく曖昧なのだ。 

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コメント

ゴー宣「『よしりん辻説法⑥恋愛論・完』とLGBT法」を読みました。
この時期に、このご著書が発売されることは、やはり、小林先生は時代の寵児ですね。
「恋愛論・完」は、『聖人列伝』から読みました。とても面白かったです。
今、読んでも、全然色褪せず、逆に今の先生の主張を補強する内容となっていて、やっぱり先生は凄いと驚嘆いたします。
統一協会の時と全く一緒ですね。
そして、若い頃の先生はカッコ良く危険な香りを漂わせているのが、少ない写真からも分かり、これはモテたろうなと思います☆

堀辺正史師範の本で、武士道とは「用・美・道」と書かれていましたが、武士とは本物の審美眼を持つ保守なのでしょうね。
男系派は、頭カッチカッチの時代遅れの小役人なのでしょう。

今回、LGBTの話から、先天的と後天的の違いを正しく学たことは財産となりました。
また、LGBT理解増進法に、維新と国民民主により最悪の文言が盛り込まれたことは、当事者たちにとって、最後の最後で努力が全て水の泡になったような、絶望的な気持ちになっただろうなと想像し、いたたまれない気持ちになりました。
ヤギの主張を読むと、皇統問題の発言と同じく、「〜“も”多い」などと最後に曖昧な言葉を使い誤魔化していて、本当に卑怯だと思います。

厚労省通達に関してのLGBT法連合会のコメントを読み、民主主義に甘えていない常識を持っていて、予想通りでもあったし、とても好感を持ち感心いたしました。
ヤギを初めとする男系固執派は、まさに民主主義に甘えに甘えているのだと思います。

はるな愛氏が、テレビで酷い扱われ方をされているのを見て、とても同情したことを思い出しました。
他にも、綺麗なタレントさんが居たのに、いつの間にか消えてしまっているのが、嫌な予感しかせず、苦々しい気持ちになります。

先生が「三羽スズメ」でも語られていましたが、「不同意性交罪」の件は、諦めずに続けていくことの大切さと、希望の灯を感じる出来事と思います。

危険な原理主義に警戒を怠らず、真の保守・武士として、これから生きて行きたいです。
それが皇統問題の解決へも直結することにも、改めて、気付きを得ました。

No.142 16ヶ月前

トンデモ見聞録「LGBT報告書と竹田恒泰の問題点」を読みました。
竹田恒泰の行動原理は、全て自分のためというのが今まで以上に分かり、そんなのに賛同する連中も込みで、胸クソ悪くて仕方ありません。
あの動画の顔。これ以上ない醜さです。

竹田恒泰、八木秀次、安倍晋三、サイテー野郎には親和性があるのですよな。
辿って行くと「やっぱし、またお前かー!!」ってことがよく有りますね。

安倍に始まり、竹田、八木らは、これから次々とバチが当たっていって欲しい。今まで苦しめられて来た人々や、時代からの、手痛いバチを受けて、滅んでいって欲しいです。

LGBT関係者の方々は、最後の最後で、非常に悔しい思いをしたことと思います。
ここをスタート地点とし、また前に向かって歩いて行って欲しいです。
政治家は…情けなさすぎる。
少しずつでも良い方へ変わって行って欲しいです。

No.143 16ヶ月前

自民党に嫌気がさして男系カルトが出て行って新党を作るなんてことがあったら諸手を挙げて賛成しつつ自民党支持に回りたいとさえ思うんですがね…。尊皇心などなく保守論壇世間の空気に右へ倣えしかしてこなかった人たちにそんな気概はあるのかどうか疑問です。

No.144 16ヶ月前
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