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粟飯原理咲『ライフスタイルメディアのつくりかた』
第5回「特別編:夢見るプロデューサーの熱狂
ーーレシピブログ初代編集長・川杉弘恵インタビュー」
【毎月第3火曜配信】
☆ ほぼ日刊惑星開発委員会 ☆
2016.4.19 vol.568
本日は、アイランド株式会社代表の粟飯原理咲さんによる連載『ライフスタイルメディアのつくりかた』の第5回をお届けします。今回は特別編として、粟飯原さんが連載の中で何度も名前を挙げてきたレシピブログ初代編集長の川杉弘恵さんを呼んで、「新しいメディアを創ることができる人には、どんな素質があるのか」をテーマに、いつもの視点とは別の角度から、当時のことを聞いていきます。
▼プロフィール
粟飯原理咲(あいはら・りさ)
アイランド株式会社代表取締役。国立筑波大学卒業後、NTTコミュニケーションズ株式会社先端ビジネス開発センタ勤務、株式会社リクルート次世代事業開発室・事業統括マネジメント室勤務、総合情報サイト「All About」マーケティングプランナー職を経て、2003年7月より現職。同社にて「おとりよせネット」「レシピブログ」「朝時間.jp」などの人気サイトや、キッチン付きイベントスペース「外苑前アイランドスタジオ」などを運営する。美味しいものに目がない食いしん坊&行くとついつい長居してしまう本屋好き。
◎構成:稲葉ほたて
本メルマガで連載中の『ライフスタイルメディアのつくりかた』配信記事一覧はこちらのリンクから。
アイランド代表の粟飯原理咲です。今回は、少しいつもと体裁を変えて、インタビューの形式で送り届けてみたいと思います。
今回お呼びしたのは、ウェブプロデューサーの川杉弘恵さん。この連載でも何度か登場してきた、レシピブログの構想に真っ先に共感してくれて、一緒にレシピブログを作り上げて、初代の編集長になっていただいた女性です(アイランドの、アルバイトからの第一号社員でもあります)。彼女のおかげでレシピブログは大きく羽ばたきました。現在の彼女は、フリーランスとして色々なサービスに関わっていて、現在もアイランドのサービスのお手伝いをお願いしています。
さて、ここまでの連載では、主にライフスタイルメディアの立ち上げ期に焦点を当てて、そこで必要になる考え方を書いてきました。今回はその一つの区切りとして、彼女の視点からレシピブログの立ち上げ期の話や、そこで抱いていた思いを聞いてみたいと思います。
■ 立ち上げ期のプロデューサーの資質
粟飯原理咲(以下、粟飯原) 今回は、立ち上げ期のプロデューサーに必要なことを聞いてみたいということで、川杉ちゃんに来てもらいました。
サービスを作っていると思うのですが、立ち上げ期と育てる時期のプロデューサーでは、必要になる能力が違ってくるんですね。
たとえば、今の「レシピブログ」のプロデューサーは、もうすごい安定感で、サービスをしっかりと育ててくれる人なんです。サービスに対して適切な距離感があって、まさに「冷静と情熱のあいだ」でサービスを回していくことができる。コンテンツの一つ一つへの力の入れ方も――「7割主義」と呼んでいるのですが――適度にしっかりと抑えながら、でもどんどん前に進めていく。
でも、立ち上げ期の人はちょっと違うんです。
なんというか「偏執狂的」というか……(笑)。川杉ちゃんのように、自分の全人格を注いで、そのサービスを自分の作品だと思う、アーティスト気質の人なんじゃないかな、と。連載でも書いたけど、ユーザーさんにメールを一本書くのに、どんな日本語を使うべきなのかをずっと悩めるような強烈なこだわりがどうしても必要なんです。川杉ちゃんは、本当にその能力がすごい。
川杉弘恵(以下、川杉) それで呼ばれたと(笑)。
粟飯原 川杉ちゃんの熱狂のあり方というのは、「いかに人と絡むか」にあると思うの。だって、ユーザーさんとのメールの一通一通に、もうテニスの試合で最後のショットを決めるときぐらいの迫力で、一通入魂で書いていたでしょ。
川杉 「あなたのブログを登録してください! レシピブログというサービスに! まだオープンしてないけど!」っていう内容のお願いメールとかですよね(笑)。
でもまず、紙媒体の編集さんでも、書き手をスカウトするときには「あなたの何を私が良いと思っているか」は伝えますよね? 「ぜひ来てほしい。あなたの書いたものは読んだし、そのニュアンスまで味わいました」と。
しかも、こういうサービスの最初の人たちとは、人間関係みたいに始まる必要があると思っていました。だって、こっちが有名なら向こうから来てくれますけど(笑)、私たちはどこの馬の骨とも知れない人たちで、とても警戒されているんですよ。そのなかで「新しい場所を一緒に作りましょう」という関係を作っていかなきゃいけないわけですから。
がさつに一斉配信でメッセージしても、「別に私がいる意味は無いよね」と思われてしまうので、常に私たちの気持ちを言葉に落としていく必要性は考えていました。
……という状況だったので、必要ならメール一本に3時間くらいかけたことがあるのは否定しません(笑)。
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