<秋華賞:追い切り>

 牝馬3冠最終戦の秋華賞(G1、芝2000メートル、18日=京都)の追い切りが15日、東西トレセンで行われた。栗東坂路はかなり力のいるコンディションだったが、桜花賞馬レッツゴードンキ(牝3、梅田)は楽な手応えで4ハロン52秒9-12秒4をマーク。走った後もすぐに呼吸が整った。それだけ仕上がりがいいということで、余裕残しの調整だったローズSからの上積みは大きい。

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力強い動きを見せるレッツゴードンキ(撮影・奥田泰也)

 15日の栗東坂路は開場から10分もたたないうちに馬場が悪化した。レッツゴードンキが登坂したのはオープンから8分後の午前6時4分。ラストで失速する馬が続出する時間帯だったが桜花賞馬は違った。中間地点で一気にペースを上げ12秒4をマークすると、最後も岩田騎手が軽く気合をつけただけで12秒4。全身を大きく使った豪快なフットワークだった。「感触を確かめてもらう程度の追い切りだったが動きはいい」と梅田師は満足げ。背中から降りた岩田騎手は「大丈夫!」と好感触を伝えた。ドンキの直後には調教駆けする2歳馬ブラックスピネル(2歳500万)が追い切られたが4ハロン52秒3-13秒8なので、どれだけドンキが異次元だったか分かる。

 この日の坂路が良馬場にもかかわらず、時計が遅かったのには理由がある。前開催中から、ウッドチップをコース下部から徐々に入れ替えられ、先週末ですべて新しくなったのだ。改修前の細かく砕かれたチップより、粒が大きなチップの方がはるかに時計がかかる。菊花賞の有力馬を抱える某調教師は「坂路はかなり馬場が重い。今日はCウッドで追い切って良かった」と話していた。

 こんなハードな馬場を走ったにもかかわらず、走った後のドンキは平然としていた。「楽でした。すぐに息も入りました」と担当の寺田助手。それだけ心肺機能が充実しているということ。梅田師は「ローズSもある程度の結果は出したかったけどTRはTRなので、本番と区別して考えていた。当時とは体の締まり具合が違う」と語る。

 そのあたりはチューリップ賞(3着)から桜花賞へいたった経緯とそっくり。「似たような雰囲気」と寺田助手は言う。状態面の上積みは必至。さらにコースは先行有利な小回りに替わる。秋も桜花賞馬は怖い。【岡本光男】