片岡義朗ブログ

再掲「攻殻機動隊」八神蓮・兼崎健太郎・南圭介・松崎裕くん2015/11/11@東京芸術劇場

2016/10/30 02:20 投稿

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2015/11/21

4:50 pm

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「攻殻機動隊」を観た。八神蓮くん主演・兼崎健太郎・南圭介・松崎裕出演で観たかった。
挑戦という点は評価したいが、それにしてももう少し演劇にしてほしかった。
映像と演劇のマッチングに気を遣い過ぎたのか、演出はリズムがなくたどたどしくもどかしかった。


3D映像で投映された多脚戦車はむなしく劇場空間を転がりさまよう。
3D映像が舞台空間を現実のリアリティ空間化する、
にもかかわらずステージ上では抽象化された空間で俳優たちは客席に向かい一列横隊で、
空間に向かってセリフを吐き続ける。

役者たちは、照り付ける照明のもと何とも軽い銃撃戦もそれなりのアクション風もある、
でも基本的には俳優たちは会話劇に近い演劇スタイルで、
大道具が表わす抽象的舞台空間の中で物語をつむぎだす。
彼らが今どこに居てどのような時間軸に従って生きているか、物語は進行するが、時間と空間は判然としない。

この俳優たちが行っている舞台上の演劇と、
時々侵入してくる3D映像が醸し出す立体的な空間がどうにも僕の脳内で一致せず居心地が悪い。
舞台表現はどのようにリアリティを追求しようと、必ずある抽象というか省略表現を伴う。
その省略を観客は想像で補い、あるいは、創造的に参加し受け止める。
そこに演劇の楽しさの一つがある、というのが僕の意見だ。
3Dという概念が少なくとも今回の物語では舞台上の劇とマッチしない。
もし3D を使うなら思いっきりその表現を使い切って、
3D映像が表現する立体空間の中で役者たちを動かし、
アクションも銃撃戦もバーチャル空間の中に入れ込んで作るとか、
舞台空間の設計を3D映像に行わせるぐらいに使ったらよかったのに、
多脚戦車もアニメ設定ぐらいの大きさに表現し乗り込んで操縦するぐらいのことをやってほしい。

3D映像の合間に投映される2D映像は思いっきり2Dとしてリアルで、そこも気持ち悪い。
空間表現とマッチさせる工夫をすれば、3D 映像はもともと舞台空間は3Dなので使う意味はあると思う。
3D映像ありきで舞台空間を設計する、大道具の設計もそこを前提に置き、
俳優の動きもそこを前提に置く、補完的に2D映像も使うし、
そうすれば今までと違う感覚の舞台表現を作れる可能性はあると思う。
今回は、たぶん挑戦だっただろう。ミスマッチが多く、そこを修正しての次回に期待したい。

俳優たちは、きちんと芝居していた。
八神くん、あまり見慣れない役柄でいつもと違って天然の王子様キャラでなく、
逞しさに挑戦していて、声のトーンも少し低めに重々しさを出したかったのだろう、
多少おまけして、よくできました。
兼崎くん、出番少なくこれでは出ずっぱりしたい兼ねちゃんにはややストレスたまるだろう。
圭ちゃんは真面目な風貌がよく似合う美味しい役どころ、問題なし。
松ちゃんはこういう事やらせたら似合いすぎ、問題なし。

終演後、近くのイタリアンで乾杯。ロンドンから「もののけ姫」で宮崎駿監督から褒められた演出家、
アレックス・ルターさんも入って和やかに英語交じりの交流会。
圭ちゃんさすがの帰国子女綺麗な英語で会話成立。
松ちゃん、頑張って会話やや成立。
王子もほんの少し会話成立。
兼ねちゃん沈黙。和やかにパチリ。

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