今回の事件に関して、中国がベトナムと敵対する意図があったか という疑問の根拠は、以下の点にあります。 ・採掘は10年以上前から行われており、今に始まった事ではない ・中国側は採掘前にベトナム側へ配慮し、事前通告を行っている ・事前通告の内容は、「採掘装置の別海域への移動」であった ・中国側とベトナム側は、事件発生後、直ちに電話会談を行っている ・中国石油会社の会談では、「我々は驚いている」と述べている 次に動機的な背景です。 近年の米国のASEAN(対アジア)戦略は、 1.日本やフィリピンなど、同盟国との軍事的関係の強化 2.中国とアジア諸国との対立・分断を図る 3.対中包囲網(オフショアーバランシング戦略)を実現する 4.中国との関係強化(自国は中国との直接的な敵対は避ける) これに対し、近年の中国の対ASEAN戦略は、 1.ASEAN諸国へ投資や資金援助を行い、親中国派へ引き入れる 2.敵対するベトナムと友好関係を築き、フィリピンを孤立化させる 3.米国の対中包囲網(第二列島戦線)を崩す というものでした。 こうした状況下で、ベトナムと敵対することは、せっかく築いたフィリピン 孤立化戦略を台無しにし、中国としては利益にならず、動機的におかしい。 わざわざ敵に塩を送るようなものです。 今回の中越対立について、先生のご意見をお聞かせ下さい。
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孫崎享チャンネル
(ID:9443972)
今回の事件に関して、中国がベトナムと敵対する意図があったか
という疑問の根拠は、以下の点にあります。
・採掘は10年以上前から行われており、今に始まった事ではない
・中国側は採掘前にベトナム側へ配慮し、事前通告を行っている
・事前通告の内容は、「採掘装置の別海域への移動」であった
・中国側とベトナム側は、事件発生後、直ちに電話会談を行っている
・中国石油会社の会談では、「我々は驚いている」と述べている
次に動機的な背景です。
近年の米国のASEAN(対アジア)戦略は、
1.日本やフィリピンなど、同盟国との軍事的関係の強化
2.中国とアジア諸国との対立・分断を図る
3.対中包囲網(オフショアーバランシング戦略)を実現する
4.中国との関係強化(自国は中国との直接的な敵対は避ける)
これに対し、近年の中国の対ASEAN戦略は、
1.ASEAN諸国へ投資や資金援助を行い、親中国派へ引き入れる
2.敵対するベトナムと友好関係を築き、フィリピンを孤立化させる
3.米国の対中包囲網(第二列島戦線)を崩す
というものでした。
こうした状況下で、ベトナムと敵対することは、せっかく築いたフィリピン
孤立化戦略を台無しにし、中国としては利益にならず、動機的におかしい。
わざわざ敵に塩を送るようなものです。
今回の中越対立について、先生のご意見をお聞かせ下さい。