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【平直行「東方武術見聞録」】その8 縄文時代への妄想で暴走。(前半)

2014/08/05 13:10 投稿

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その8 縄文時代への妄想で暴走。(前半)


 

古流の武術を学ぶ際に欠かせないのは、古流武術が盛んだった時代の感覚だ。なぜなら、現代の感覚で古流武術を学んでもスポーツになってしまうから。古流武術の時代や日本人の原点の時代って一体いつなんだろう? そんなことを想ったら僕の妄想で暴走がやって来た。


日本人の原点は縄文時代だろうと妄想で暴走が僕にささやいた。たまたま手にした本や、たまたま人から聞いた話が僕に縄文時代への妄想で暴走の旅の切符をくれた。


僕の学ぶ柳生心眼流は江戸時代に始まった流儀だ。江戸時代は270年間争いがなかったという、世界史の中でも非常に稀な平和な時代だった。争いが無ければそのエネルギーは他へ向かう。戦争に費やすエネルギーは破壊を生み、労働力の中心にいる人たちを戦争に向かわせるため、生産力が落ちてしまう。生産力が落ち、破壊されると、その為にさらに消費もする。生産をしない戦争に行った人たちも食事をして衣服を着る。その上、武器も浪費する。これでは国に余裕が生まれる筈がない。


戦争がなければその分だけ、国にあらゆる余裕が生まれてくる。270年間の長きに渡り平和な時代が続いた江戸時代は、そういった理由であらゆる物が発達した。江戸時代には平和だったから武術が堕落した、そんな一説もある。その一方で豊かな時代だからこそ、武術に真摯に打ち込みより高度に昇華したという見方もあるようだ。


江戸時代は戦国時代から見れば平和な時代。ところが現代から見れば案外そうでもない。平和とはいえ、命を常に考える日常を江戸時代の侍は送っていた気がする。少なくとも武術を真剣に学ぶ者はそうだったと思う。常に腰に刀を差していた日常は、やはり引き締まった心で過ごしていたような気がする。実際に切腹とかあった訳だし……。さらには闇討ちとかもまだあったと聞いている。


僕の流儀の4代前の師匠は、江戸時代末期に生きた流儀のご先祖様。その師匠はあだ討ちを成功させている。たったの4代前であだ討ちを成し遂げたのが僕の学ぶ流儀なのだ。あだ討ちがまだあった時代には、本当の真剣勝負が身近にあったのだ。


あだ討ちとは、正々堂々行う真剣勝負。闇討ちやだまし討ちとは違い、本当に自分の技量で勝負をし、勝敗はどちらかが事切れるまで行う。真剣を手にしてお互いに命をかけて勝負をするのだ。平和な時代の江戸時代でも、日本では真剣勝負が存在した。だから僕は江戸時代に武術が堕落したとは思っていない。世界史の中でも稀な平和な時代が270年続いた江戸時代。それ以前の縄文時代はそれよりも遥かに長い期間、ずっと平和で争いの無い時代だった。


実は世界史の中でも稀というよりは、驚異的な平和な時代であったのが縄文時代なのだ。そして縄文時代は、とてつもなく文化が発達した時代でもあった。縄文土器や縄文時代に作られたアクセサリーは海外、特に現代のヨーロッパにおいて美術品として高い評価をされているのだ。縄文時代のことで教科書に載っていない話を見聞きすると凄い時代だなと感じる。教科書の話はあまり覚えていないけど(笑)。



 

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