第44回 あなたの前で今夜も1人残された彼がくるくると。
ぼーっとしてるうちに、ある者は転職していなくなり、またある者は心を病み外出できなくなるなどして、私だけが桜並木の下で取り残されていたりするから人生はハードコアだ。気楽な会社員生活ですらこれだ。より厳しい、EXILEを頂点とするダンス界の厳しさたるや想像を超越するものだろう…などとセンチメンタルになってしまったのは私が駅前で踊っていたダンスチームの惨状の目撃者だから。
駅近くの広場にラジカセを持ち込み音楽にあわせて練習するダンスチーム。彼らを初めて見たのは昨年の初夏。アフロヘア、ドレッドヘア、野球帽。典型的に個性をアピールするハイティーンの若者5人組のダンスがEXILEと比べてどの程度のレベルにあるのか盆踊りしか知らない私にはわかりかねるけれども、間違いないことは、彼らが光輝いていたことだ。夢に向かって走る若者は、年金を支払うかぎり国の宝だと私は思う。
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