見なければ見なければと思いつつ、なかなか時間がなかった。やっと日曜日みに行けた.
多くの人は、戦争と言う一時代を描いたもの、風化する歴史を示すものととらえるかもしれないが、それ以上のメッセージを込めて映画化されたものと思う。
公式の説明を見てみよう。
「昭和初期神戸、洋服の仕立て屋を営み、柔軟な考えを持ち、家族を温かく見守る父盛夫と、大きな愛で家族を包む敏子。そんな二人のもと、好奇心旺盛に育った少年H肇、そして妹、幸せに暮らしていた4人だったが、H一家の周りでも、近所のうどん屋の兄ちゃんが政治犯で逮捕したり、徐々に不穏な空気が漂うようになる。
やがて戦争がはじまり、軍事統制が始まり、おかしいことをおかしいと自由に発言しづらくなっていく中、盛夫は周囲に翻弄されることなく、「おかしい」「なんで?」と聞くHにしっかりと現実を見ることを教え育てる」
「少年H」の原作は1997年刊行され
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8月12日に見てきました。「少年H」と「故郷よ」の2本、途中待ち時間をはさみ見てきました。「故郷よ」は、チェルノブイリの隣町プリピャチを舞台に、原発事故により故郷を追われた人々のドラマでした。避難生活を余儀なくされた福島の人たちの望郷の想いの強さも同じだろうと感じてきました。
「少年H」の時代背景は、昭和初期です。小林多喜二が残虐な拷問により絶命したのは昭和8年2月20日午後7時45分でした。昨今のヘイトスピーチは、関東大震災のとき「朝鮮人が井戸に毒を入れた」のデマで、朝鮮人・中国人が虐殺されたことを想起させます。現在のマスコミは、政府の宣伝媒体と堕しているなかで、「はだしのゲン」の閲覧制限や孫崎さんへの自民党国会議員による言論統制発言、集団的自衛権への解釈改憲クーデターの推進、尖閣諸島問題を利用した軍備増強、勇ましい発言への国民の喝采など、現代は、少年Hの時代状況と似てきたと感じています。
それゆえ、前内閣法制局長官(現最高裁判事)、元長官たちの勇気ある発言、安保法制懇の事務局を担当していた柳沢協二・元内閣官房副長官補の著書での発信は、危機感を共有しているための発信と理解しています。
ここで、危機意識を持つ人が声をあげ、行動すべきときです。いまこそ。
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現在の自民党の自衛隊など軍事化に対する思想的コンセンサスが、どのような構成になっているか分からない。だが、戦争体験者,准戦争体験者が減少する方向にあっては、当然のことながら、国粋的方向に傾き、戦争を正当化し、欧米によって仕組まれた経済封鎖によって引き起こされたものという正当化理由がまかり通ることになる。物事は、一方的理由などなく、前か後ろかは別にして、資源確保を求めた他国への侵略もあり、他国に大きな迷惑をかけた加害者の面も否定できない。どちらが良いとか悪いとか言うことでなく、話し合いの外交交渉が破綻すれば、条件の悪いほうが、攻撃行動に移らざるを得なくなり、戦争に突入することがありえるのです。この選択的非常事態に、戦争の悪夢が、体験的に、理性的に考えられれば戦争を回避する道が開けるのですが、言葉に酔い、感情的行動に移りやすい民族は、戦争に突入していくのです。このことが、思想的に確立した国民が多ければこの国も大丈夫なのですが、マスコミなどによって洗脳される国民が多いと、また、歴史を繰り返すことになりかねない。多くの人が「少年H」見て、自分で考えてほしいのですが、一人の人間が、描き出した漫画の世界だけを、唯一絶対化した世界と勘違いすると人にとっては、自他を超越した複眼的世界を直視することは、苦痛な時間になりかねない。其処に今のやんだ日本があるのではないか。