孫崎享のつぶやき

「孤独」が増大する社会(その2)ハナ・アレントは『全体主義の起源』の中で、「全体主義の根底には孤独」「全体主義の追随者の最大の特徴は残虐性や時代遅れの考え方ではなく、孤独の人々はイデオロギーに捧げることにより、生きる目的と自尊心を取り戻す」

2021/07/27 08:16 投稿

コメント:5

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ノリーナ・ハーツ著、『THE LONELY CENTURY なぜ私たちは「孤独」なのか』(ダイヤモンド社、2470円)
・孤独と不寛容の政治のつながりを初めて指摘したのハナ・アレント。
・アレントは『全体主義の起源』の最後に驚くべき要因に目を向けた。孤独だ。
 全体主義の根底には孤独がある。それは人間にとって最も極端かつ絶望的な経験の一つだ。全体主義の追随者の最大の特徴は残虐性や時代遅れの考え方ではなく、孤立と、普通の社会関係の欠如にあるとし、社会に居場所のないと感じる孤独の人々は、自己のイデオロギーに捧げることにより、生きる目的と自尊心を取り戻すのだと指摘した。世の中に全く所属しない経験こそが全体主義の本質であり死刑執行人と犠牲を生み出す準備過程なのだ。
・孤独はしばしば経済環境の悪化と結びついている。
・近年、これほど多くの人が選挙でポピュリストに票を投げてきた大きな理由は孤独だ。
・苦しい時、ト

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コメント

>>1
孫崎先生の今日のご投稿は全体主義肯定ではありませんよ。極右ポピュリストについてのご投稿です。

No.3 39ヶ月前

ハナ・アレントはかの有名な哲学者ハイデッガーの弟子でした。ハイデッガーは共産主義を死ぬほど憎んでましたが、それに劣らず、米国の物質主義をも嫌ったのです。

彼はナチズムについては党員にもなって賛同しましたが、ソ連との戦いにナチズムが傾斜し始めて、距離を置きました。その後も死ぬまでその態度は変わりませんでした。

アナ・ハレントはナチスに追われ、米国に亡命し、全体主義と言う言葉を発明し、ナチスとソ連に冠しました。ハイデッガーが嫌った米国の物質主義には、私にはアナ・ハレントは肯定的に見えるのです。

今の米国の横暴はアナ・ハレントにも責任があると考えてます。その後、全体主義がいろんなところで使われ出し、便利な言葉になってますが、米国大統領がファシストであることをカモフラージュするには使い勝手が良いと感じている次第です。

No.4 39ヶ月前

ハンナ・アーレントについては、かつて映画「ハンナ・アーレント」を見ただけだが、内容は殆ど思い出せない。
師匠の「存在と時間」は文庫の上下巻を勇んで買ったきり一頁も読んでいない。読まなくても毎日よく眠れているからだ。
ノリーナ・ハーツ氏も全く知らなかったが、講演映えする容貌の持ち主のように見える。すると、食虫植物を警戒する昆虫の気分になる。
まるで鬼の首でも取ったかのような「孤独が孤独が」との論だが、何かズレている感が否めない。
「社会に居場所のないと感じる孤独の人々」がカルト宗教の いいカモにされるのは昔からだが、それで十分だろう。
支配者側の常套手段は分断統治だ。支配される側を孤立させてナンボである。それを支配者DSは手を変え品を変え延々続けているのでないか。孤独な人間の大量発生という「原因」によって、全体主義が出てくるという「結果」が生じるのでなく、人間の一括支配という悪意ある「目的」のために、意図的に多くの人々が孤独な状況に追い込まれるという「結果」が生じている━そう見た方が良さそうだ。

No.5 39ヶ月前
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