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不動産プランナーの岸本千佳さんによる連載『都市を再編集する』。結婚を機に京都と和歌山の二拠点生活を始めた岸本さん。多くの地方都市と同様、中心部のシャッター街化が進む和歌山ですが、地域の魅力を知ることにより、街を草の根から活性化するリノベーションのアイディアが湧き出てきます。

京都と和歌山での二拠点生活のはじまり

これまでは、実際にリノベーションした実例を中心に紹介してきましたが、今回、こらからはじめようとしているプロジェクトの話です。ゆえに、妄想が多めに混じりますこと、お許しください。

実は私、これまでいかにも京都人のような振る舞いで、京都という街においての、京都のプロジェクトについて語ってきましたが、今年4月から、和歌山との二拠点生活をはじめています。結婚を機にとはいえ、まさに青天の霹靂。同じ関西と言えど、和歌山市内に足を踏み入れたのは、仕事で呼ばれた一度きりでした。
私に限らず、日本では結構な確率で、夫婦のどちらかが、結婚を機に見知らぬ地に住むことがあると思います。しかも、夫が仕事の都合上、和歌山を離れることができないので、せっかくだったら和歌山でも仕事をつくりたい。何ができるだろうか。未踏の地に住むことは不安でしかなかったですが、その地で仕事を始める見通しが立つまで時間はかからなかったおかげで、不安は希望へと変わりつつあります。

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まずは、これまでのプロジェクトでそうしてきたように、和歌山のまちで肌感覚での状況把握に徹しました。4月から暮らしはじめて真っ先に感じたことは、とにかく飲食店が多く、しかもそのレベルが高いこと。海が近く素材が良いことはもちろん挙げられますが、進学せずに地元で独立する業種として真っ先にあがる職種が飲食店という事情もあるようです。他には、美容室や中古車販売が目立ちます。それは和歌山だけでなく、地方中核都市でも同じような状況でないでしょうか。それにしても、日々閑散としたまちなかに比して、飲食店数が圧倒的に多い。

和歌山市は、「リノベーションまちづくり」という考え方が広く根付いているまちでもあります。リノベーションまちづくりとは、遊休不動産や公共空間を活かして、民間が主体となり新しい使い方を発明することで、都市型産業の集積を図り、雇用の創出やコミュニティの活性につなげていく手法です。

その実践の場として、北九州市を皮切りに「リノベーションスクール」というものが開催され、今や全国で、不動産の再生を通じて新しいビジネスが生み出されています。私もユニットマスターと呼ばれるコーチ役として、全国で事業を地元の人が事業づくりをサポートしています。ちょうど1年前も、和歌山市を担当しました。
和歌山市は特に盛んで、この6年間で17件の事業が生まれています。そこで生まれた事業でも、やはり飲食を中心とした事業が多く存在します。

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▲和歌山の堀(水辺)を活かしたバー


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