第469号 2023.5.16発行
「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、著名なる言論人の方々が出版なさった、きちんとした書籍を読みましょう!「御意見拝聴・よいしょでいこう!」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが現代社会を鋭く分析「トンデモ見聞録」や小説「わたくしのひとたち」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…一体なぜ自称保守派は、天皇陛下のご意思を平気で無視できるのか?その原因は明らかである。連中の目的が、「天皇陛下のご意向を叶えること」ではないからだ!さらにいえば連中は、本当は「皇位の安定継承」も目的とはしていない。もっといえば、「男系男子継承」ですら、真の目的ではないのである。では、何を目的としているかというと、それはただひとつ。「自分がマウントを取りたい」ただ、これだけなのだ!ただただ議論でマウントを取って、偉そうな顔をしたいだけなのだ!
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…日本以外で、王位継承を「男系男子」に限定している立憲君主制の国は、中東のヨルダン、欧州のリヒテンシュタイン公国だ。一体どんな国で、どのように王位の安定継承を維持してきたのか?じっくり調べてみたところ、日本の皇室とではなにからなにまで違いがありすぎ!実情も文化も背景もまったく違うのに、日本の皇室に無理やり当てはめて、男系維持が可能であるかのように言っているのだ。この幼稚さ、不誠実さ、あまりにも凄まじい。
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…尖っていると思ったロックミュージシャン、格闘家、芸人などがコロナ脳だった時に失望してしまうのは何故?映画や漫画等を観て「これは泣いた!」という作品はある?坂本龍馬の評価が変わってきていることをどう見る?少年誌で描く際に性的表現で苦労したことはある?井上達夫氏との『ザ・議論!』のような対話をまたやってほしい!公開中の『すずめの戸締り』が登場人物がマスクをしているバージョンに差し替える!?外国人の地方参政権、移民の受け入れについて今はどう考えている?…等々、よしりんの回答や如何に!?
【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第498回「マウントを取りたいだけの男系派」
2. しゃべらせてクリ!・第425回「ぽっくん叫ぶ!みなしゃん、ついて来なしゃ~い!の巻【後編】」
3. 泉美木蘭のトンデモ見聞録・第292回「男系男子限定の国・ヨルダンとリヒテンシュタインの現実」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 編集後記
第498回「マウントを取りたいだけの男系派」 7月23日(日)13時から開催される、公論イベントSpecial「愛子さまを皇太子に」の参加者募集が今週19日、正午からスタートする。
ゲストに菅野志桜里氏、矢部万紀子氏を迎えて4時間の大議論を行う他、様々な企画を用意して、愛子さまに皇太子になっていただくための一大応援イベントを繰り広げる予定である。
入場無料だが、事前の申し込みが必要なのでぜひ早めに応募してほしい。
わしは10年近く前、宮内庁からの呼び出しを受け、宮内庁長官と官房審議官と会談をした。
それまでわしは、天皇(現・上皇)陛下が女性・女系天皇を認め、愛子さまを次の皇太子にしたいというご意思をお持ちだということについて、90%くらいの確信を持っていた。
それがこの時の会談で、宮内庁側がわしの主張と完全に同調していて、ツーカーで意思疎通ができたことから、確信は100%に変わったのだった。
ただしそのことについては、わしはその後、ごく限られた人にしか明かさないようにしてきた。
しかし先日、ついにその禁を説き、SPA!5月2・9日合併号掲載のゴーマニズム宣言『愛子天皇論』でこれを描いた。
わしは宮内庁側からは特に口止めもされなかったので、すぐに誰に話しても別に構わなかったのだが、10年近くの間、この件をどう扱うべきか、ものすごく悩んできたのである。
宮内庁長官と話して、天皇陛下のご本心がわかったと言えば、いかにも強力な武器を手にした感じにはなるだろう。それはまさに「錦の御旗」を掲げているのと同じようなことになる。
だが、わしはそこで躊躇を感じた。もしこのことを公開したら、どんな反応が返ってくるだろうかと考えたのだ。
まず、必ず「作り話だ」と言ってくる者がいるだろう。
では、そこで宮内庁側との会談が本当にあったことの証拠として、宮内庁長官の名刺を公開するか?
