シェリングは2005年、「ゲームの理論的分析を通じて紛争と協調への理解を深めた」功績でノーベル経済学賞を受賞した。
 彼の発言内容である。
「紛争をごく自然なものととらえ、紛争当事者が“勝利を追求しあうことをイメージするからと言って、戦略の理論は当事者の利益が常に対立しているとみなすわけではない。
 紛争当事者の利益には共通性も存在するからである。実際、この分野(戦略)の学問的豊かさは、対立と相互依存が国際関係において依存しているという事実から生み出される。
 当事者双方の利益が完全に対立し合う純粋な紛争など滅多にあるものでない。
 戦争でさえ、完全な根絶を目的とする以外、純粋な紛争はない。
 ”勝利“という概念は、敵対する者との関係ではなく、自分自身がもつ価値体系との関係で意味を持つ。このような”勝利“は、交渉や相互譲歩、さらにはお互いに不利益となる行動を回避することによって実現出来る。
 相互に被害