片岡義朗ブログ

再掲「暗転セクロス」南圭介くん2014/10/17@上野ストアハウス

2016/10/30 01:28 投稿

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2014/12/31

11:34 pm

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南圭介くんの「暗転セクロス」を観てとても面白かったのに、
その感想を書きそこなっていたので、
大晦日に書いておかないと拙いとあわてて書きます。

10月17日に上野ストアハウスに全く期待しないで出かけた。
南圭介くんが出演している芝居、
でもその芝居にニコミュワークショップ第1期から参加していた鎹(カスガイ)さやかさんが出演し、
しかも圭ちゃんの相手役だと言う。
これは二人との縁を考えたら観に行かないわけにはいかない。
只、劇場が上野の駅からかなり歩いたところにある
劇場と言うより何か訳のわからない場所みたいだし、
作・演出も岡本貴也さんと言う僕にはなじみの無い方で、
期待値ほとんどゼロ、
結果120%の出来で、観る前からあらかじめ勝手に面白くないなんて判断してはいけない、
という典型に出くわした。

岡本貴也さんと言う方の脚本が素晴らしい、かつ演出もとても秀逸だった。
舞台はとあるラブホテルの出来ごと、
オムニバス形式でそれぞれの部屋毎のカップルやカップル+1のドラマが語られる。

この型式は古くからある。世に「グランドホテル」形式と呼ばれる型式で、
そのものズバリ、ミュージカル「グランドホテル」で有名だ。
ホテルには人が集まりひと時過ごし去っていく。
そこに集う人それぞれにドラマがあり、ホテルはそのドラマに場所を貸すだけ。
集まる人のドラマはただの個々のドラマだが、それをホテルという装置が反射鏡のように集め、
一点に映し出すものはその時代の空気、その空気が実はドラマなのだ、
と言う僕の解釈だけど、
「暗転セクロス」は見事に今の時代性を語っていた。

それも個々のドラマがとても笑えるし面白く、
部屋が変わるたびに暗転が入るのだが、明りがつくたびに部屋は違っているのだけど、
同じ部屋のつくりで場面は一つ、
順番に描かれる4つの部屋の出来ごとが、
実は同時進行で起こっていると言うことが計算されていて、
最後には全ての部屋の出来事が見事にさばかれてしまう。
この脚本のあの手この手の複雑さ加減と、言いたいことはちゃんと言うと言うセンスが素晴らしい。
しかもその脚本をギャグでまぶし、ラブホと言う非日常空間に突然おじゃまする日常を持ち込んで、
ファンタジーとリアルをまぜこぜにし、観客の脳細胞を混沌とさせてしまう。
同時性が観客にはサプライズの道具になりああそうだったのかと納得してしまう。
この演出はただものではない。

しかも幕が下りて見事に残るテーマ性、読後感は、「セクロス」≒なくしてしまったSEXだろうと思う。
今の時代もっとちゃんと愛し合おうよ、と言う作者の時代への提案を僕は受け取った。
この岡本貴也さん、追いかけてみたい。

終演後、素晴らしいおとぼけの演技を見せてくれた南圭介くんと
彼の見事な相手役演じたWS生だった鎹さやかさんとパチリ。


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