いくらなんでも、人の名刺で自分の発言の信用性を担保しようなんて、あまりにみっともなくてわしにはとてもできないし、「宮内庁お墨付き」を振りかざすなんてことは、完全にわしの美学に反する。
この会談の席では、わしは「これは皇后陛下の御本です」として一冊の本をいただいているが、それを公表するわけにもいかなかった。
その本には皇后陛下が貼られた「付箋」が何枚もついていて、そのページを見れば、皇后陛下が何をお考えかが推察できるようになっており、それは「女性天皇」を示唆しているとしか思えないものだった。
高森明勅氏の忠告によれば、皇后陛下が勝手にそんなことをできるわけはないので、その推察できるご意思は、そのまま天皇陛下のご意思であるということだった。その翌日にも、高森氏はわしの仕事場を訪れ、御本の付箋ページのコピーを取っていった。
この本を見せびらかせば、立派な「錦の御旗」になるかもしれないのだが、それでは「権威主義」であり、そうはできないとわしは思った。
わしは迷った結果、これは一般公開できることではなく、ごく限られた人にだけ、内々に明かすしかないと判断した。
当時のゴー宣道場の設営隊員には、開場前に集合をかけて話し、今後の道場の役割がものすごく大きくなることを知らせた。
そして、尊皇心があって力になってくれるかもしれないと見込んだ政治家には、個別に会って話していった。
野田佳彦元首相は、すごく熱心に聞いてくれて、生前退位の際には非常に尽力し、引き続き皇統問題にも力を入れているが、いかんせん野党が弱体化しすぎてしまって事態を動かせない。
石破茂氏には、安倍政権下では冷遇されていたとはいえ、与党の有力議員としてかなり期待したのだが、結果は全然だった。
さらには、少しは影響力があるかと思って、田原総一朗氏にまでこの話をして、その一部は対談本『日本人なら知っておきたい天皇論』(SB新書)にも掲載された。だが、それだけだった。
今年2月に行った『オドレら正気か?in奈良』では、ネット非公開で会場のみの「密教」として話したのだが、最大限でも、これくらいの内輪だけの話にしておくべきだと、この時点では思っていた。
ところが、この「密教」の話を聞いたのか、「世界のゴー宣ファンサイト」のカレーせんべい氏が興奮して、そんなことがあるんなら、これを全部公開してしまえばすべて決着じゃないかと言い出した。
おそらくカレー氏には、「承詔必謹」という感覚があったのだろう。
戦争最末期の昭和20年(1945)8月に至っても、軍には強硬な抗戦派が存在し、政府は意見を集約することができず、天皇の「御聖断」を仰いだ。
そして昭和天皇はポツダム宣言受諾という決断を下し、自ら「終戦の詔勅」を読み上げた。
その「玉音放送」の放送を聞くや、それまで強硬に戦争継続を主張していた軍人たちも、一斉に武器を下ろした。一部の軍人は、天皇の意思に反してでも徹底抗戦せよと唱えたが、それが叶わないと知ると割腹して果てた。
天皇の「詔」を承ったら、必ず謹んで従う…「承詔必謹」とは、それほどまでに当時の日本人、特に軍人にとっては絶対とされていたことなのだ。
だからこそカレー氏は、日本の「保守」を名乗るような者なら、愛子皇太子の実現が天皇の大御心だと知れば、それに従うはずだと思ったのかもしれない。
しかし残念ながら、今どきの自称保守なんて、「承詔必謹」が読めるかどうかすら怪しい。
現在の日本人、特に自称保守なんて、天皇が何を考えていようが、何を望んでいようが、そんなことは知ったこっちゃないとしか思っていないのだ。
たとえ、いま天皇陛下が「愛子を皇太子にしたい」というご意向を直接「玉音放送」で表明したところで、自称保守派は一斉に無視するか、あるいは「憲法4条違反」として天皇陛下をバッシングするのは目に見えている。
現に、上皇陛下が生前退位のご意向を明かされた「平成の玉音放送」の際には、自称保守は陛下のご意思を一斉に完全に無視して、「死ぬまで天皇をやるべきだ」と平然と言い放ったし、天皇が自身の進退について表明することは「国政に関する権能」ではなく、憲法違反には当たらないにもかかわらず「憲法4条違反」を主張する者も数多くいたのである。
コメント
コメントを書く(ID:20065392)
「夫婦の絆」2話。うーん怖い。
終始不穏な空気で胸がぞわぞわします。
それでいて目が離せない、続きが気になる内容に仕上がってるのだから良い意味でタチが悪い。
なんといってもトラックを運転するオヤジの顔!
いかにも不快な、脂ぎった、気色悪い表情!
