『日米同盟の正体』は2009年発行の本である。講談社は今回19刷を行った。

 めまぐるしく変わる国際政治の中で、何故2009年に刊行した本が今も有用か。

 集団的自衛権は日本を守るためでない。米国戦略に自衛隊を使うシステムである。

 では米国の戦略とは何か。

 大きな転換期は冷戦の終結である。

 それまで、米国の軍事はソ連の軍事的脅威を相手に構築した。そのソ連が崩壊した。とすれば、米軍は削減していい。しかし米軍はそれをしなかった。米軍の水準を維持した。当然世論はなぜ必要かを問う。そこで新たな敵が規定された。イラン、イラク、北朝鮮である。しかし、彼らはまだ弱い。自ら米国に仕掛ける力なんてない。それで不安定な国々に大量破壊兵器を持たすのは危険だと、米国が積極的に仕掛ける戦略を形成した。しかし、米国単独で行えば、米国の軍事負担が大きく、ドイツ、日本は経済に特化する。それを許