田中卓先生から電話があった。
週刊ポストの所功氏とわしとの対談を読んで、連絡して
くれたのだ。
田中卓先生と言えば、神武天皇の実在を徹底的な
史料検証で証明したおそるべき古代史の大家である。
わしは普段、仕事場にいないので、田中先生はいつも
岸端にいろんなことを伝えてくれる。
そもそも男と男は違う分野で活躍する者同士は、
師弟関係にもなれず、照れや遠慮があって直截な話が
できない。
間に女性が入ると、うまく伝わるということがある。
岸端は皇室に関しては相当の基礎知識があるから、
田中先生も話しやすいのだろう。
昨日は午後から井上達夫氏との対談があったから、岸端が
会議室から抜け出して、田中先生の意向を十分に伺った。
田中先生は所氏の「女系がダメだとは言わないが、
どちらかと言えば、男系優先」という本音を見破っていて、
そこが現れた部分が気に入らなかったようだ。
「もうそんな事態ではない」という考えは、実はわしとまったく
一致する。
男系絶対固執の観念は、日本の伝統でも何でもなく、
支那の「男尊女卑」の観念である。
「男尊女卑」の観念だけが残って、「皇統」が断絶するのでは、
話にならない。
92歳になって「これからは世界的に女性の時代なのだ」と
明言することができる田中卓先生の感性には本当に驚く。
わしも90歳過ぎても、懐古趣味に陥らない、時代の潮流を
見誤らない感性を維持できるかどうか?
頑張らなければならない。
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