monmon のコメント

「開戦前夜」を発売前夜にフライングゲットして早速今日読みました。
特に「日系ブラジル人『勝ち組』が信じたい情報」が印象に残りました。終戦して何年も経っているのに、大東亜戦争に日本が勝ったと信じ続けていた日本人たちがブラジルにいた事にまず驚きました。
その中に出てきた「勝ち組」の代表・臣道連盟はネトウヨとだぶって見えました。日本は勝ったと新聞を通じてデマを流し続けた三原清次郎も、カルト宗教の教祖みたいだと思いました。日本は負けたという真実を知らせようとする人たちを非国民呼ばわりしたり、円売り詐欺や皇室詐欺が出たりとまるで現代の日本と同じだと感じざるを得ませんでした。
最終的に日本人同士の殺し合いや、ブラジル人に殺されたりという最悪の事態に発展したのは読んでて悲しくなりました。現代日本の縮図のような事が、約60年前のブラジルで起こっていたなんて知りませんでした。
ブラジルといえばサンバの国・サッカー強国・マルシアの故郷と明るいイメージしかなかったですが、日本とブラジルの間でこのような悲劇があった事は忘れてはいけないですよね。日本が勝ったと信じていた「勝ち組」をネトウヨと同じと言うのは簡単ですが、戦時中にブラジル当局から迫害された事実があったからこそ、そういったデマにすがらざるを得なかった人もいたのではないでしょうか。そこが「勝ち組」とネトウヨの違いだと思いました。
「勝ち組」の代表的人物・永野勘太郎の「でもブラジルの必勝派を笑ってくださるな・・」という言葉は、彼の数々の苦悩・葛藤の中から出てきたのでしょう。
最後の「人は信じたい情報しか信じない」という言葉はとても胸に響きました。最近メディアリテラシーという言葉がよくいわれますが、それ以前に「信じたくない事を信じる勇気」が必要なんだと痛感しました。それこそがメディアに翻弄されない個を作り上げ、ブラジルの「勝ち組」のような悲劇を繰り返さない為に必要なんだと思いました。
長文になってしまい、申し訳ありませんでした。

No.25 140ヶ月前

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