13年のダービー馬キズナ(牡5、佐々木)が右前繋部浅屈腱炎(けいぶせんくっけんえん)を発症して現役を引退することが20日、JRAから発表された。今後は種牡馬となる予定で、繋養(けいよう)先は未定。18日に栗東へ帰厩して天皇賞・秋(G1、芝2000メートル、11月1日=東京)を目標に調整されていたが、この日の調教後に故障が判明。現役続行を断念した。5月の天皇賞・春(7着)がラストランとなった。デビュー3戦目から12戦手綱をとった武豊騎手は「復帰を楽しみにしていただけに非常に残念です」と悔しさをにじませた。

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13年5月26日、日本ダービーを制しキズナの鞍上で手を上げる武豊騎手

 13年にダービーを制覇。同年のフランス遠征では英ダービー馬を破ってニエル賞を勝ち、凱旋門賞でも4着と健闘した。だが、翌14年5月に左第3手根骨骨折の重傷。今年2月に戦列復帰し、凱旋門賞への再挑戦を目指したが、成績が伴わずに断念。来年の挑戦も視野に入れていたが、夢はかなわなかった。

 佐々木師は「もう1回、ファンのみなさんの前にお見せしたかったけど・・・。種馬になるべき馬だから、最悪の事態にならなくてよかったと思うしかない」と声を絞り出した。世界一の夢は、その子どもに託す。