麻雀最強戦ブロマガ

麻雀最強戦2016 男子プロ代表決定戦・因縁の対決 レポート

2016/09/06 19:00 投稿

  • タグ:
  • 麻雀最強戦2016
  • 男子プロ代表決定戦・因縁の対決
  • 河野高志
  • 阿部孝則
  • 瀬戸熊直樹
  • 藤崎智
  • 多井隆晴
  • 谷井茂文
  • 前原雄大
  • 古川孝次
重圧と戦う選手たち
 対局を終え、選手やスタッフの打ち上げの席で、阿部孝則は非常に饒舌だった。男子プロ代表決定戦・因縁の対決を制し、ファイナルへの切符を掴んだことを喜んでいるのは間違いない。が、それ以上に対局前に受けていた重圧から解放されたことも大きかったはずだ。

0e177d407f2bb707e37486e2a05871ef417f8345

 今回の代表決定戦は日本プロ麻雀連盟vsRMUという対立構図でマッチメイクされた。プロ連盟所属のトップ選手の一部が団体を脱退し、新たにRMUという団体を設立したのが今から10年前。以降、この2団体間は断絶状態となり、選手同士の対局も実現しなかった。
 だが、一昨年、阿部が全日本プロ代表決定戦のベスト16に勝ち進んだことからその潮目が変わる。阿部は準決勝で敗れたものの、久々に見る元・鳳凰位3連覇の麻雀にニコ生のコメントは大いに沸いた。
6272d01fecfad0be587ae7ab4c5f120951e239de

 そして翌年、ついに男子プロ代表決定戦にRMUの選手がノミネートされ、阿部は代表・多井隆晴とともに出場。その決勝では、久々に瀬戸熊直樹と多井隆晴というライバル同士の対決が実現したのである。
621aef47fc4841cb3d4e70e5934a8d20dfd4570a

 このような経緯をふまえ、今年は両団体4人ずつ出場という形になったのだ。もちろんこの流れを作ったのは、阿部の活躍に一因があったのは間違いない。ただ、今回の対決には阿部自身も重圧を受けていたようである。

阿部「最強戦というステージの大きさに緊張したこともあります。さらに、あくまで個人戦とはいえ、古巣との対決という構図でしたので、普段と多少違う意識にはなっていましたね」

 予選A卓は、河野高志・阿部・瀬戸熊・藤崎智という組み合わせとなった。
6664efacc032f7c0c9f6ab39565be8fba49d0ead

 10年ぶりとはいえ、お互いの麻雀は十分知っている間柄。お互いが致命的な放銃を避けつつ、拮抗した状態でオーラスまで進む。オーラスは3着目の阿部が速攻を決め、瀬戸熊と共に決勝に進んだ。
54f6d5abef8a3b02a4d7d884356c3437974a9b78

52d0784749bc0adfc9169c9a3e32de98cf7dc72e

22aeeceb36aa92a727f3a6107544e62158969790


 一方、B卓は多井・谷井茂文・前原雄大・古川孝次という組み合わせ。
b2ba3a072ec44b373f3b7b7fb1beede2fa672461

 こちらもA卓同様、接戦のままゲームが進んでいく。終盤まで手牌に恵まれず我慢の麻雀を余儀なくされていた谷井がラス前の親でトップ目に抜け出してそのままゴール。
c687cc8ff9e79e0e747dd27a3a5fb0e7b3e57df8
1eafcc72d73f702d7feaca9a9b94eaa8121840d4

 もう1人はオーラスのアガリ競争を制した前原が決勝進出を決めた。
4590884df78b5b3615c48ae8536daa1158126e02

a30e4b313cdb18b2db5e6c5746dcf0c0f39d3fdd



阿部、冷静な判断で逆転勝利

  決勝は前原・瀬戸熊・谷井・阿部の並びで始まった。
a5234a9f34e31e3af2e18b2bb321950668e5a267

 東1局に4000オールを決めた前原が先行。これを阿部・瀬戸熊が追うという展開でゲームが進む。
3c6ad6d6a08fd4376382d97384afe70290f95dd6

a8e54622cf09492842adf002b1fb065092602da9

 大きく動いたのは東4局。親の阿部がドラのpai_s_5m.jpgトイツのピンフリーチに対し、南家の前原が追っかけ。
df455f986da60a274c19d27a0918dfb8db418753

