孫崎享のつぶやき

転載:政権批判すると「飛ばされる」 放送法解釈変更、TV局萎縮の実態(毎日/4/7 放送法の「政治的公平」:「(15年の)あの時期に、局内のスタッフだけでなく、骨太な政治の話題をずっとやってきた外部スタッフも交代させられたり、」

2023/04/08 06:19 投稿

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放送法解釈問題は、メディアに対する直接的な圧力に関する問題であり、言論を歪め、言論を一定の方向に誘導して、権力を利するための大衆操作の手法と考える。

 小西議員の示した文章は、明らかに与党保守権力が、自らに都合の良い言論形成のために露骨な圧力を意図していた証明であり、その意義は大きいと考えている。

 権力を利するための大衆操作という問題は、ザックリ①報道機関そのものをターゲットにする手法と、②情報の受け手である大衆をターゲットにする手法があると考えている。

 この点から見ると、②の大衆即ち情報の受けての問題も重要な論点だと考えている。このケースについて見るなら、前にも書いたことがあるが、2005年頃の郵政民営化を掲げた小泉劇場政治が典型だろう。
 もっとも、郵政民営化自体は、アメリカ帝国による対日圧力として「年次改革要望書」にそった内容であったから、アメリカ帝国による日本支配、隷属という、より本質的論点を伴うものだが、それはヨコに置く。

 なお、私は郵政民営化の成果はゼロと総括している。郵便サービスの利用者としては、誤配、遅配の増加の原因になっているのでは?と疑っている。経済政策的に見るなら、簡保郵貯により賄われていた財政投融資制度を廃止して、アメリカ帝国や民間企業が簡保郵貯資金を直接吸い上げる仕組みを作っただけ、と考えている。
 
 ともかく、ここで問題になるのは、やはり「B層」である。小泉劇場郵政選挙では、民間会社がマーケティングの手法よろしくターゲットを「B層」に絞り、プランを作成して郵政民営化へと大衆操作したのである。

 ここで改めて「B層」とはなにか?適菜収氏の『ゲーテの警告』(講談社アルファ新書)からの引用である。「B層」とは、自分の頭で考えずに、「権威・マスメディアを根拠もなく信じる」ということが特徴と言う。私はさらに、権威・マスメディアにアメリカ帝国を加えたなら、完璧な日本における「B層」を素描できると考えている。

 全体主義は権力による暴力的強制だけでなく、「B層」による服従があって始めて成立するものと考えている。従って、大衆民主主義において、私は全体主義は常に眼前の問題なのであって、民主主義=非全体主義のように錯覚している論者は真にオメデタイ、と考えている。

 そのことは、少し前には小泉劇場、最近ではコロナ禍の自粛・マスク・ワクチン接種キャンペーン。そしてロシアによる特別軍事作戦に関するロシア糾弾悪玉論によって証明されていると考えている。

 メディアリテラシーにおいては、疑う、調べる、考えるということが大事だと思うが、スマホやパソコンさえあれば、図書館などいかなくても簡単に調べることができる時代になったのに、調べるということをする人は思いの外少ないのではないか。

 放送法解釈変更圧力と、ちょっとのことも調べない「B層」は全体主義の問題と繋がっていると考えている。

No.7 19ヶ月前

採り上げ恐縮です。以下、係るブログ記事(抜粋)-

日本は文明国か 考古学者シュリーマン

ドイツの考古学者...1865年に日本を訪問。『シュリーマン旅行記 清国・日本』(エス・ケイ・アイ、1991年)からの引用。
...物質文明...なら、日本人は極めて文明化されている...それに教育はヨーロッパの文明国家以上に行き渡っている...
だがもし文明という言葉が...心の最も高邁な憧憬と知性の最も高度な理解力をかきたてるために、また迷信を打破し、寛容の精神を植えつけるために...キリスト教徒が理解しているような意味での宗教の中にある最も重要なことを広め、定着させることを意味するならば...日本国民は少しも文明化されていないと言わざるを得ない。なぜならば、崇高な美徳の実践...を妨げている強力な要因がある。さらに他にも、民衆の精神的な憧憬を最小限に押さえているに違いない理由がある。
それは第一に、民衆の自由な活力を妨げ、むしろ抹殺する封建体制の抑圧的な傾向があげられる。公然であろうと隠密裡であろうとを問わず忌まわしい諜報機構が存在し、しかもそれが大君の政府を支えている。実際密告は、この政府のもっとも強力な武器である。

考察-
シュリーマンは...好意的に日本を見ている。その中で日本には文明がないという。彼は...精神文明に言及している。シュリーマンは日本語を話せず、日本人の精神に触れることが困難であったろう。しかし、宗教や、哲学等西洋人が精神文明の核とみなす分野で、私達は何を発言するのか...政権が抑圧的になった時、それを跳ね除け自由に考える力があるだろうか。

No.8 19ヶ月前

放送法4条の「政治的公平」は、わたしは廃止したほうがいいとおもっている。
高市問題の最初の記事のときからここにそう書いている。
これがあるから、その解釈問題が発生し、今回のような問題に結びつくのだ。
なければ問題はおきない。
(ひろく受信料をとっているNHKは別に考える必要はある)。

そもそも、表現の自由、なかでも政治的表現の自由は現行憲法上もっとも重要な価値
であり、その制約はわずかな例外を除き認めてはならないというのが共通了解だ。
だから、国が法律で罰則までつけて新聞に「政治的公平」を求めることはできない。
ゆえに新聞に対してそういう法律はない。
もちろん新聞がみずから「政治的公平に努めて報道します」というのは勝手である。

しかし、放送法には罰則付きで「政治的公平」が規定されている。
それは、法律自体が放送局の政治的表現の自由を制約しているのである。
だから廃止すべきなのだ。ここが、憲法から見た場合、この問題の本質である。

小西は低学力ではないし、放送法を所管する課の課長補佐だったというのだから、
ほんとうはこれを熟知している。しかし、かれは決してこの本質部分には触れない。

野党政治家としての売名パフォーマンスをすれば(それ自体は、再選に向けた合理的行動として理解はできる)、
B_AKA層が、スマホやパソコンでにわか知識を得て、自分は自分の頭で考えていると思いながら、小西の意図通りに踊ってくれる。
踊るどころか、あさっての方向にまで思考をめぐらせ、どっかで見たようなもろ大衆ぽい作文をする。

しかし、「政治的公平」という条文自体が表現の自由を制約しているとは気づかない。
小西も、そのうちまた使えるおいしいネタだから、みずからネタばらしはしない。

No.9 19ヶ月前
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