「小説」と名うったものを書いた。

 そして反応を見ると、驚くほど多くの人が小説とはこういうものと固定観念を持って、この基準で批判しようとされていることである。

 絵というものを見よう。

 印象派登場前、絵画の世界、特にフランスではアカデミーが主流であり、印象派などの手法を嫌った。こんなものは絵画でないと罵った。「絵画とはこういう風に書くもの」いう固定概念があった。

 しかし、印象派、フォービズム、抽象画さらにはプリミティブ等様々なスタイルがあり、絵画とはこういう風に書くべきもの、その作風から外れているという批判は、少なくとも今日、欧米では聞かれないであろう。特にプリミティブは稚拙的な印象を与えるものであるから、批評家からみれば「これなんだ」という話になる。ルソー等多くのフアンがいる。

 表現したいものに合わせてスタイルが出てくる。

 ところが日本ではいまだ、小説の分野には芥川賞や、直