世界』八月号は集団的自衛権に関し「憲法9条と集団的自衛権は両立できない」と題する宮崎礼壹元内閣法制局長官の素晴らしい論評を掲載した。紹介のその3

「集団的自衛権」の自分勝手性、恣意性、徒党性」

 ここで、集団的自衛権のいわば自分勝手性、恣意性、徒党性ということについて、触れておきたい。

 集団的自衛権は、第2次大戦後に生まれた新しい概念である。

 国際法の教科書が教えるように。当初の国連憲章案では、二回の悲惨な世界戦争の反省に立ち、各締約国の他国に対する武力行使は原則的に違法とし、侵略国が出現した場合は安保理のイニシアティヴ下に編成される国連軍によってこれに対処することとされていた。ところが大戦終結後まもなく米ソ対立が表面化し、南米諸国が安保理が機能しない場合に米国の軍事的来援をもとめ、米国がこれに応ずることが出来る憲章上の正当性根拠を強硬に求めたために国連憲章51条の形