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第136号 2015.6.9発行

「小林よしのりライジング」
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、『おぼっちゃまくん』の一場面にセリフを入れて一コマ漫画を完成してもらう読者参加の爆笑企画「しゃべらせてクリ!」、小林よしのりに関するWikipediaページを徹底添削「よしりんウィキ直し!」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)

【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…超高齢化社会をひた走る現代日本。そんな今、シニア世代の婚活が活発化しているという。60代半ばの男が「自分が全然年とった気がしない」と言いながら、筋トレして体を鍛え、30代女性との結婚を希望して、子供も作ろうと思って婚活しているのだ。もがいとるな、もがいとるな、老人として~~~~~~~~~!!!
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」!書店に並ぶ膨大な本は本当に必要?今年のAKB48総選挙の感想を教えて!先生にとっての「ハングリー精神」はどこから来ている?旅行は現実逃避?「娼婦」に見る男の器とは?…等々、よしりんの回答や如何に!?
※「よしりんウィキ直し!」…ようやく今回で一段落を迎える「延長戦」!今回は「『陛下の大御心は女系容認』という忖度に関する間違い」と題する項目をウィキ直し!「宮内庁は徹底的に信用ならない人物の巣窟で、陛下のご意向に反する陰謀を企んでいる」という“トンデモ陰謀説”に嵌る、日本史上最低最悪の朝敵たちを許すな!!


【今週の目次】
1. ゴーマニズム宣言・第132回「未熟な国で老いに抗う者たちの煩悩」
2. しゃべらせてクリ!・第96回「へけけ~っしゅ! ぽっくん、テレテレ坊主ぶぁ~い!の巻〈前編〉」
3. よしりんウィキ直し!延長戦・第14回「『ゴーマニズム宣言スペシャル・天皇論追撃篇(新天皇論)』過去版 ~「『陛下の大御心は女系容認』という忖度に関する間違い」の間違い~」
4. Q&Aコーナー
5. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
6. 読者から寄せられた感想・ご要望など
7. 編集後記




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第132回「未熟な国で老いに抗う者たちの煩悩」

 わしが若者だった頃、老人の気持ちがわからなかった。
 悟りを開いた、欲望の少ない境地になるのかと思っていた。
 子供が興味を持つ遊びや、子供が欲しがる甘いお菓子など、老人は嫌いで、囲碁や将棋をやったり、酒を飲み、塩辛いものを食うのが老人の嗜みだと思っていた。
 老人の青春は戦時中の苦労話で、好きな歌は演歌と懐メロ、ロックをうるさいと言い、漫画をバカにして、タバコを吸いながら、新聞を読んでいた。

 それが近頃の老人は何だ!?
 NHKの「クローズアップ現代」で「老いて 恋して 結ばれて~超高齢化社会の“男と女”~」というドキュメントをやっていた。
 いま、シニア世代の婚活が活発化しているという。65歳以上で結婚する人は1990年以降、4倍も増加している。結婚相談所には初婚や再婚を希望するシニア男性が殺到しているらしい。
 その男たちが求めるのは年齢差のある女性、つまり40代や30代の女性だという。なんか厚かましい気がするが、60代半ばの男が「自分が全然年とった気がしない」と言いながら、筋トレして体を鍛え、30代女性との結婚を希望して、子供も作ろうと思って婚活しているのだ。
 ひとことで言えばキモい!
 よくよく見れば、筋トレで体に筋肉がついているのだが、髪を染めている。恐らく白髪のはずだ。そして顔がアップになると、間違いなく老人の顔なのだ。
 人工的にアンチ・エイジングして、年齢を誤魔化している。
 もがいとるな、もがいとるな、老人として~~~~~~~~~と言いたくなるが、なんか不気味なこの男に騙される30代女性が本当にいるのだろうか?

 田原総一郎は2回も妻に先立たれたそうだから気の毒だが、73歳のときの同窓会で、かつて高校の頃のマドンナだった女性を誘い、80代で熱烈な恋愛をしていると告白している。
 田原は外見的にアンチエイジングせずに、80代で恋愛するパワーがあるのだから凄い。これはやっぱり個人的な特殊性だろう。

 そういえば70代の加藤茶が20代の嫁をもらったのが話題になったが、あれは老人には相当うらやましかったのかもしれない。
 だがそれはカネの力だ。カネ目当てで結婚したと言ったら失礼だが、カネ目当てでも70代の男に夢を見させる覚悟があるのなら、それは大した野心だと言わざるを得ない。
 超格差社会で、恋愛バブルが崩壊した今日では、貧しく将来の安定を期待できない同年代の男との結婚生活を望むより、まだ元気な老人にひとときの夢を見させて、遺産を相続して第二の人生を歩んだ方が、幸福になれると計算しても悪いことではない。
 老化した夫の介護が苦痛でなければ、遺産は確実に入って来るのだ。