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(号外 2015.6.15発行)

ゴーマニズム宣言
「砂川判決は対米従属の決定的証拠である!」

 集団的自衛権行使を認める安全保障関連法案に関して、6月4日の衆院憲法審査会に参考人として憲法学者3人が招致され、全員が「違憲」と断言した。
 特に自民・公明・次世代が推薦した長谷部恭男早稲田大教授まで「違憲」と断言したのは与党には大ダメージとなったが、そもそも普段の長谷部教授の意見を知っていればこの結果は自明だったわけで、要するに自民党の議員どもは憲法なんか関心もなく、どの学者がどんな学説を唱えているのか調べもしなかったのだろう。
 その前日には、憲法研究者173人が安保関連法案は違憲であるという声明を発表(6月11日現在では226人に増えている)。
 慌てた菅官房長官は「全く違憲でないと言う著名な憲法学者もたくさんいらっしゃる」と発言した。
 これに対して6月10日の衆院特別委員会で辻元清美衆院議員が「違憲じゃないと発言している憲法学者の名前を、いっぱい挙げてください」と当然の質問をすると、菅が挙げたのは百地章、長尾一紘、西修のたった3人。それをさらに辻元が突っ込むと、菅は「私は数じゃないと思いますよ」と居直った。
 自分で「たくさんいる」と言っておいて、たくさんいないとわかると「数の問題じゃない」なんて言っても、ガキの言い訳にすらならない。
 翌11日には、平沢勝栄衆院議員が「合憲」とする憲法学者として10人の名前を挙げ、「『合憲だと思うが名前を出すことは差し控えたい』と言う方も大勢いた」と付け加えた。
 200人を超える憲法研究者が実名を出して「違憲」と表明しているのに、「合憲」を唱える人は10人以外実名が出せないという。これでは「合憲」は実名じゃ言えないほど根拠が乏しいと認めたにも等しく、頭の悪すぎる発言としか言いようがない。

 この安保関連法案は本来、憲法改正なしに成立させることは無理であり、改憲しないまま強行すれば憲法は形骸化し、立憲主義は破壊される。
 これは改憲・護憲の立場には関係ない。改憲派でも護憲派でも、憲法に意義があるという考えを前提にする立場のはずだ。立憲主義を守るべきとするマトモな憲法学者であれば、今の安保法案は「違憲」と言うに決まっている。「合憲」という憲法学者がいたら、それは日米同盟のためなら憲法の形骸化も可とするインチキ学者でしかないのだ。

 国会に招致した憲法学者が全員「違憲」と断じた事態を受け、政府は9日の衆院憲法審査会で安保法案を「合憲」とする見解を野党側に示した。
 その根拠として挙げたのが昭和34年(1959)の最高裁砂川事件判決(以下「砂川判決」)なのだが、ここで砂川判決が出てくるのがデタラメの極みである。
 今回は、砂川判決とは何だったのかを説明しておこう。