0e4619f21ece1344f3948151b96fcbcd61ed2d03

1d70c0ce7a43356bd031655df768d594b2a6d467

5bc64e315c434d81ae5ddeef922bcfe142ddd0fe

 このロン牌を阿部が一発で掴む。
e2653253ca52ad632c652468cf7a8fd85ac81f5c

ab27412ee19a4bd5bf0c38057366117ec03d9c7b

 暗刻のpai_s_chun.jpgが丸ごと裏ドラとなりハネ満。これで一気に前原のリードが広がった。前原は続く親でさらに畳みかけていく。
dfaef9a650cd45d8ef8e70636ba7f6084fdab681

cec124b32a0007a9665eed7ce30b1e9b9f00bb43

 前原はペンpai_s_7p.jpg待ちで得意のガラクタリーチをかける。途中瀬戸熊に押し返されるが、瀬戸熊のリーチ宣言牌のpai_s_7p.jpgを捕えて連荘に成功する。
820dd821d4b5575c155534362e20d27b8eefa96a

 が、このリーチのみのアガリを見た阿部は、前原に隙ありと思ったという。
48ea4add7d56ac00996a85c9e2f61ae02963a514

阿部「リードの大きな状況でもそのガラクタ戦略に頼るのか、と。この時点で3万点以上の差はありますが、前原さんがこの打ち方なら逆転の可能性は十分あると思いました」

 ちなみに阿部が前原の立場なら、先ほどの手はペンpai_s_7p.jpgもペンpai_s_3p.jpgでもテンパイを崩し、手なりでタンピン三色になったところで勝負のリーチに出るそうである。
1b8ecd1c7d8e6ea3db044778f1fd01d56a5d66da

 ただ、阿部にもなかなかチャンス手がこず、ラス親を迎えた。この時点では親の倍満ツモでも前原に届かない。
阿部「僕にとっては前原さんと瀬戸熊の点差が大きかったので、逆に良い展開だと思いました」
 つまり谷井・瀬戸熊の条件がかなり厳しいので、事実上前原との一騎打ち状態。この展開が阿部にとっては大きな追い風となった。

 南4局。阿部は5巡目にドラ2枚のチートイツでテンパイ。
c37950bb107ea1cb210bc0dafdc24029ea3556a9

d4fbb5cc35f2e2388eed5b67d7d295493b141fd3

 前原がすでに1枚捨てているpai_s_haku.jpg単騎でリーチをかけた。すぐに前原がpai_s_haku.jpgを掴んだが、ここは踏みとどまって放銃を回避。
af0433faf677405345e0f8ea86151e03c15f30f2

f90d2bef29d5573f090b7e94e30c112c8fc37a7b

 だが、終盤に阿部がラスト1枚のpai_s_haku.jpgを引いて6000オール。これで親満で逆転するところまで詰め寄った。
d63f996ec5440ba126a4dced360b9a509de9a86a

a7b6078d5b5281a03ab1a8f660a66f0c916b1720

 その1本場。14巡目に阿部は条件を満たすテンパイを入れる。
057469e47c530308292058abc83d0d9e83ce11ac

 ここで、阿部は前原直撃かツモに賭けてヤミを選択。ところが、前原が終盤にpai_s_1m.jpgpai_s_4m.jpg待ちでテンパイ。ヤミだとpai_s_1m.jpgで出アガリできないので、ここでケリをつけるべくリーチに踏み切る。
52811cc65758a5f2fe320910bbf24079d83a8d5e

16aa4998cde8bed0bd7274581e9ec8fdec15e65d

 すると、これに対し四暗刻イーシャンテンの谷井が、前原の無筋のpai_s_8p.jpgを押す。
61e80c426f25114bc190dd5138d74ed2ae51eec3
16a9276511cd10d93780411579f8b0b2ee29df96

 これをみて、阿部もカンpai_s_3m.jpg待ちのまま追っかけリーチ。谷井の手も煮詰まっているようなので、谷井から出アガっても逆転できるように追っかけたのである。
54f6d5abef8a3b02a4d7d884356c3437974a9b78