こういう自分の身近に潜んでいそうな異常者ってフィクションの存在だとわかっていても本当に怖いんですよね。
精神的嫌悪感に訴えるものを描くのって難しいことだと思うんです。
人間の脳はそういったものを記憶しないようにできているから。
小林先生にそれができるのは長年社会の醜さから目を背けずに活動され続けてきたからなのかなと。
マンガ・アニメ・ゲーム・ネット小説の影響しか受けていない今どきの漫画家には絶対こんな作品は描けません。
あと30年は小林先生の描く漫画を読みたいなと思わされる2話でした。
(ID:19289646)
ライジング配信ありがとうございます。
ゴーマニズム宣言・第498回「マウントを取りたいだけの男系派」拝読しました。
自称保守が一番大事なのは自分。
そして自分に利益をもたらしてくれる人。
自称保守の妄想に振り回されてきた上皇さま、天皇陛下、秋篠宮さまたち皇族方が気の毒過ぎます。
国民主権というのなら、国民の約8割が受け入れている女性・女系皇族が皇位継承出来るように皇室典範を改正し、今上陛下の直系である愛子さまが次の天皇となられる皇太子になれるようにしましょう!
今まで男系継承で続いてきたもしても、これからも続ける必要はありません!
天皇にも天皇以外の男性皇族にも側室が複数いて、男系男子がたくさんいた時代ではありませんからね!
男系派の自己満足のためだけに、国民に無償の愛を与えてくださる上皇さま、天皇陛下、秋篠宮さまたち皇族方を長年苦しめ続けたその罪は極めて重い!
木蘭さんのトンデモ見聞録・第292回「男系男子限定の国・ヨルダンとリヒテンシュタインの現実」拝読しました。
ヨルダンの側室は妻の許可制だったんですね。妻の許可を得た側室は合法なのでしょうか。
日本も側室があった時代は、皇室でも貴族でも武士でも、異母兄弟による権力争いは日常茶飯事でした。
「母親が違えば赤の他人」ですから。
皇位継承では母親の身分で皇位継承が出来るかどうかが決まりました。
壬申の乱以降に直系優先になるまでは、母親の身分が低ければ天皇のお子さまでも天皇になれない時代もありました。
明治以降は側室がいた最後の天皇である明治天皇の男子で成人されたのは、大正天皇お一人だけ。
母親の違う兄弟がいなかったが為に異母兄弟との権力争いが起きなかったことで、母親の血筋が皇位継承に大きな影響を及ぼしていたことがいまいち知られていないように思います。
養子が認められているリヒテンシュタインですが、リヒテンシュタインがどういう国か知れば知るほど、「初代公爵の男系男子孫なら誰でも跡継ぎになれる」という訳ではないことがよく分かります。
リヒテンシュタインの国家元首は、リヒテンシュタイン家のみならずリヒテンシュタイン公国の命運を握っているのです。
胡散臭い遠縁なんて、確実にアウトです。
令和の有識者会議でリヒテンシュタインのことを取り上げた人は、リヒテンシュタインという国の背景を深く調べることもせずに「養子可能」という点にだけ着目して飛びついてしまったのでしょう。情けない。
旧宮家が皇籍を離れたのは、血筋の遠さと皇室の品格を傷つける問題行動を繰り返した為。
背景を考えれば、旧宮家の子孫だから特別に皇籍取得可能にするなんてあり得ません。
今上陛下の直系である愛子さまを差し置いて皇位継承者にさせようだなんて。
ヨルダンもリヒテンシュタインも、トップである国王・元首に自分の後継者を決める権限があります。
参考に出来るのはそこぐらいでしょう。
(ID:72002206)
>>117
青ネギさん
「‥日本の福祉制度はお粗末な上に、正当な権利という意識が薄く、なぜか『恥』と定義付けられていて、落伍者の烙印を押す。生活保護を「次へのステップ」と捉えられないのは、保護を受けている人にとっても社会にとっても大きな損失で、誰も幸せになりません」
全く強く同感です。
健康で働いているときにちゃんと税金、年金、国保を納めて国民の義務を果たしていたにもかかわらず、
病気で、やむをえず、生活保護や障害者年金受給となると途端に、
「あの人セイホだから」とかケーベツの対象となる。
どんな人でも、生活保護受給者だけには負けていません!と自信を持てる。
「ああはなりたくねえよな」とか、「俺らの税金で働きもしないで飲み食いしやがって」とか、
無知蒙昧で野蛮極まりない言葉をヘーキで吐く。実に恥ずかしい事だ!
まあそうゆう奴らは、働きたくても働けない病気になって自分の収入では生活できなくなって、生活保護になってみたまえ!そして働かなくても金がもらえる、幸せだー、と思えるのか実体験してからモノを言え!
お金だけもらって、命だけ繋いで、無職で居続けるしかない現実は事実じゃないか!
誰だって働きたい、社会貢献したいんだ!日本の福祉はどーしよーもない、声をあげよう!
生活保護も障害者年金も、「次へのステップ」に繋がる希望の制度になるようにしよう!
切実に思う。
多様性の叫ばれるこの時代、障害があると一般社会からハブられる事も、いー加減終わりにしようぜ!
カテゴライズするのはもう終わりにしよう!ああ気持ちが悪い!
興奮してすみません。