<毎日王冠:追い切り>

 天皇賞・秋への前哨戦・毎日王冠(G2、芝1800メートル、11日、東京)に向けて7日、ディープインパクト産駒エイシンヒカリ(牡4、坂口)が追い切られた。先週JRA重賞300勝を決めた武豊騎手(46)を背に、Cウッドで軽快な動きを披露。12日の京都大賞典(G2、芝2400メートル)のディープ産駒ラキシス(牝5、角居)もCウッドで併せ馬を行った。ディープ産駒はJRA重賞100勝まであと2、JRA1000勝まであと7。今週一気に記録達成を狙う。

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武豊騎手を背に単走で追い切られたエイシンヒカリ(撮影・梅根麻紀)

 黒に近い芦毛(あしげ)の体が、グッグッとスピードに乗っていく。新幹線ひかり号から名付けられたエイシンヒカリが、Cウッドを気分良さそうに駆け抜けた。手綱をとるのは、先週JRA重賞300勝を挙げたばかりの武豊騎手。3角過ぎから、徐々に前へ前へと行きたがるしぐさを見せ、最後は軽く気合をつけられると6ハロン82秒9-12秒0でフィニッシュした。

 鞍上の表情も1週前追いと違って明るい。「先週は前半から掛かったけど、今日は前半で折り合いがついた分、ラストが全然違ったね。先週はしんどそうだったけど今日はきっちり動いた。いい感じ」。9月30日のCウッドでは全体時計が6ハロン80秒5だったものの、ラスト1ハロンは13秒7とバッタリ。この日はしまい12秒0と、理想的な追い切りが出来た。

 【7 0 0 1】という戦績に加え、レースぶりも話題に事欠かない。昨春、経験馬相手に未勝利でデビューし一気に5連勝。5勝目のアイルランドTでは、直線で外ラチ沿いまで逸走しながら、それでも逃げ切って周囲を驚かせた。

 続くチャレンジCは9着と初黒星を喫したが、復帰後はまたも快進撃。都大路S、エプソムCを連勝と、まだ底を見せていない。

 「1回しか負けていないからね。イレ込みや折り合いが難しい馬だけど、逆にどんなレースをしてくれるか楽しみ。右にもたれるけどひどくはないよ。下手に抑えるより、馬任せで行った方がいいのかも」(武豊騎手)。前走に引き続き、今回も軽快な逃げを披露してくれそうだ。

 月曜の京都大賞典にはラキシスが控える武豊騎手。ともにディープインパクト産駒で「どっちもチャンス」と笑顔。今週あっさり重賞301勝目、302勝目を決めるか。【平本果那】

 ◆大記録近づく ディープインパクト産駒は、先週終了時点でJRA通算993勝。史上最速での1000勝達成が目前に迫っている。また、JRA重賞では98勝を挙げており、種牡馬としてサンデーサイレンス(311勝)、ヒンドスタン(113勝)に続く史上3頭目のJRA重賞100勝達成も近づく。今回の毎日王冠には10頭、京都大賞典2頭、サウジアラビアRC1頭と、計13頭もの同産駒が出走予定。また1つ金字塔を打ち立てるか。ちなみにグレード制導入の84年以降では、04年秋華賞でサンデーサイレンス産駒が11頭出走した記録がある。