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第35号 2013.4.23発行



「小林よしのりライジング」
 『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。
 毎週、気になった時事問題を取り上げる「ゴーマニズム宣言」、AKB48ブームから現代社会を掘り下げる(本当は新参ヲタの応援記!?)「今週のAKB48」、よしりんの愛用品を紹介していく「今週の一品」、漫画家キャリア30年以上で描いてきた膨大な作品群を一作品ごと紹介する「よしりん漫画宝庫」、珍妙な商品が盛り沢山(!?)の『おぼっちゃまくん』キャラクターグッズを紹介する「茶魔ちゃま秘宝館」、読者との「Q&Aコーナー」、作家・泉美木蘭さんが無限に想像をふくらませ、とことん自由に笑える「日本神話」の世界を語る「もくれんの『ザ・神様!』、秘書によるよしりん観察記「今週のよしりん」等々、盛り沢山でお送りします。(毎週火曜日発行)


【今週のお知らせ】
※「今週のAKB48」は土曜日に放送された「めちゃイケSP!AKB48期末テスト」を徹底解剖!?そしてテレビの「阿吽の呼吸で演出に加担する」感覚と、ネットのバッシング、わが物顔にのさばるクレーマーとの関係性を分析!バラエティ番組は生き残れるのか!?
※毎週、隠れた(?)名作を紹介している「よしりん漫画宝庫」。今週から紹介するのは『若造』。よしりんが特に気に入り、別キャラとして度々登場することになる「最強」の顔面を生み出した、この作品。一度見たら忘れられない、その顔とは!?
※今週発売の『週刊文春』で、AKB48メンバーの新たなスキャンダルが発覚!?あの、とも~みが禁断のお泊まり愛…!!「今週のよしりん」では、よしりんの良からぬ企みも発覚!?


【今週の目次】
1. 今週のAKB48・第29回「阿吽の呼吸で演出に加担する感覚」
2. 茶魔ちゃま秘宝館・#007「コロちゃんパック うたとおはなし『おぼっちゃまくん』」
3. よしりん漫画宝庫・第35回「『若造(じゃくぞう)』① 最強武器・人造顔面を持つ男」
4. Q&Aコーナー
5. 今週のよしりん・第35回「とも~みのお泊まり愛に『ウソだろうが!!』」
6. 新刊案内&メディア情報(連載、インタビューなど)
7. 読者から寄せられた感想・ご要望など
8. 編集後記




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第29回「阿吽の呼吸で演出に加担する感覚」

 土曜日に放送された「めちゃイケSP!AKB48期末テスト」が最高に面白かった。
 この企画は以前からやってたらしいが、初めて見た。AKBのセンターバカを決めるというから見たのだ。

 川栄李奈がバカだということは以前から知っていたから、予想通りの結末だったが、その次にバカだった高橋みなみとの差が30点もあったというのが見事なセンターバカだった。
 その上、それを聞いた川栄が、なんと「嘘だろうが!」と叫んで、信用しようとしないのが、素晴らしいバカだった。
 足がクサいというキャラと、センターバカというキャラの、二大マイナスキャラを背負って、だからこそカワイイという評価になるのは、アイドルの歴史の中でも画期的なことである。
 川栄は絶対勉強してはダメだ。どんなにバカがばれても、「嘘だろうが!」で通すバカになってほしい。


 現役高校生の入山杏奈(あんにん)が1位という結果で、あんにんが頭のいい子だったと知って良かった。だがそれ以上に感心したのが2位の大島優子だ。
 中学生レベルのテストとはいえ、大島優子は学校卒業してから年月経つのに、よくいい点とれるものだ。

 やっぱり優子は秀才的な頭の良さと、反射神経としての地頭の良さが両方揃っている。
 一気に常識を吹っ切って、キンタロー。に復讐する「フライングゲット」を、オーバーアクションで踊ってみせるひょうきんさが素晴らしい。妖艶な色気も持っているのに、カマトトぶらないはっちゃけ方に、ひたすら感心しながら笑うしかない。

 こういうエンターティンメントの凄さは、残念ながら次世代センター候補とされる渡辺麻友にも、ましてや島崎遥香にもない才能なのだ。やっぱり優子には惚れざるを得ない。


 それにしてもナインティナインの岡村には、本当に感謝したいくらいだ。指原をいじり倒し、峯岸みなみをいじり倒してくれた。
 はげちゃびんのカツラをつけた峯岸にも、「フライングゲット」を踊らせたのは大成功だった。
 そもそも峯岸のダンスの上手さは定評がある。完全に吹っ切れたデフォルメダンスがキレキレ!おどけてるのに上手すぎるという凄さ!もう大拍手して抱きしめたいほど愛おしかった。

 峯岸みなみ、これで禊は済んだ!

 自らをネタに笑えるようになれば、これほど強力な武器はない。
 

 過去のスキャンダルに対する再三の岡村のツッコミに対して、「写真を売られたのです!」と紋切り型で指原莉乃が答えるのも面白かった。あんなに端的で的を得た説明はない。
 ついに指原のスキャンダルを利用した自虐ネタも、極限まで達した。

 そして指原のテストの解答に対して、岡村がウケを狙った解答だろうとツッコんだ時の、「大人の理不尽は許せない」と言わんばかりの指原の反抗心は演出ではないようだった。
 指原は大人の理不尽を飲みこむことが出来ずに、つい反抗心を覗かせる時がある。ググタスで「大人ってムズカシイネー」などと書いて、運営に対する不満を表明することが度々ある。

 だが指原は正面切って、反抗を貫く度胸はない。そこはまだへタレなままで、「ムズカシイネー」と嫌味な言い方に止まるのだ。
 その反抗心がテレビでも垣間見えたのが、わしには面白かった。


 キンタロー。というパロディを最大限に活かして、優子峯岸板野友美(ともちん)も、キャラを爆発させた。
 ともちんが、「キンタロー。の前田敦子マネは気に入らん」という芝居を見事に貫いて、「キンタロー。だけは絶対笑わん」とふてくされる顔が、可愛くて、可愛くて、なんとか卒業を阻止できないものだろうかと思った。

 だがこの「ふてくされ芝居」の件、番組終了後に、ネットや、ともちんのツイッターで、「キンタロー。を嫌いなのか?」「板野友美の態度が良くない」という批判が続出したという。

 ともちんは慌ててツイッターでこうつぶやいている。
「めちゃイケ後にたくさんキンタローさんのこと嫌いなんですか?って質問きてたのでびっくりしました。本当は嫌いじゃないですよ♡とってもいい人です。面白かったです。笑」

 すると今度はネットで「やらせ発覚!」と煽る者が出てきたのだ。
 ともちんは「あれはテレビの演出です」とか、あるいは「私がアドリブでやったのです」などとは言えまい。
 幸いこの件は、「あれは演出だとわからないのか!」という声が多数になってるようだから、これ以上の誤解の拡散も起こらないだろう。


 だがこれって、わしが「アウト×デラックス」で、「大島優子とやりたい」と発言してドン引きされたというニュースに似ている。
 テレビ的な演出やサービストークは、場面の空気でやらざるを得ないものになっていくもので、こちらにも楽しませたいという精神があるものだから、ついノッテしまうものなのだ。
 これは極めてプロレス的な阿吽の呼吸で成り立っている笑いなのだが、近頃はユーモアをわかってくれない視聴者が続出するので大変だ。