孫崎享のつぶやき

2009年発行『日米同盟の正体』、新たに19刷(3千部)。集団的自衛権容認の背景記載。①ソ連崩壊、米軍の主敵消滅、②しかし米軍水準維持、③敵は誰か。新たな敵の認定、イラン、イラク、北朝鮮、④彼らが自ら米に仕掛ける力なし、米国が自ら仕掛ける、⑤米国だけだと、ドイツ、日本は依然経済に集中。米国への脅威、徐々に関与させる。それが今日の集団的自衛権

2016/01/17 06:58 投稿

コメント:5

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『日米同盟の正体』は2009年発行の本である。講談社は今回19刷を行った。

 めまぐるしく変わる国際政治の中で、何故2009年に刊行した本が今も有用か。

 集団的自衛権は日本を守るためでない。米国戦略に自衛隊を使うシステムである。

 では米国の戦略とは何か。

 大きな転換期は冷戦の終結である。

 それまで、米国の軍事はソ連の軍事的脅威を相手に構築した。そのソ連が崩壊した。とすれば、米軍は削減していい。しかし米軍はそれをしなかった。米軍の水準を維持した。当然世論はなぜ必要かを問う。そこで新たな敵が規定された。イラン、イラク、北朝鮮である。しかし、彼らはまだ弱い。自ら米国に仕掛ける力なんてない。それで不安定な国々に大量破壊兵器を持たすのは危険だと、米国が積極的に仕掛ける戦略を形成した。しかし、米国単独で行えば、米国の軍事負担が大きく、ドイツ、日本は経済に特化する。それを許

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コメント

以下、天木直人氏メルマガ(2009.3.23)より-

 *

◇日米同盟の正体を明かした外務省OB

驚愕の本がまたひとつ出た。元駐イラン大使であり現防衛大学校教授の孫崎享氏の手による「日米同盟の正体 迷走する安全保障」(講談社現代新書)という近刊書である。

この本の何が驚愕なのか。それは、日本を守ってくれているはずの日米安保体制(日米同盟)が、国民の知らない間に、完全に米国の戦争協力の道具に変えられてしまっている現実を白日の下にさらしたからだ。

この本の何が驚愕なのか。それは、国会承認条約である日米安保条約が、2005年10月29日の「日米同盟:未来のための変革と再編」という一片の行政合意で、いとも簡単に否定されてしまった事を国民に教えたからだ。
法秩序の下克上が起きていたのだ。

この本の何が驚愕なのか。それはもはや米国にとっての唯一、最大の脅威は、中東の「テロ」であり、これからの日米同盟とは、米国の「テロ」との戦いに日本がどうやって協力させられていくかという事でしかない、その事を明らかにしたからだ。

これらの指摘は、なにも目新しい事はない。私が繰り返して指摘してきた事だ。
左翼イデオロギー政党、政治家や学者、有識者がさんざん警鐘を鳴らしてきた事だ。

しかし官僚組織からはじき出された私が何を言っても影響力はない。左翼政治家や学者、有識者がどんなに正しい事を言ったところで、権力側は相手にしない。
権力側についたメディアはまともにとりあげない。だから国民はいつまでたっても本当の事に気づかない。

しかし孫崎氏は違う。私の3年先輩に当たる孫崎氏は、外交官として任期をまっとうした元外交官だ。国際情報局長という幹部職を経歴し、駐イラン大使を最後に退官した後は、防衛大学校へ天下って今日に至っている人物である。
その経歴を考えるとまさしく権力側に身を置いて、権力側について飯を食ってきた要人である。日本政府の安全保障政策を担ってきた一人である。

その彼が、日本の国是である日米安保体制の正体を明らかにし、もはや日米同盟は空洞化していると公に宣言したのだ。これを驚愕と言わずして何と言うのか。

No.3 107ヶ月前

日本の安全保障戦略については孫崎先生ご指摘の「狭い意味での軍事のみでなく経済的結びつきを含めて考えるという広い視野を持って考察する」ことに尽きると私も思います。

更に言えば、私たち日本の民衆にとって安全保障上最も有害で危険なものは安倍氏たちが進めて居る安全保障戦略そのものです。安倍氏の頭の中は「お爺ちゃんたちが日本単独で中国を植民地にしようとして思い上がった行動に出たから大失敗した。僕は米国と仲良く手をつないで中国を植民地にして見せる」という妄想で溢れかえっているんでしょう。

中国はアヘン戦争、日清戦争、日中戦争で辛酸を舐め尽くし今の政権を作り上げた。米国の覇権主義とそれにつき従う日本の好戦派が無くならない限り厳重警戒を怠ることはないと私は思います。

No.4 107ヶ月前

個人的には、この本がいちばんの愛読書。新書版で分かりやすく書かれているのだが、引用文献がスゴイ。キッシンジャーの日本人論はものすごく知的な破壊力をもっている。アメリカの外交政策につて研究しないと世界を語れないことが無理なく理解できる。マイケル・シャラーの学説にもこの本ではじめた触れて、やはり衝撃を受けた。しかし、何といっても、ネオコンについての分析と論証が圧巻の迫力で描かれている。
しかも、机の上の研究者とはちがい外務官僚として情報政策の中軸をにない、また、中東諸国に大使として現場にいた人の息遣いが伝わってくる。血の通った世界分析である。
さらに、EUを分析しつつ「未来」の展望までが示されて全巻が閉じられており、読後感も爽やかになれる。
これは若い時に読めば読むほど有益な本であり、充実した人生に繫がる読書になる本である。若い人に「この一冊」として残す本をあげるとしたらこれを挙げたい。

No.5 107ヶ月前
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