635f955fa5175e0dccdc169d01d5f616e24a55af

 すると、前原が一発でpai_s_3m.jpgを掴んで、阿部がロン。オーラスの2局で逆転勝利を飾った。
49c0783645e38b0d72d76ab55b86494ced4d59b4

a3ad844e4102bbd043876d2f14fddf5160d12234

 一昨年からの活躍を機に、ついにファイナルまで駒を進めた阿部は、意気込みをこう語った。
7e181a6e13be505ca763d4ac7001260b1f2d6dea

cc9a0bedd5cb61c0eb1279e7dd6d690ad2cfa9fe

阿部「ファイナルでも阿部らしい麻雀で、見る人の心に残るような一局一打を打って勝ちたいと思います」



pai_s_4p.jpgの功罪

 予選B卓の多井にはpai_s_4p.jpg絡みの2局に功罪があった。
9f0c749a140c4741f724187e6dcce720580997eb
 功は東1局の手牌。親でタンヤオのテンパイを入れた多井。
8f5deefda2e56675b34e8f3868bb798591e11a32

 普通はピンズの単騎待ちの仮テンを入れ、タンピンの変化を待つ人が多いだろう。だが、「さすがにこの材料で、安手にしたくない。pai_s_4p.jpg受けも良くみえたので、『どうすればカンpai_s_4p.jpgでタンヤオ三色のテンパイになるか』」を考えた多井はpai_s_6s.jpgを切る。pai_s_4s.jpgpai_s_5s.jpgpai_s_7s.jpgpai_s_8s.jpgpai_s_4p.jpgツモで345の三色テンパイに復活。特にツモpai_s_4p.jpgの場合は文句なしに即リーチだ。他家が序盤にソーズの上を捨てており、pai_s_7s.jpgpai_s_8s.jpgの重なりが期待できることもこの決断を後押しした。また、pai_s_3p.jpgpai_s_5p.jpgツモで雀頭ができたら、イーペーコー含みのpai_s_3s.jpgpai_s_6s.jpgpai_s_9s.jpg待ちフリテンリーチを敢行するつもりだったという。
 結果はpai_s_4s.jpgツモで構想通りの三色テンパイ果たした多井はヤミテンに構え、谷井から出たpai_s_4p.jpgで7700をゲットした。
ae70a1a1a441193107021cc675eb7b9c10fbed18

 だが、このリードが多井の決断に悪い影響を与えてしまう。罪は東2局の手牌。
238373917641260d77dd747a840bd2efd572cd32

 ここで多井はドラ切りでヤミに構える。この時点でアガリ牌のpai_s_9m.jpgは場に2枚切れ。役が無いので出アガリはできない。なぜ多井はリーチをかけなかったのだろう?

a09151b2d9c01cb9449dea100c534e751b777b83
多井「僕のドラ切りで、まわりがドラを合わせて場が安くなったり、僕を警戒するようであればリーチにいく選択もあった」

 つまり、追っかけられて致命傷になる可能性が低い、あるいは相手が引き気味で追っかけられないと踏んだらリーチをかけよう、という構想だったのだ。
 ところが同巡にpai_s_9m.jpgが立て続けに切られ、場に4枚切れ。これではリーチもかけられない。

多井「ただ、この局の反省点は、リーチをかけなかったことではなく、その後に楽をしてオリてしまったことです」

 この後、前原・古川のリーチに抗しきれず、テンパイを崩しノーテン罰符を支払った多井。
3d145c873f4640911b7a7a5f7d275ebb6822d48d

 多井の敗因は、2着まで勝ち上がれるシステムに過敏になりすぎたことだろう。仮に頭取りの決勝戦なら即リーチをかけるか、ヤミテンでも「楽をしないで」粘り強くテンパイ料をもぎ取っていたに違いない。

ブロマガ会員ならもっと楽しめる!

  • 会員限定の新着記事が読み放題!※1
  • 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
    • ※1、入会月以降の記事が対象になります。
    • ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。
麻雀最強戦ブロマガ

麻雀最強戦ブロマガ

麻雀最強戦

月額:¥880 (税込)

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事

継続入会すると1ヶ月分が無料です。 条件を読む

麻雀最強戦チャンネル

麻雀最強戦チャンネル

月額
¥880  (税込)
このチャンネルの詳細