<天皇賞・秋:追い切り>

 天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、11月1日=東京)に向けた追い切りが28日、東西トレセンで行われた。エイシンヒカリ(牡4、坂口)は栗東Cウッドで武豊騎手を背に6ハロン83秒3-12秒0をマークした。

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武豊騎手を背にCウッドでスピードに乗るエイシンヒカリ

 9戦8勝のエイシンヒカリが、天皇賞・秋で初の大舞台に挑む。3戦連続で勝利に導いた武豊騎手は「これまでの成績が素晴らしい。1戦1戦強くなってきているし、1つ1つ(課題を)クリアしてくれてきた。いよいよG1に挑戦することになって、非常に楽しみ」と力強かった。

 デビュー戦を除く8戦はすべてハナ。まさに馬名の由来通り“超特急”のように駆け抜けるそのスピードこそ最大の武器。「(新幹線)ひかりは止まるけどヒカリは止まらない」と同騎手も得意のジョークで表現した。

 この日は武豊騎手を背にCウッドで最終追い切りを行い、6ハロン83秒3-12秒0で、しまいはしっかりと伸びた。「思いのほか前半はゆったりと走ってくれた。ラストはすごくいい走り」。前走はレース前のイレ込みもきつかったというが、好レースをした。今回も当日のイレ込みが最大の鍵だが、この日は落ち着きを見せていた。追い切り前日の火曜はうるさいところを見せて、引っ掛かるところがあったが「1日たってスッキリしてくるのかも」と中村厩務員もこの日の落ち着きに太鼓判だ。

 レースは11月1日。武豊騎手にとって忘れられない日だ。同タイプのサイレンススズカで臨み、後続に10馬身以上の大逃げで疾走したが、最後の直線を前に故障を発症し、安楽死処分。多くの喜びに、悲劇も味わった天皇賞。「平成の盾男」は、50回目の節目にドラマを生む。【辻敦子】

 ◆平成の盾男 武豊騎手は天皇賞で春、秋合わせて最多11勝を挙げている。春はイナリワン、スーパークリーク、メジロマックイーン(2勝)、スペシャルウィーク、ディープインパクトで計6勝。秋はスーパークリーク、エアグルーヴ、スペシャルウィーク、メイショウサムソン、ウオッカで計5勝。秋の5勝は保田隆芳元騎手の7勝に次ぐ。