今朝のメルマガは、加藤るみさんの「映画館(シアター)の女神 3rd Stage」、第29回をお届けします。
今回紹介するのはBL好きの女子高生と老婦人の不思議な絆を描いた『メタモルフォーゼの縁側』。「好きなことで繋がること」の美しさに、るみさんは何を感じたのでしょうか。
加藤るみの映画館(シアター)の女神 3rd Stage
第29回 『メタモルフォーゼの縁側』── BLが結ぶ女子高生と老婦人|加藤るみ
おはようございます、加藤るみです。
先日、佐賀県・唐津へ行ってきました。
もともと、一泊二日で福岡へ旅行する予定だったんですが、旅行前夜に唐津で行われる音楽フェスに好きなアーティストが出ると知り、急遽二泊三日に変更。
わたしも夫も、こういう時の行動力が半端ないのです。
終電間際に大阪を出発して、博多駅へ。
深夜に食べる博多ラーメンの美味しさったらもう格別でした。
そのまま博多でレンタカーを借りて、唐津へGO!
佐賀県ってめちゃくちゃ遠いイメージだったんですが、博多から1時間半ぐらいで着いたので、めちゃくちゃ近いんじゃないかという錯覚が……。
大阪からは、4時間位かかっているので充分遠いんですけどね(笑)。
その日のフェスは、唐津の波戸岬という海が見えるキャンプ場で行われたKaratsu Seaside Campというフェスで、今年が初めての開催なんだそう。
しかし、前日に深夜から行動していたせいで直前まで爆睡してしまい、開演ギリギリに会場についてしまったわたしたち。
好きなアーティストは1番手で出演するのに、超絶ピンチなわたしたちの目の前に、前日からフェスに参加していたフェス百戦錬磨顔の奥田民生ファンのおばさまが出現。
「民生が出るならどこでも行く」というおばさまにいろいろ事情を話すと、「大阪から来たの⁉️ 前行きな!」って、まさかの最前列まで行かせてくれるというミラクルが起きました。
ありがとう、おばさま……。
ありがとう、奥田民生……。
そのおばさまのおかげで、最高の経験をすることができました。
もはや、奥田民生さんが好きになりました(フェスの出番、見てないけど)。
真っ青な海が広がる絶景をバックに聴く音楽は最高でした。
わたしは初めて佐賀県に降り立ったのですが、唐津って本当にいいところですね……。
海も山も綺麗すぎて涙が出そうでした。
また来年も楽しみです。
さて、
今回紹介する作品は、『メタモルフォーゼの縁側』です。
原作は、「このマンガがすごい!」など数々の漫画賞を受賞した鶴谷香央理の傑作漫画です。
最近、立て続けに退屈な邦画を観て「ハマらんなぁ〜」と、ダメ出ししか出てこない口を塞ぎたいと思っていたわたしですが、やっと口を開くたびに「良い……良い……」しか出てこない映画に出会えました。
キッパリと言える、わたしの上半期ベスト級です。
BLでつながる17歳の高校生と75歳の老婦人のお話で、「好きなものを好きと言えることは素晴らしい」「好きなものを誰かと共有できることは素晴らしい」と、あたたかなメッセージを伝えてくれる映画でした。
思いがけない出会いの尊さを過剰な演出に頼ることもなく、丁寧に描いていてそれがなんとも心地が良い。
これは、様々なコンテンツを愛するオタクに捧ぐ、ラブレターだと思いました。
©2022「メタモルフォーゼの縁側」製作委員会
この物語には、ふたりの主人公がいます。
一人目は、書店員のバイトをしている女子高生、佐山うらら。
周りのクラスメイトのようにキラキラできない日々。
唯一の楽しみはこっそりBL漫画を読むこと。
二人目は、夫に先立たれ書道の先生をしている老婦人、市野井雪。
これといった趣味もなく、終活の準備がちらついている日々。
ある日、本屋さんでBL漫画に出会い人生の輝きを取り戻す……。
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