鷹鳥屋明さんの連載『中東で一番有名な日本人』。今回は、中東で広がる“偽”日本産商品についてです。日本で人気のチーズケーキは、中東にも進出していますが、そっくりな商品が現地企業で作られていたり、日本のオタクグッズの非正規コピー品が大量に流通していたり……。その背景には、日本のライセンス権利者の動きの悪さもあるようです。
「プルプルのチーズケーキ」戦争
日本のスイーツは世界のどこでも人気、それは中東の方々が相手でも例外ではありません。
夏休みや秋休みの時期に来日したアラブ人は日本で食べられる甘味の数々を堪能しており、中東の有名人たちが拡散することでその商品は益々有名になります。この中東で有名になった日本製の甘味の数々を、ぜひ自分たちの国でも食べたい、展開したいという声が多くあります。
その声にしっかり答えている日本企業も存在しており、例えば鳥取の寿スピリッツという会社のブランドでアラブ首長国連邦で10店舗近く展開している「YAMANOTE ATELIER」という日本式のパン屋さんは、かの有名なドバイモールの中に店舗を持ち、アラブ人だけでなく世界中の観光客に広く受け入れられています。商品のレベルも高く、今後王道の日本式のパン屋として益々の展開が期待されるブランドです。
▲YAMANOTE店舗の写真 多くの女性が日本式パンと共にカフェを楽しんでいる
このように日本式のパンや甘味も徐々に進出している中で、最近特に目立つものに「プルプルのチーズケーキ」があります。日本でも人気のチーズケーキの「りくろーおじさんのチーズケーキ」「てつおじさんのチーズケーキ」などのブランドをご存知の方もいるのではないでしょうか?
これらのケーキのブランドは今世界中でも大人気で、もちろんアラブ地域においてもその人気は例外ではありません。アラブ人の観光客の人たちが、「りくろーおじさんのチーズケーキ」は大阪周辺だけで売られていることを知らずに東京に来て、『都内のどこに「りくろーおじさん」のお店はあるのか?』という問いかけを過去に私も何度かされたことがあります。
実際に海外進出の引き合いがあるこれらチーズケーキの中で、「てつおじさんのチーズケーキ」は「UNCLE・TETSU」の名前で、サウジアラビア、クウェート、オマーン、カタール、バーレーン、UAE(アラブ首長国連邦)など幅広く展開しています。
*ポイントなのは通常のチーズケーキや濃厚なチーズケーキではなく「プルプル」であるということですので、この後「プルプル」という言葉が多用されることご容赦ください。
▲サウジアラビアのダンマームにあるショッピングモール内の「てつおじさんのチーズケーキ」店舗
▲湾岸アラブ諸国で展開する「てつおじさんのチーズケーキ」
▲チーズケーキの現地価格は通常版は約900円、チョコレート入り960円
私もサウジアラビアの店舗を訪問し食べたことがありますが、味は日本で食べたものとは変わらず美味しくいただけました。ですが、全ての企業が進出しているわけではなく、その穴埋めは現地ブランドにより補填されていると言えます。
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