中庸左派 のコメント

放送法解釈問題は、メディアに対する直接的な圧力に関する問題であり、言論を歪め、言論を一定の方向に誘導して、権力を利するための大衆操作の手法と考える。

 小西議員の示した文章は、明らかに与党保守権力が、自らに都合の良い言論形成のために露骨な圧力を意図していた証明であり、その意義は大きいと考えている。

 権力を利するための大衆操作という問題は、ザックリ①報道機関そのものをターゲットにする手法と、②情報の受け手である大衆をターゲットにする手法があると考えている。

 この点から見ると、②の大衆即ち情報の受けての問題も重要な論点だと考えている。このケースについて見るなら、前にも書いたことがあるが、2005年頃の郵政民営化を掲げた小泉劇場政治が典型だろう。
 もっとも、郵政民営化自体は、アメリカ帝国による対日圧力として「年次改革要望書」にそった内容であったから、アメリカ帝国による日本支配、隷属という、より本質的論点を伴うものだが、それはヨコに置く。

 なお、私は郵政民営化の成果はゼロと総括している。郵便サービスの利用者としては、誤配、遅配の増加の原因になっているのでは?と疑っている。経済政策的に見るなら、簡保郵貯により賄われていた財政投融資制度を廃止して、アメリカ帝国や民間企業が簡保郵貯資金を直接吸い上げる仕組みを作っただけ、と考えている。
 
 ともかく、ここで問題になるのは、やはり「B層」である。小泉劇場郵政選挙では、民間会社がマーケティングの手法よろしくターゲットを「B層」に絞り、プランを作成して郵政民営化へと大衆操作したのである。

 ここで改めて「B層」とはなにか?適菜収氏の『ゲーテの警告』(講談社アルファ新書)からの引用である。「B層」とは、自分の頭で考えずに、「権威・マスメディアを根拠もなく信じる」ということが特徴と言う。私はさらに、権威・マスメディアにアメリカ帝国を加えたなら、完璧な日本における「B層」を素描できると考えている。

 全体主義は権力による暴力的強制だけでなく、「B層」による服従があって始めて成立するものと考えている。従って、大衆民主主義において、私は全体主義は常に眼前の問題なのであって、民主主義=非全体主義のように錯覚している論者は真にオメデタイ、と考えている。

 そのことは、少し前には小泉劇場、最近ではコロナ禍の自粛・マスク・ワクチン接種キャンペーン。そしてロシアによる特別軍事作戦に関するロシア糾弾悪玉論によって証明されていると考えている。

 メディアリテラシーにおいては、疑う、調べる、考えるということが大事だと思うが、スマホやパソコンさえあれば、図書館などいかなくても簡単に調べることができる時代になったのに、調べるということをする人は思いの外少ないのではないか。

 放送法解釈変更圧力と、ちょっとのことも調べない「B層」は全体主義の問題と繋がっていると考えている。

No.7 18ヶ月前

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