日本の報道機関はゴーン氏がレバノンでは英雄のように扱われていると報道してきたが事実はもっと複雑である。
レバノンは極めて複雑な社会構成で、最も端的なのは宗教構成である。宗教は、イスラム教57.7%、うちスンニーが28.7%、シーアが28.4%、キリスト教が36.2%である。キリスト教徒はフランスと強い関係を持ち、大統領は歴代、キリスト教徒から出る。
現在の大統領はミシェル・アウン氏でマロン派キリスト教徒。2005年までの15年間をフランスで過ごした。従ってゴーン氏とも近いとみられる。しかし、他宗派の人は基本的にゴーン氏に強い親近感はない。
こうした中で、レバノンは今、きわめて厳しい経済環境にあり、昨年度は経済関連デモが活発化し、その中心は「反腐敗」である。これで首相は辞任表明に追い込まれた。この腐敗のシンボル的存在がゴーン氏になってきている。
他方、ゴーン氏は日産、ルノー時代、イスラエ
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イラン、最大級の反撃。イラク内米軍軍事基地に、イラン国内からミサイルで攻撃。米国はイラク内米軍軍事基地、バグダッドの「グリーンゾーン」という攻撃に極めて脆弱な拠点を抱えたことになる。これへの防衛はまず無理。トランプも屈服の形はとれない。
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転載、日刊ゲンダイ、孫崎享「IR汚職事件で米国系企業の動きを黙認する検察の不可解」カジノ参入に最も力を入れているのは米国企業。検察はなぜ、今回の贈収賄事件で中国企業だけを捜査し、米系企業の動きを黙認しているのか。安倍首相訪米とカジノ関係者の接点。
コメント
>>3
もう一つ。これは最も重大なポイントでゴーン氏も指摘している。
検察が検挙内容について検挙直後メデイアにリークして、ワイドが裁判しちまったことだ。リーク厳禁は検察に厳しく課せられた法なのに無視した。不起訴相当と言うべき司法現象ですよ。
ずっと前に米国で起こった殺人事件が起こった。犯人は黒人のフットボールスタープレイヤーだった。その事件は現行犯に限りなく近い事件だったが、無罪になった。何故なら、検挙にあたって警察官が人種偏見の言葉を発したから。訴訟法違反が認められ、刑事犯罪は免れた。
今回のゴーン氏事件も、黒人スタープレイヤーの事件と同様、刑事訴訟法に違反すると私は思う。
このような犯行事例を見ると,「地位・名誉・金」を得れば得るほど、己の論理で己の正当性を主張するいじらしさを超えた見苦しさが前面に出てくる。本人は気が付かないだけに哀れともいえる。
どんな人間でも自分の生き方を否定しては生きていけない。自分の言動の正当性を主張する。主張することは認められている.正当性の判断は立憲国家であれば、法律によって判断される。ゴーン氏の逃亡は法律判断以前の身柄拘束の在り方を問う問題になっている。15億円の保釈金によって、様々な条件を付けられても、日常生活はほとんど一般人と同じ生活が保障されている。米国などでは保釈されても、GPSを足に装着させられる。保釈とは程遠い拘束が妥当といえる保釈である。
考え方によって違うのは否定しないが、日本は告発されても自由な行動ができるといえるでしょう。
ゴーン氏がどのように自己の行動(逃亡)を正当化しようとしても、日本の法律を犯してよいということはない。
ゴーン氏側が考えたことは、日本の法律では、かなりの年数を拘束されてしまうため,拘束を短期間で免れることが可能なレバノンを選んだということである。
今後、ゴーン氏が狙ったように展開するかどうか、極めて疑問です。孫崎さんが挙げておられる①金まみれの腐敗構造をレバノンの人たちが認めるであろうか。②イスラエルとアラブ諸国並びに宗派の対立問題が微妙に絡み合っており、ゴーン氏の思惑が期待できるかどうかの見通しが極めて困難。日本で判決を受けた方がよかったとなる確率の方は高いように思っています。
>>5
貴殿の文章を待ってました。それぞれ思いは自由ですね。
今、私は今福龍太を読んでいます。彼の主張するクレオール主義。それに触発されてか、貴殿の文章がクレオール主義的な芳香を発散してるのを感じます。
面白いですね。勉強になります。
(ID:32175174)
私の会社員時代の知り合いの一人がレバノン系エジプト人であり、私が日本の総合商社の米国子会社に在籍した時の同僚であり、私が退社したのち数年して、その系列企業の社長に任ぜられた人物である。ゴーン氏の経歴に近い経歴を有し、彼はレバノンのキリスト教徒の家に生まれ、彼が幼少時住んだエジプトのカイロでは、彼の父親はフランス語の教授であったという。私の知人である彼は、フランス語を流ちょうに話し、大学はフランスの大学で化学を専攻し、私が知り合った当時は、当該日本商社のニューヨーク支店の機械部に在籍していた。当然ながら、英語も流ちょうに話し、パスポートはレバノン、エジプト、米国のパスポートを持っていると話していたように記憶する。人当たりが良く、職場の潤滑剤的存在であった。しかし、心の奥底には、頼るべき故国を持たない、孤独な流浪の旅人的な厳しい人生観を秘めていたようにも思う。