孫崎享のつぶやき

多くの人が回りと意見を交わすうちに世論の様な社会ムードが出来上がる仕組みを解明するのが「世論力学」。自分の意見を譲らない「確信者」と多数の意見に左右される「浮動票者」と想定。確信者の数値を25-30%越えで浮動票者全員が確信者の意見に転ず現象。

2021/07/11 09:00 投稿

コメント:17

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A-1事実関係1「オピニオンの科学(1)多数決は誰の意思か、「SNS上では3割が決定」(7月11日日経)
・「2-3割の人の意見が、全体に優先してしまう」。高知工科大学の全卓樹教授は自らの研究をもとにいう。
 全教授は、多くの人が回りと意見を交わすうちに世論のような社会のムードが出来上がるしくみを解明する「世論力学」理論の第一人者だ。
 2020年仏・国立科学研究センターのがラム博士と共同で発表した論文は民主主義を強く信じていた人々にすくなからぬ動揺を与えた。
 自分の意見を譲らない「確信者」と多数の意見に左右される「浮動票者」と想定し、集団全体の意見の変遷を数値の変化でわかるようにした。確信者の数値を25-30%越えまで増やしたとたん、浮動票者全員が確信者の意見に転じたのだ。
 以前にガラム博士が発表した論文では、わずか17%の意見が世論を左右する結果がでた。
「世論力学」の主な研究例
・高知工科大学

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コメント

>>16
日経の記者は、全氏の論文を自分が理解するというより、誰かの見解を引用したに過ぎないのでしょう。
特に新機軸としてのバランサーの考え方をとりいれていない。
言動の自由がない中国では、反対意見を述べる懐疑型が存在しないので(認められていない)、9,500万の共産党(固執型)が、14億の人民を独裁絶対的支配する社会でしかない。

No.19 39ヶ月前

>>19
コメントありがとうございます
何も知識がなかったので孫崎さんのかきこみだけから思考しました。奥の深い理論のようであり、覚えておいて一度勉強してみたいとおもいます。

知識もないため、孫崎さんの記事を読んだときは、スルーしようとも思ったのですが・・・

No.20 39ヶ月前

さっそく何か本を注文しようと調べてみたところ、全卓樹教授が物理学者であることに軽くとまどいつつ、下のブログをみつけたので休憩時間に読んでみた。
http://mathenv.kochi-tech.ac.jp/2018/07/28/galam1/

まず、このモデルは 【二つの状態1(賛成)と0(反対)をとることのできるエージェントが N 人いる系を考える。N は非常に大きいとする】 という前提をおいている。なので、「中国中央政治局常務委員会」はモデルの対象外であった。

注意すべきだとおもったのは、浮動型を
【グループ内多数決に従って、多数派の状態へとアップデート】
する型と定義していることだ(①)。

孫崎さんの記事では(あるいはもともとの日経記事がそうなのかもしれないが、読んでないのでわからない)、浮動型を【多数の意見に左右される】としか書いていない。たしかに間違いとはいえない書き方だが、【多数決に従って、多数派の状態へとアップデート】と明確に書いておらず、誤解の生じる書き方だとおもう。(わたしは誤解していた)。

もうひとつ注意すべきは、【系は r 人のエージェントからなるグループにランダムに分割される】(ブログ記事はr=3といういちばん簡単な場合で考察)、【グループ内 r 人での意見の多数決をとって、各エージェントは新状態に変化する】というテクニックを用いていることだ(②)。

①②の前提があれば、固定型(孫崎さんの記事では確信者と表現されている。またつねに賛成する固定型とつねに反対する固定型の二種類が想定できる)の二種類のうち一方がじゅうぶんに大きければ、最終的に多数決の結果が多いほうの固定型になってしまうというのは、自分には直感的に明らかに感じられる。

ただし、具体的に「じゅうぶんに大きければ」というその数値の大きさを計算した点、そして、その大きさがそれほど大きくはないということを明らかにした点が新しいのだろう。

あと、「懐疑型」という型を想定し、これの存在が「実質的に固定型の力を増す手助けになっている」というパラドキシカルな結果を導くという点を指摘しているのも新しく感じる。

ただ、現実の世論を分析するにあたっては、やはり①②の想定がかなりテクニカルに感じてしまった。もちろんモデルであるから、かまわないのだが。

暫定的な結論として、アマルティア・センの自由主義のパラドックスを最初に聞いた時ほどは、(今まで世論力学を知った範囲では)感心しなかった。ガラムとの共著論文を読めば、「民主主義を強く信じていた人々にすくなからぬ動揺を与えた」という、その動揺を追体験できるのかもしれないが、その元気がない。

No.21 39ヶ月前
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