ウィリアム・ワーズワース は 1770年から1850年まで生きた英国詩人である。

“低く暮らし、高く思う”は、英語では、Plain living and high thinking で、原詩の該当部分の訳は次の様になる。

「質素なる生活、高遠な思想は既になく 昔ながらの善き主張の飾り気なき美はさり、われらの平和、われらの敬虔に充つる天真、家法となる宗教もすべて失せたり」

これは、(『ワーズワース詩集』  田部 重治 (翻訳)、岩波文庫)の「ロンドン一八〇二年(一)に出てくる一節である。

 この部分は日本の多くの知識人に引用され、中野孝次著は次の形で言及している。

「わたしは話を求められるたびにいつも「日本文化の一側面」という話をすることに決めて来た。内容は大体日本の古典――西行・兼好・光悦・芭蕉・池大雅・良寛など――を引きながら、日本には物作りとか金儲けとか、現世の